イスラエルがガザ各地を空爆、実施後に停戦復帰を表明

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イスラエル国防軍(IDF)は19日、イスラム組織ハマスが停戦合意に「露骨な違反」をしたとし、パレスチナ・ガザ地区で空爆を実施した。その後、停戦を再開すると表明した。ガザの病院関係者らは、空爆で44人が殺害されたとしている。
IDFは「ガザ南部のラファ地域でテロ・インフラの解体を進めていたIDF部隊に向け、テロリストらが対戦車ミサイルと銃弾を発射した」と発表。
また、「それを受けてIDFは、脅威の排除と、テロ活動に使用されたトンネルの通路や軍事施設の解体を目的に、同地域で空爆を開始した」とした。
イスラエル首相官邸は、「ラファでの悲劇的な出来事」でヤニヴ・コラ少佐とイタイ・ヤヴェツ軍曹の2人の兵士が死亡したと発表した。
官邸はこれよりも先、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が国防省高官らと会い、「ガザ地区のテロリストの標的に対する強力な行動」を指示したと明らかにしていた。
19日午後9時を過ぎて、イスラエル軍は「停戦の再実施を開始した」と発表。停戦合意を守ると表明した。一方で、「いかなる違反にも断固対応する」と付け加えた。
同軍は先に、ガザへの支援物資の搬入を一時停止させると発表していたが、これを撤回したのかは明言しなかった。
一方、ハマスは、イスラエルが支配するラファ地域での衝突は「認識していない」とした。また、停戦を順守していると主張し、イスラエルが違反したと非難。イスラエルによる空爆は「状況を完全崩壊に向かわせる」可能性があるとした。
ハマスの軍事部門のアル・カッサム旅団は声明で、「今年3月の戦争再開以来、現地に残るグループとは連絡が途絶えている」、「従って(ラファ地域で起きている)いかなる出来事とも、私たちは関係ない。私たちの戦闘員の生存者がいるとしても連絡が取れない」とした。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は19日、首都ワシントンで記者団に対し、停戦はまだ続いているとの見方を示した。
また、ハマスが「始末に負えず銃撃もしている」ものの、「内部の反乱分子」の仕業かもしれないとし、「いずれにせよ、適切に対処される。厳しく、しかし適切にだ」と付け加えた。

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ガザ各地で空爆
イスラエルは19日夕までに、ガザ各地でハマスの関係先を攻撃したと発表した。
ガザ南部ハンユニスの東側では、少なくとも12回の空爆があったと住民らが話した。噴煙が上がり、付近で避難生活を送る家族らがパニックに陥ったという。
ガザ中部では、アル・アクサ病院に9人の遺体が運び込まれたと医師が話した。アル・ザワイダのテントにあった小さな海辺のカフェと、ヌセイラトの建物が、それぞれ空爆されたという。現地の情報筋は、死者のうち6人はアル・カッサム旅団のメンバーで、ハマスの精鋭部隊ジャバリア大隊の指揮官ヤヒヤ・アル・マブーフ氏も含まれているとした。
ヌセイラトのアル・アウダ病院の医師によると、多くの家族が避難生活を送る学校が空爆され、4人の遺体が同病院に運ばれた。死傷者には女性や子どもも含まれているという。

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ガザをめぐっては、アメリカが仲介した停戦合意の第1段階が今月10日に始まった。戦闘が即時終結され、イスラエル軍はガザ北部、東部、南部で設定された「イエローライン」まで部分的に撤退し、支援物資の運び入れが増やされた。
ハマスはこれまでに、人質の生存者全員と、死者28人のうちの12人の遺体をイスラエルに返還した。
イスラエルは、収監していたパレスチナ人囚人250人と、拘束していたガザ出身者1718人を解放。また、返還されたイスラエル人の人質の遺体1体につきパレスチナ人の遺体15体を返還している。
そうした停戦合意が19日、試されることになった。ガザがこの日受けた攻撃は、トランプ米大統領が先週、「中東和平」の旗の下に世界の指導者たちをエジプトに集めて以降で、最悪のものとなった。
停戦合意の維持には、アメリカの圧力が必要な状況となっている。そのため、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東担当特使と、トランプ氏の娘婿のジャレッド・クシュナー氏が近く、イスラエルを訪れる予定。
ハマスと民兵組織などが衝突
トランプ氏が仲介した20項目からなる和平案では、ハマスが武器を放棄し、イスラエルにとって脅威でなくなることになっている。
ハマスは、イスラエルが支配するガザ地区の半分で平然と活動している略奪者の犯罪組織を、イスラエルが武装させていると非難している。
ガザ地区を18年間支配してきたハマスは、アブ・シャバブ氏が率いる民兵組織「人民軍」などの武装勢力の攻撃を受けている。ハマスは、こうした勢力が、イスラエルによって武装・支援されていると主張している。
ラファで19日に空爆が実施された少し前には、アメリカがハマスについて、ガザの民間人らに対する「差し迫った」攻撃を計画しているとの「信頼できる報告」を得たと発表。停戦合意への「直接的かつ深刻な」違反だとしていた。
米国務省は、パレスチナ人に対する計画的な攻撃は、「調停努力によって達成された重要な進展を損なう」と述べている。
ハマスは、差し迫った攻撃計画の存在を強く否定している。
ガザ北部ガザ市では1週間前、ハマスの治安部隊と武装した有力氏族ドゥグムシュ一族が激しく衝突し、27人が死亡した。
トランプ氏はこれまで、ハマスに対し民間人を殺害しないよう警告している。自らのソーシャルメディアの「トゥルース・ソーシャル」には先週、「ハマスがガザで人々を殺し続けるのであれば、合意にはないことであり、私たちはガザに入って彼らを殺すしかない」と投稿した。
IDFは、ハマス率いる武装集団が2023年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取ったことへの対抗として、ガザで軍事作戦を開始した。
それ以来、ガザではイスラエルの攻撃によって少なくとも6万8000人が殺害されたと、ハマス運営のガザ保健当局は発表している。この人数は、国連などが信頼できるとしている。












