アメリカと中国、関税引き上げ回避 貿易「休戦」を延長

2025年8月11日、中国東部・山東省青島のコンテナ・ターミナルの航空写真。青いクレーンがコンテナ船のコンテナに伸びている。同船に緑とオレンジの小型船が近づいている

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アメリカと中国は11日、両国間の貿易の「休戦」を11月10日まで延長すると発表した。世界の2大経済大国が、互いに関税を引き上げる直前での発表となった。両国は共同声明で、高率の関税を、さらに90日間停止するとした。

ドナルド・トランプ米大統領は11日、追加関税の一部停止を延長する大統領令に署名した。中国も同様に、関税措置の一部停止を延長すると発表した。

今回の合意では、アメリカは中国からの輸入品に対する関税を30%に据え置く。一方、中国はアメリカ製品に対する関税を10%のままにする。

トランプ氏は11日、記者団に対し、追加関税停止の延長については明言しなかったが、交渉は「うまく」進んでいると述べた。トランプ氏は前日には中国に対して、アメリカ産大豆の購入を増やすよう求めていた。

アメリカは今回の関税停止延長について、「貿易不均衡の是正」と「不公正な貿易慣行」に関する交渉により多くの時間を充てられるようになるとした。

これまでアメリカは一時、中国製品に145%の関税をかけると脅していた。これに対し中国は、アメリカ製品への関税を125%に引き上げて対抗した。その後、5月のスイス・ジュネーヴでの協議で、両国の関税率は低減された

アメリカの対中貿易赤字は昨年、3000億ドル(約44.5兆円)近くに上り、アメリカにとって中国は、最も赤字の大きい貿易相手国となっている。

在米中国大使館の報道官は、「中国とアメリカのウィンウィンの協力こそが正しい道であり、抑圧や封じ込めは何にもつながらない」と述べた。また、アメリカに対し、「不合理な」貿易制限の撤廃や、双方の企業に利益をもたらす協力、世界の半導体生産の安定の維持を求めた。

両国は7月、貿易について協議し、「建設的」なものとなったとしていた。中国交渉団のトップは当時、両国が「休戦」の維持に努めると説明。米政府関係者らも、トランプ大統領の最終的な署名を待っているところだとしていた。

不確実が続くだけとの声も

関税が物価や経済に与える影響が懸念される中、米中同士の関税引き上げが復活すれば、貿易の混乱や不透明感がさらに高まる恐れがあった。

追加関税の停止が延長されたものの、アメリカの企業経営者からは、不確実性が続くだけだとの声も出ている。

米中両国は、中国のレアアース(希土類)へのアクセス、中国によるロシア産原油の購入、アメリカによる半導体チップなどの先端テクノロジー製品の中国への輸出規制などの問題について、話し合いを続けている。

トランプ氏は最近、こうした輸出規制の一部を緩和。AMDやエヌビディアといった企業に対し、収益の15%を米政府に分配するという条件で、中国企業への特定のチップの販売再開を許可した。

アメリカはまた、動画投稿アプリTikTokを、中国企業バイトダンスから分離独立させるようとしているが、中国はこの動きに反対している。

追加関税が一時停止状態にあっても、両国間の貿易は今年、大幅に減少している。米政府の統計では、6月のアメリカの中国製品の輸入は、昨年同月比でほぼ半減している。

今年上半期でみると、アメリカが輸入した中国製品は1650億ドル(約24.5兆円)相当で、昨年の同時期と比べ約15%減った。アメリカの対中輸出は、前年同期比で約2割減少した。