「常軌を逸した爆撃」 イスラエルのガザ市攻撃、住民は避難急ぐ

右手に白い包帯を巻いた男性が、夜間に自転車を押している。1人の子どもはハンドルバーにもたれかかり、もう1人の子どもは荷台に座り、サドルに頭を乗せている。ハンドルには複数のバッグがかけられている。周囲は真っ暗で何も見えない

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画像説明, 夜間に自転車を押して避難する男性と子どもたち

ラシュディ・アブアルーフ・ガザ特派員(イスタンブール)

イスラエル軍が16日、パレスチナ・ガザ地区北部のガザ市での地上作戦を開始した。これは、同市の占領を目的とした大規模攻勢の一環だ。こうした中、数千世帯の人々がガザ市からの脱出を試みている。

ガザ市シェイク・ラドワン地区に住む、子ども3人の母リナ・アルマグレビさん(32)はこれまで、危険を承知で自宅を離れるのを拒んできたという。しかし、イスラエル軍の将校から避難命令の電話がかかってきたため、家を離れる決意をしたと、BBCに語った。

「避難にかかる費用や、寝泊りをするテント代をまかなうために、宝石類を売却せざるを得ませんでした」と、リナさんは話した。「(南部)ハンユニスに着くまで10時間かかったし、そこまで運んでもらうのに3500シェケル(約15万円)支払いました。車とトラックの列が果てしなく続いているようでした」。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ市で「強力な作戦」を開始したと発表した。首相はガザ市をイスラム組織ハマスの最後の主要拠点と位置づけている。

イスラエル軍は、沿岸部のアル・ラシード通りを唯一の民間人の避難ルートに指定している。この通りでは深刻な渋滞が発生していると、多くの人が証言している。車やトラックの列が果てしなく続き、長時間の遅延が起き、道路わきで立ち往生する家族もいるという。その間、上空からはイスラエルの攻撃が続いている。

動画説明, 「ガザから出して」と住民訴え 国連が「ジェノサイド認定」もイスラエルは攻撃拡大

国際社会の反応

イスラエル軍の作戦は、国連人権高等弁務官やドイツ外相など、国際社会から広く非難されている。

イギリスのイヴェット・クーパー外相は、「まったくもって無謀でぞっとする」攻撃だとし、「さらなる流血を招き、罪のない民間人をさらに殺害し、(ガザに)残る人質を危険にさらすだけだ」と述べた。

一方、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は15日、イスラエルでのネタニヤフ首相との共同記者会見で、イスラエル軍の作戦を暗に支持するような姿勢を示した。ルビオ氏は、アメリカは交渉による戦争終結を望んでいるが、「ハマスのような野蛮な集団を相手にする場合、それが不可能なこともある」と述べた。

イスラエルが攻勢を強める中、国連人権理事会の調査委員会は16日、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行っていると認定する報告書を発表した。イスラエルはこの報告書に強く反発している。

数十人が夕暮れ時に車やカートに重い荷物を載せ、荒れた道を徒歩で移動している

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画像説明, ガザ市から逃れた人は過去数週間で数十万人に上る。画像は夕暮れ時に車やカートに重い荷物を載せ、荒れた道を移動する人々

ガザ住民の状況

子ども5人の母ニヴィン・イマド・アルディンさん(38)は、イスラエル軍機が自宅周辺に避難を促すビラを投下したため、南部へ逃れた。しかし、夫は自宅を離れるのを拒んだという。

「大型トラックの費用が払えず、家具は持っていけませんでした」と、ニヴィンさんは説明した。「あらゆるものを置いていくというのは、人生で一番つらい決断でした」。

避難にかかる費用は、ほとんどの世帯の手が届かない水準にまで高騰している。住民によると、小型トラックのレンタル料は現在約3000シェケル(約13万円)、5人用のテントは約4000シェケル(約17万円)で取引されている。開戦以来、多くの世帯が収入を失っており、徒歩で何キロも移動するか、危険を承知で自宅にとどまるしかない状況だ。

イスラエル軍機は16日にかけて、ガザ市全域に激しい夜間攻撃を実施。中心部のアル・ダラジ地区、西部のビーチ難民キャンプ、北部のシェイク・ラドワン地区が集中攻撃を受けた。

これらの攻撃には、砲撃やドローン攻撃、武装ヘリコプターが加わった。

イスラエル国防軍(IDF)は、作戦の「次の段階」として、ガザ市に「段階的に」進軍していると発表した。

この「次の段階」の軍事作戦には、空軍と地上部隊が参加しており、兵力は日増しに大きくなっているという。

住民たちは、夜間の空爆を「地獄」と表現した。

ガザ北部から逃れてきたというガジ・アルアルールさんは、現在は南西部テル・アル・ハワ地区にあるアル・クッズ病院の入口で寝泊まりしていると、BBCに語った。

「これは自分で選んだことではありません」と、ガジさんは述べた。「北部から逃れて、その後家族と1カ月近く身を寄せていた家を離れざるを得ませんでした」。

「砲撃は何時間も続いて、常軌を逸しています。この地域の複数の集合住宅を破壊すると、(イスラエル)軍に脅されています」

複数の車が、ガザ沿岸部の道を夜間に移動している

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画像説明, 沿岸部の道ではここ数日、夜間の移動を余儀なくされた人々の姿が見られている

ガザ市中心部のアル・ダラジ地区で暮らすサミ・アブ・ダラルさんは、16日未明は「極めて困難な」状況下にあったと語った。

「住宅地全体が完全に破壊され、住民が押しつぶされました。多くの人が死んで、行方不明者や負傷者が出ました」

サミさんによると、イスラエル軍は三つの前線から進軍していて、爆弾を仕掛けた車両を使用しているほか、激しい空爆や砲撃を続けている。こうした中、ガザ市内各地では攻撃ヘリコプター「アパッチ」が上空を旋回し、絶え間なく攻撃を仕掛けた。