ハマス、さらに人質2人の遺体を返還 残りの遺体の収容には時間かかると

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イスラム組織ハマスは15日、アメリカが仲介したパレスチナ・ガザ地区をめぐる停戦合意に基づき、さらにイスラエル人質2人の遺体を返還したと発表した。ただ、ガザのがれきの中に残るほかの遺体については、収容には時間と特殊な装備が必要だとしている。
ハマスの軍事部門は声明で、停戦合意を順守しており、収容可能な遺体はすべて返還したと主張した。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ハマスが合意を守らない場合、イスラエル軍がガザでの戦闘を再開する可能性があるとしている。
イスラエル首相府は声明で、赤十字を通じて人質の遺体が収められた棺(ひつぎ)を受け取ったと発表。今後、正式な身元確認が進められるとした。
声明はまた、「イスラエル国防軍(IDF)は国民に対し、配慮を持って行動し、公式な身元確認の結果を待つよう求める。これ(公式な身元確認の結果)はまず最初に遺族に通知される」とした。
アメリカ政府の複数高官は、20項目からなる和平計画の進展状況について説明。ハマスがガザに残る人質の遺体すべてを収容していないことを、現時点では合意違反とはみなしていないと述べた。
さらに、ハマスは生存している20人の人質を引き渡して誠意ある行動を見せており、遺体を発見・返還するためにさまざまな仲介者と協力していると強調した。
15日夜に返還された2遺体が人質のものだと確認されれば、ガザには19人の遺体が残されていることになる。和平計画の第1段階では、ハマスが死亡した人質28人全員を返還することが求められている。
しかし、ハマスの軍事部門は声明で、「残る遺体の捜索・収容には多大な努力と特殊な装備が必要だ。我々はこの問題を解決するために懸命に努めているところだ」と説明した。
イスラエル、人質の返還において「妥協しない」
イスラエルは先に、人質の返還において「妥協はしない」、「任務は完了していない」と表明していた。
イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、戦闘の再開に備え、ガザでハマスを打倒する「包括的な計画」を用意するようIDFに指示したと明らかにした。
カッツ氏は15日の軍幹部との会合後、ハマスが和平計画の履行を拒否した場合に備えて、軍は行動できるようにしておかなければならないと述べた。
ハマスは14日にも、イスラエル人人質だとする4人の遺体を返還したが、イスラエルはこのうち1人は人質ではなかったと発表している。ほかの3人の身元はタミル・ニムロディ氏(20)、エイタン・レヴィ氏(53)、ウリエル・バルク氏(35)と確認された。
国連は人道援助の拡大求める
国連のトム・フレッチャー国連事務次長(人道問題担当)は15日、停戦合意に基づき、ガザ境界のすべての検問所を即時開放し、人道援助の流入を認めるようイスラエルに求めた。
フレッチャー氏は、ハマスは「死亡した人質の遺体を返還するために多大な努力を払わねばならない」と、ソーシャルメディアに投稿した。
そして、「イスラエルは合意通りに、1週間にトラック数千台分の大規模な人道援助の流入を許可しなければならない。大勢の命がこれらの援助を求めている。世界はこれ(人道援助の流入)を強く求めている」と付け加えた。
フレッチャー氏は、「より多くの検問所を開放し、今なお残る障壁を取り除くための真に実践的な、問題を解決するアプローチ」が必要だとし、「民間人への援助を阻止することを、交渉材料にしてはならない」と述べた。
トランプ氏が仲介した停戦合意では、死者を含めた人質48人全員の引き渡しが13日正午までに完了することになっていた。ハマスは13日に、生存する人質20人全員をイスラエルに引き渡した。
ただ、この停戦合意によると、ハマスや、パレスチナのほかの勢力が、合意された期限内にすべての遺体の所在を特定できない可能性があるとされていた。
イスラエルは、死亡したイスラエル人人質1人につきパレスチナ人15人の遺体を返還することにも合意している。
ハマス運営のガザ保健省は15日、イスラエルがさらに45人のパレスチナ人の遺体を返還したことを認めた。これにより、イスラエルが返還したパレスチナ人の遺体は計90体となった。
こうした中、ガザでは停戦の持続性への懸念が高まっていると、住民らは話している。また、食料品の買い占めにより、食料価格が急騰しているという。
ガザの商人や納入業者らが、戦闘再開を恐れて食料品を買い占め、品薄状態をつくり出して利益を上げようとしていると、複数のガザ住民はBBCに語った。
南部ハンユニスで避難生活を送るネヴェン・アルムグラビさんは、「安全になったと感じ始めた途端に、新たな脅威が現れる。また戦争が始まるのではないかと恐れている」と語った。
「ガザ市の自宅を失い、家族と一緒にここにとどまることを決めた。停戦を信用できないし、避難することにもうんざりしているので」
ネヴェンさんによると、ハンユニスの主要な市場の商人が、小麦粉や油、砂糖の需要が数時間で急増したと話していたという。「価格が約30%急騰したというのに、みんな商品を買っている。この平穏は長く続かないと考えているようだ。援助が止まることを、誰もが恐れている」。
ガザに「安全地帯」設置も
アメリカ政府の高官らは、ハマスの脅威を感じた住民が避難できるよう、ガザのイエローライン(撤退ライン)の背後に「安全地帯」を設ける取り組みをイスラエルと協力して進めていると明らかにした。
長期的に見れば、ハマスがガザの一部を統治する未来は訪れないと、高官らは述べた。
米政府は現在、ガザへの援助流入と復興開始を可能にする「衝突回避」に焦点を当てているという。国際治安部隊の展開は、依然として初期段階にあるという。











