ヴァンス米副大統領がイスラエル訪問、ガザ停戦は予想以上に順調と

ヴァンス氏がマイクの前に立ち、両手を上げて広げている。背後にウィトコフ氏とクシュナー氏が立ち、その後ろにはアメリカとイスラエルの国旗が立てられている

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画像説明, イスラエルで記者会見に臨んだアメリカのヴァンス副大統領。背後にはウィトコフ中東担当特使(左)とクシュナー氏が立った(21日)

アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領は21日、イスラエルを訪問した。現地で記者会見したヴァンス氏は、パレスチナ・ガザ地区での停戦合意の履行は「予想以上に順調」だと述べ、停戦は維持できるとの見方を示した。

ヴァンス氏は今回の訪問で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦争を恒久的に終わらせるために、長期的な問題に関して交渉を始めるよう働きかけるとみられている。

ヴァンス氏は会見で、ハマスに「協力しなければ消滅することになる」と警告。一方で、アメリカの和平案の一部で、まだ合意に至っていないハマスの武装解除については、期限を示すのを避けた。

イスラエルについては、和平案の主な目標への前進において「非常に協力的」だと称賛。ただ、さらに前に進むには多くの難しい課題が残っていると述べた。

今月上旬の停戦合意を仲介したアメリカのドナルド・トランプ大統領は同日、「ハマスが悪い行動を取り続けるなら」、中東におけるアメリカの「偉大な同盟国」が「重装備でガザに乗り込んで『ハマスを片付ける』」用意があると、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに投稿した。

トランプ氏はさらに、「ハマスが正しいことをするという希望はまだある」、「そうしなければ、ハマスの終末は速く、激しく、残酷なものになるだろう」と書いた。

ガザでは19日、イスラエルが空爆を実施し、それまで12日間続いた停戦が危うくなった。イスラエルは空爆について、ハマスの攻撃で自軍の兵士2人が死亡したことへの対応だとした。この空爆ではパレスチナ人数十人が殺害された。

イスラエルにはアメリカから、スティーヴ・ウィトコフ中東担当特使と、トランプ氏の娘婿のジャレッド・クシュナー氏がすでに訪れている。両者は20日、ネタニヤフ氏と会談しており、この日のヴァンス氏の記者会見にも同席した。

トランプ氏がヴァンス氏や側近らをイスラエルに派遣したのは、和平に向けた現在の機運の高まりを維持し、20項目からなる自らのガザ和平案の重要な第2段階について協議を開始させるためと言われている。

これには、ガザでの暫定政府の樹立や、国際安定化部隊の派遣、イスラエル軍の撤退、ハマスの武装解除が含まれる。

イスラエルはこれまで、ハマスが人質の遺体すべてを返すまでは、そうした協議には臨まないとしている。

ヴァンス、ウィトコフ、クシュナーの3氏は、まずは和平案の第1段階に基づく停戦合意が崩壊しないよう働きかけているとみられる。

米紙ニューヨーク・タイムズは、米政府関係者らがネタニヤフ氏について、停戦合意を「破棄」してハマスに対する全面攻撃を再開させることを懸念していると報じた。

ネタニヤフ氏は20日、イスラエルの議会で、ヴァンス氏と「安全保障上の課題」と「政治的な機会」について協議すると述べた。

イスラエル軍は19日にガザを空爆した後、停戦合意の履行を再開すると発表した。一方のハマスは、引き続き合意を順守するとしている。

しかし、ガザ市の東部で20日、パレスチナ人4人がイスラエル軍の銃撃で殺害されたと報じられている。イスラエル軍は、撤退ラインの「イエローライン」を越えた「テロリスト」に発砲したと説明した。

イスラエル軍の戦車がイスラエル南部のガザ地区との境界付近を走行している

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画像説明, 10月10日に停戦合意が発効してからも、ガザ地区やその周辺ではたびたび軍事行動が見られ、死傷者も出ている

カイロに滞在中しているハマス交渉団トップのハリル・アル・ハイヤ氏は、エジプトのアル・カヘラ・ニュースの取材に、ハマスや他のパレスチナ勢力は停戦合意を守っており、「最後まで完全に履行する決意だ」と主張。「仲介者らや米大統領の言葉は、ガザでの戦争が終わったことを示している」とした。

ハマスは停戦合意が発効した今月10日以降、死亡したイスラエル人の人質28人のうち、これまで13人の遺体を返還している。全員の遺体が返されていないことに対しては、イスラエルで怒りの声が上がっている。ハマスは、遺体の捜索や収容に時間がかかるとしている。

ハンユニスのハマド・シティ地区で、破壊された建物の近くで重機が溝を掘っている

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画像説明, ガザ南部ハンユニスでは、掘削機を使って人質の遺体の捜索を進めているとされる(21日)

こうしたなか、国連の世界食糧計画(WFP)は、ガザで人命を救う支援の提供のためには、停戦の維持が「不可欠」だと強調している。

WFPのアベール・アテファ広報官はジュネーヴでの記者会見で、停戦が発効して以降、WFPのトラック530台が計6700トン以上の食料を積んでガザに入ったと述べた。これは、約50万人に2週間分の食料を与えるのに十分な量だという。

しかし、ガザに入るすべての検問所が開かれているわけではないため、物資供給の目標の1日2000トンは達成できていないと、アテファ氏は話した。

ガザへの支援物資の搬入を統制しているイスラエルは、19日に発生した暴力事案への対応として、物資搬入を一時停止した。しかし、国際的な強い圧力を受け、20日に再開させた。