アメリカ、在レバノン大使館の一部職員に退避指示 イランめぐり緊張高まるなか

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アメリカ政府は23日、レバノンの首都にある自国の大使館で緊急性の低い業務を担当する全ての職員に対し、国外退避を命じた。米国務省高官がBBCに明らかにした。
この決定は、中東地域での緊張が高まる中で下された。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランの核開発を制限するための合意が実現しなければ、イランに対して軍事行動を取る可能性を示唆している。
イランはこれまで、アメリカから攻撃を受けた場合は報復すると繰り返し誓っている。そうした事態に発展すれば、中東にあるアメリカ軍の基地や施設が標的になる可能性があるとみられている。
こうした中、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、イスラエル訪問を延期したとみられる。理由は明らかにしていない。
米国務省高官は、「我々は、安全保障環境の評価を継続的に行っている。最新の検討に基づき、必要最小限の人員に縮小することが賢明だと判断した」と説明した。
「(在ベイルートの)大使館は、中核スタッフを配置した状態で業務を継続している。これは人員の安全を確保しつつ、米市民を支援する能力を維持するための一時的措置だ」
ロイター通信は空港関係者の話として、同大使館の職員約50人が退避を命じられ、23日に職員32人とその家族がベイルートの空港から出国したと報じた。
部分的退避の具体的な理由は明らかにされていないが、トランプ氏は先に、イランが核合意に応じなければ「悪いこと」が起こるだろうと発言していた。
トランプ氏の発言については、イランの報復措置を招くかもしれないとの懸念を招いている。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、米軍を威嚇する内容をソーシャルメディアに投稿している。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは、イランの支援を受けている。アメリカは、1983年の在ベイルートの米大使館と海兵隊兵舎爆破事件について、ヒズボラに責任があるとみなしている。
トランプ氏は19日、イランの核開発をめぐって同国と進めている協議について、合意に達するか、それともアメリカが軍事行動に出ることになるかは、「今後おそらく10日以内に」明らかになるだろうと述べていた。
アメリカと欧州の同盟国は、イランが核兵器の開発に動いていると疑っているが、イランはこれを一貫して否定している。
アメリカとイランの当局者は先週、スイス・ジュネーヴで核などをめぐり協議し、進展があったと述べていた。
それでもアメリカは、イラン周辺での大規模な軍事展開を一層強化している。同地域には駆逐艦、戦闘艦、戦闘機が配備されているほか、世界最大の軍艦とされる「ジェラルド・R・フォード」が向かっているとみられる。
BBCヴェリファイ(検証チーム)はすでに、イランから約700キロメートルのオマーン沖を航行する米海軍の原子力空母「エイブラハム・リンカーン」の姿を、複数の衛星画像で確認している。

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アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使は22日、米FOXニュースに対し、イランがアメリカの軍備増強に直面しながら「降参」しないでいるのはなぜなのか、トランプ氏が「興味を持っている」と語った。
トランプ氏は20日、イランの核開発を制限するための合意をイラン側に迫るため、限定的な軍事攻撃を検討していると述べた。
同氏が19日に示した「10日間」の猶予は、今週末に期限切れとなる。その後何が起こり得るのか、あるいはトランプ氏が期限よりも前に攻撃することを選ぶのかは不明だ。
昨年6月にイランの核施設を空爆した「ミッドナイト・ハンマー作戦」の前日にも、ホワイトハウスは「今後2週間以内に(軍事行動を)行うか行わないかを判断する」としていた。
イランはアメリカの核施設攻撃への報復として、カタールにあるアルウデイド米空軍基地に向けてミサイルを発射した。
イランのアッバス・アラグチ外相は22日、アメリカとの論争について、「お互いに利益がある」外交的解決の可能性は残されているとの見解を示した。アラグチ外相は、交渉担当者が合意条件について協議を続けていると、米CBSニュースに述べた。
一方でイラン国内では先週末に複数の大学で、1月以来の大規模な反政府デモが行われた。1月の反政府デモでは、当局が抗議者を暴力的に弾圧し、数千人が死亡した。
トランプ氏はこれまで、反政府デモの参加者への支持を表明している。今月上旬には、イランの政権交代は「起こり得る最高の結果」だと述べた。
米国務長官のイスラエル訪問が延期
こうした中、ルビオ米国務長官のイスラエル訪問が延期された模様。米国務省関係者は、訪問日程が「変更される可能性がある」としている。
当局は先週、ルビオ氏が28日にイスラエル入りし、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談する予定だとしていた。しかし、イスラエル・メディアは、3月2日に延期されたと報じている。米国務省は今のところ認めていない。
当局者は、ルビオ氏は「依然としてイスラエル訪問を計画している」としたが、具体的な日程には言及しなかった。
ネタニヤフ首相は23日、アメリカとイランが対立する中、イスラエルは「複雑で困難な日々」に直面しているとした。「我々は注意深く観察し、あらゆる事態に備えている」と、イスラエル議会で語った。
そして、イランがイスラエルを攻撃するという決断を下せば、「イランが想像すらできないほどの力で」対応するだろうと付け加えた。











