イスラエル、イランとレバノンを新たに攻撃 ホルムズ海峡で機雷敷設艦16隻を破壊したと米軍

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アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃は、開始から11日目となる10日も続いた。イスラエル軍はイランの首都テヘランの標的に、新たに空爆を実施したと発表。イスラエル首相はイラン国民に向け、体制を打倒するよう呼びかけた。米軍は、ホルムズ海峡でイランの機雷敷設艦を破壊したと発表した。一方、イランも近隣国に向けてミサイルなどを発射しているとみられる。イラン国内では警察トップが、反政府の動きに厳しく対処すると警告した。
イスラエル国防軍(IDF)は10日、テヘランの標的に対して「追加の波状」攻撃を開始したと発表した。この前にも、イラン軍の中枢司令部を攻撃したと発表していた。
IDFはその後、レバノンの首都ベイルートに対しても、新しく空爆を開始したと明らかにした。イランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラと関連があるインフラを、ベイルート南部で攻撃したとした。
一方、米中央軍は10日、ホルムズ海峡付近でイランの機雷敷設艦16隻を「排除」したと発表。それらの軍艦を攻撃した場面とみられる映像を公開した。
原油輸送の要衝のホルムズ海峡をめぐっては、イランが機雷の敷設を準備しているとの米情報当局者らの見方を、米CBS(BBCの提携メディア)が同日報じていた。
ドナルド・トランプ米大統領は同日、イランの機雷敷設艦には「素早く激しく」対応すると約束。その後、ソーシャルメディアへの投稿で、稼働していなかった機雷敷設艦10隻を爆撃し、完全に破壊したと書いた。
クリス・ライト米エネルギー長官はこの日、「米海軍はホルムズ海峡を通過する石油タンカーの護衛に成功し、石油が世界市場へ供給され続けることを確実にした」とソーシャルメディア「X」に投稿した。これを受け、原油価格は一時急落した。
だが、この投稿はまもなく削除された。ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、米海軍がホルムズ海峡を通るタンカーを護衛したことはないと、ライト長官の投稿内容を否定。原油価格は上昇に転じた。
こうしたなか、イランも米軍が利用する基地のある近隣国やイスラエル側への攻撃を続けているとみられる。
アラブ首長国連邦(UAE)の緊急事態当局は、「防空システムがミサイルの脅威に対応中」だと発表。また、国民に対し、安全な場所にとどまり、当局の指示に従うようXで呼びかけた。
サウジアラビア国防省は、同国東部のプリンス・スルタン空軍基地に向けられた弾道ミサイル6発を迎撃・破壊したと発表した。
同省はまた、ドローン数機を迎撃したとし、うち2機は北東部の都市ハファール・アル・バティンで撃墜したと説明した。ミサイルやドローンがどこから発射されたかは明らかにしなかった。
イスラエル軍も、イランがイスラエル国境に向けてミサイルを発射したと発表。迎撃中だとし、影響のある地域の住民らには携帯電話の警報を送ったとした。

イラン警察、国内の抗議行動に警告
イラン国内では、警察トップのアフマドレザ・ラダン長官が、政府に対する抗議行動には厳しく対処すると警告を発した。
長官は、「敵の言いなりになる者を、私たちは抗議者などとはみなさない。私たちはそうした人々を、敵と同じように扱う。敵に対処するのと同じように対処する」と国営テレビで述べた。
そして、「私たちの全部隊は引き金を引く準備ができている。(イラン革命を)防衛する態勢が整っている」と付け加えた。
こうしたなか、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はXで、「イランの人々」に向けたメッセージを連続して投稿。宗教指導者が率いる体制を打倒し、「自由を手に入れる」よう訴えかけた。
ネタニヤフ首相は投稿で、「アヤトラ(最高位の宗教指導者)はもういない。別の暴君に取って代わられるのを、あなたたちは望んでいない。それを私は承知している。だから、あなたたちは行動しなくてはならない。そうするための条件を私たちは整えている」と書いた。
ネタニヤフ氏はさらに、イラン国民の主権を尊重すると表明。アメリカとイスラエルが権力者らを倒すなかで、イラン国民が行動を起こすことを望んでいるとした。
そして、「私たちは近日中に、あなたたちが自分の運命をつかむための条件を整える」、「適切な時機が来れば、その時は間もなく訪れるが、私たちはあなたたちにトーチ(たいまつ)を渡す」と続けた。
ネタニヤフ氏は8日にも、同様のメッセージを投稿している。
イラン国民の中には、国境を越えてトルコに逃れる人たちもいる。
トルコ東部ヴァンでは、女性がBBCの取材に応じ、イラン国内の様子を語った。ミサイル攻撃があった時には、「バルコニーのドアを開けた瞬間、ものすごい爆風で体が吹き飛ばされた」という。
この女性はまた、戦争が始まった最初のころは「攻撃は少なかったが、今では波のように次々と押し寄せてくる」と話した。
別の女性は、自宅近くの空爆で家が揺れた時を振り返り、「死ぬかと思ったこともあった」と話した。
テヘランで負傷したという男性(19)は、路上で立っていた時に、50メートルほど離れた警察署が攻撃されたと説明。「爆弾2発が飛んできて爆発し、何かが頭を直撃した。多くの人がそこで死んだ」と話した。
一方、イスラエルの空爆が続くレバノンでは、避難を余儀なくされた家族が学校やスタジアムなどの公共施設に身を寄せている。

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米兵の負傷者140人
米国防総省は、2月28日に今回の戦争が始まって以降、米兵約140人が負傷したと発表した。
同省のショーン・パーネル報道官は声明で、「負傷者の大多数は軽傷」だと説明。米兵108人はすでに任務に復帰しているとした。また、「重傷とされたままの兵士8人は、最高レベルの医療ケアを受けている」とした。
一方、米国務省の報道官は、2月28日以降に中東から帰国したアメリカ国民は4万3000人を超えていると明らかにした。
イギリス国民も続々と中東から帰国している。英政府はドバイからチャーター便で帰国を支援しており、2便目が10日朝にイギリスの空港に着陸した。
英当局の推計では、3月1日以降に民間便とチャーター便で中東を離れたイギリス国民は4万5000人を超えている。
こうしたなか、主要7カ国(G7)は中東での紛争の影響について議論するため、11日に首脳会議をオンラインで開くことになった。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が議長を務める。
10日には、マクロン氏とカナダのマーク・カーニー首相が、戦争と世界経済への影響について協議した。カナダ首相官邸は、両首脳が「G7 パートナー間の連携を強化する」ことで合意したと発表した。











