【解説】 ロシアがイラン戦争で狙うのは外交的・経済的利益 ロシア編集長

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スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長
1週間のうちに2回。
ロシアとイランの大統領が電話で協議した回数だ。
アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を続ける中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は自らを、国際的な平和の仲介者として印象付けようとしている。
これに説得力を持たせるのは、簡単なことではない。
というのも、ロシアが2022年に独立主権国家への全面侵攻を開始した際、それを命じたのは、クレムリン(ロシア大統領府)の指導者、つまりプーチン氏だったからだ。
国連総会は当時、ウクライナ侵攻を国連憲章違反として非難した。
そのクレムリンは今や、「(イラン紛争の)迅速な緊張緩和と政治的解決」を呼びかけているわけだが、その一方で、ロシアはウクライナに対し消耗戦を続けている。
ロシアはイランと「包括的戦略的パートナーシップ」協定を結んでいる。プーチン氏は今週も、イランに対するロシアの「揺るぎない支持」を改めて表明した。だが、両国の戦略的パートナーシップは、相互防衛条約には程遠い。
それに代わるものとしてロシアは、紛争の調停役を買って出ている。
プーチン氏は9日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と電話で協議した。クレムリンによると、プーチン氏は「湾岸諸国、イラン大統領、他の国の指導者らとの接触などに基づき、イラン紛争の迅速な外交的解決に向けたいくつかの考えを表明した」のだという。
ロシアにとっては、湾岸地域と中東における存在感を高め、影響力を持つ大国としての立場を示す好機となっている。
そして、アメリカとの関係を深める機会でもある。
イラン紛争がロシアにもたらす好機
クレムリンは、トランプ氏と良好な協力関係を維持したいと強く思っている。トランプ政権との関係構築は、ウクライナにおけるロシアの戦争目的達成にとって有益だと考えているのだ。
プーチン氏が、イラン戦争をめぐりトランプ氏を個人的にも公にも批判しないよう気を遣っているのは、そのためだ。
「(プーチン氏は)助けになりたいと思っている」。トランプ氏は9日、プーチン氏と電話で話した後、こう述べた。
「私は、『ウクライナの戦争を終わらせることで、あなたはもっと助けになれる。そちらの方がより助けになる』と伝えた」のだとも、トランプ氏は言った。
クレムリンはイラン情勢について「緊張緩和」を呼びかけているが、この紛争は同時に、ロシアに別の機会をもたらしている。
まず、経済的なものがある。
このところの世界的な原油価格の急騰は、ロシア政府の歳入に待望の押し上げ効果をもたらしている。高価格が長期化すれば、ロシアがウクライナでの戦争資金を調達し続けるうえで助けとなる。
ロシアの連邦予算は、同国が原油を1バレル当たり59ドルで輸出することを前提としている。
ここ数カ月、原油価格はその水準を大きく下回っていた。しかし今週に入り、原油価格は急騰し、1バレル120ドル近くまで上昇した。その後、下落したものの、それでも1バレル59ドルを大きく上回る水準にある。
さらに、トランプ氏は、イラン戦争で生じた石油不足を緩和するため、アメリカが「一部の国々」に対し、石油関連の制裁を免除する意向を示した。
もしロシアに対する石油関連の制裁が緩和されれば、ロシアはいっそう大きな財政的利益を期待できる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、そうなればウクライナにとって「深刻な打撃」になるとし、トランプ氏にそうしないよう強く求めた。
クレムリン寄りのロシア紙コムソモリスカヤ・プラウダは10日、楽観的な見方を示した。
「高騰する原油価格は、(西側が)制裁を解除する理由になる」と見出しでうたった。
クレムリンは米大統領を批判していないが、一部のロシア紙は、トランプ氏とイラン戦争を激しく非難している。
「『平和大統領』は完全に正気を失った」。タブロイド紙モスコフスキー・コムソモーレツは10日、こう断言した。
「裸の王様だ。いやむしろ、狂った王様だ」











