ハマスがさらに人質4人の遺体を返還、計7人の身元判明 1人は人質ではないとイスラエル軍

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イスラエル国防軍(IDF)は14日、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがさらに人質4人の遺体を返還したと発表した。これでイスラエルに計8人の人質の遺体が戻された。このうち7人の身元が15日朝までに特定された。もう1人については、すべての人質に関する情報と合致しないとIDFは説明した。
14日に新たに移送された遺体は、棺(ひつぎ)に収められた状態で赤十字が受け取り、同日夜遅くにイスラエル軍に引き渡された。
ガザには依然として人質20人の遺体が残されている。イスラエルの報道によれば、さらに4人の遺体が15日中に移送される見通しだという。
イスラエルは、死亡した人質28人全員の遺体をハマスが返還するまで、パレスチナ・ガザ地区への支援物資の搬入を制限するとしている。
イスラエルの国防相は、「いかなる遅延や意図的な回避も(停戦)合意の重大な違反とみなし、それに見合った対応を取る」と警告。イスラエル当局は、ハマスが人質の遺体を引き渡さず、合意に違反したため、エジプトとガザ南部ラファの間の検問所の開通を遅らせることを決めたとしている。
IDFは14日に声明を発表。「ハマスには、自分たちに関する合意を履行し、すべての人質を家族に戻して適切な埋葬を可能にするために必要な努力をすることが求められている」とした。
一方のハマスは、死亡した人質の遺体がある場所の特定に苦労しているとしている。人質の一部はイスラエル軍の砲撃と取り壊しによって破壊された建物のがれきの下に閉じ込められたままで、収容作業のために重機を要請しているという。
ハマスは13日、人質の生存者20人と死者4人の遺体をイスラエル側に引き渡した。この4人の遺体については、14日に身元が確認された。
さらに、14日にイスラエルに返還された人質4人の遺体について、そのうち3人の身元が特定されたと、イスラエルの首相府は15日朝、発表した。
ウリエル・バルクさん、タミル・ニムロディさん、エイタン・レヴィさんで、発表に先立ち、3人の家族が遺体の返還を認めていた。
一方、IDFは別の1人について、法医学的検査の結果、人質全員に関してIDFが保有している情報と合致する点がないとした。

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死亡した人質の返還が遅れていることに対し、イスラエル国内では怒りの声が上がっており、停戦合意の頓挫(とんざ)への懸念が高まっていると、エルサレムで取材しているヒューゴ・バシェーガ中東特派員は伝えた。
ガザで人道問題を担当するイスラエルの軍事組織、イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)の関係者は、15日朝の時点でラファ検問所は開かれていないと、BBCに説明。「ガザ住民の出入国のみを対象とした開放に向けて準備が進められている」と付け加えた。
そのうえで、「支援物資はラファ検問所を通過しない」、「支援物資は、イスラエルの治安検査を経た上で、ケレム・シャローム検問所や、その他の検問所を通じてガザ地区に引き続き搬入される」と述べた。
これよりも先、イスラエルの公共放送KANは、同国が15日にラファ検問所を再開し、人道支援物資を積んだトラック600台のガザ入りが認められると報じていた。
イスラエルがパレスチナ人を殺害
イスラエルとハマスの双方が受け入れたアメリカのドナルド・トランプ大統領の停戦計画では、死者を含めた人質48人全員の引き渡しが13日正午までに完了することになっていた。
トランプ大統領は14日、「大きな重荷は取り除かれたが、仕事は終わっていない。約束通りには死者は戻っていない! 第2段階は今すぐ始まる!!!」とソーシャルメディアに投稿した。
イスラエルのメディアが先週報じた停戦合意の写しでは、当初の期限内にはハマスも他のパレスチナの勢力もすべての遺体を発見できない可能性があることが、関係者らの間で認識されていることがうかがえる。
イスラエル政府関係者は、遺体の捜索作業を国際チームが始めることを示唆した。
赤十字は14日、遺体の捜索には数日から数週間かかるとの見方を示した。広報担当のクリスチャン・カルドン氏はジュネーブで、「遺体の捜索が生存の人質の解放以上に大きな課題であることは明らかだ」と記者団に話した。
こうしたなか、イスラエルで拘束されていたパレスチナ人45人の遺体も14日、ガザに戻された。赤十字が声明で明らかにした。
今回、約2000人のパレスチナ人の収監者が、トランプ米大統領の20項目からなる和平案に沿って解放されている。
他方、医療関係者や救急隊員らは14日、ガザ市東部シェジャイヤ地区で、住宅を調べに行ったパレスチナ人5人がイスラエル軍のドローンで攻撃され殺害されたと話した。また、ハンユニスの東側でもイスラエル軍の空爆で1人が殺害されたと述べた。
IDFは、「イエローライン(停戦合意の撤退ライン)を越えたのが確認された」人物や、IDF部隊にとって脅威となる方法で接近した人物を攻撃したと説明した。
ハマスの広報担当者はこれについて、IDFが停戦合意に違反していると非難した。
最初に返還された4遺体の身元判明
イスラエルでは14日、ハマスによって13日に返還された4人の遺体について、身元が特定された。
IDFはそのうち2人を、イスラエル人のガイ・イロウズさん(26)と、ネパール人のビピン・ジョシさん(23)だとした。
IDFによると、イロウズさんは音響技師で、2023年10月7日にハマスによるノヴァ音楽フェスティバル襲撃から逃れた後に「負傷し、生きたまま拉致された」。そして、「拘束中、適切な治療を受けられず、負傷のために死亡した」という。
ジョシさんは農業を学んでいた学生で、アルミムというキブツ(農業共同体)に来てまだ数週間しかたっていない時にハマスの襲撃を受けたとされる。イスラエルの団体「人質家族フォーラム」は、ジョシさんについて、「他の留学生と共にキブツ内のシェルターに逃げ込み、手投げ弾を素手でよけ、その勇敢さで多くの命を救った」と説明。IDFは、「戦争の最初の数カ月で拘束中に殺害された」とみられると述べた。

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その後、他の2人についてそれぞれの家族が、イスラエル人のヨシ・シャラビさん(53)と、イスラエルと南アフリカの二重国籍のダニエル・ペレツさん(22)だとあっぴょうした。
人質家族フォーラムによると、シャラビさんは2023年10月7日、キブツ・ベエリの自宅から、きょうだいのエリさんと共に拉致された。IDFはシャラビさんについて昨年、イスラエル軍の攻撃による建物倒壊で死亡した可能性が高いと発表していた。エリさんは今年2月の停戦期間中に解放されたが、エリさんのイギリス系イスラエル人の妻と娘2人は殺害された。
ペレツさんは、13歳のときに南アフリカからイスラエルに移住し、中部の町ヤド・ビニャミンで暮らしていた。IDFの第7機甲旅団の大尉だった。IDFは昨年、2023年10月7日にナハル・オズ近郊で戦車がハマスに攻撃された際に、乗っていたペレツさんが死亡し、遺体が人質としてガザに運ばれたと発表していた。

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イスラエル軍は、返還された人々の死因などは、法医学的検査を経て最終的に結論が出されるとしている。
人質家族フォーラムは、遺体の返還が「2年以上にわたり、苦悩に満ちた不確実性と疑念と共に生きてきた家族に、いくらかの慰めをもたらす」としている。また、「人質24人全員が帰国するまで、私たちは休むことはない」と述べた。













