金正恩総書記の娘が「最も有力な」後継者、北朝鮮=韓国情報当局

ミサイル実験を視察する北朝鮮の金正恩総書記(中央)と並ぶ娘のキム・ジュエ氏(2023年3月20日)

画像提供, Reuters

画像説明, ミサイル実験を視察する北朝鮮の金正恩総書記(中央)と並ぶ娘のキム・ジュエ氏(2023年3月20日)

韓国の国家情報院は5日、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘について、金氏の「最も有力な」後継者だとの見解を示した。

国家情報院が、ジュエ氏を金総書記の後継者と見なすのは初とめて。ただし、北朝鮮の後継者問題についてはなお、「あらゆる可能性」を考慮しているとしている。

ジュエ氏は2022年後半に初めて公の場に登場して以降、さまざまな場面に姿を見せている。

国家情報院は今回、「公の場での活動や、それ以降のキム・ジュエに対する尊敬の度合いを総合的に分析した結果、現時点では、同氏が後継者として最も可能性が高いと思われる」と説明。

「しかし、金正恩はまだ若く、健康に大きな問題もなく、変動要因も多いため、我々はあらゆる可能性に目を光らせている」とした。

ジュエ氏は金氏の第2子とみられ、10歳前後とされる。

韓国の金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官も昨年12月、ジュエ氏について、「金正恩の娘の存在を強調し続けているのは、北朝鮮が困難な内部状況の中で、後継者の意思表示を急いでいる証拠と見ることができる」と、国家情報院と同じ見解を示した。

北朝鮮のオブザーバーらは、ジュエ氏が国内で「尊敬する」娘と形容されていることに注目している。2022年11月に公の場に初登場した際には、ジュエ氏は「最愛の」娘と紹介されていた。

「尊敬する」という形容詞は、最も尊敬を集める者だけに許される。金正恩氏も、将来の指導者としての地位を固めて初めて「尊敬する同志」と呼ばれるようになった。

北朝鮮は建国以来、金一族が3代にわたり統治してきた。国民は、金一族は神聖な血統の出身で、金一族だけが国を導くことができると教えられている。それだけに、金氏は確実に4代目にその座を譲ろうとするはずとみられている。

ジュエ氏は直近では昨年12月、北朝鮮が固体燃料型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した際に、父親に同行していた。11月の軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げの際にも、金氏の側にいた。北朝鮮はこの偵察衛星でホワイトハウスが見えるとしている。

ジュエ氏を早くから公の場に登場させていることについては、権力継承までに娘の地位を盤石にしようという金氏の考えがあるとみるアナリストもいる。

また、家父長制が根強く浸透している北朝鮮で、女性に対する偏見を克服するために時間をかけているとの見方もある。同国では女性が国を率いたことはない。

ジュエ氏の存在が最初に知られたのは2013年、元米バスケットボール選手のデニス・ロッドマン氏が北朝鮮を訪問し、物議をかもした時のことだ。

ロッドマン氏は金一家と海沿いで過ごし、「赤ちゃんを抱いた」と話した。

金氏は家族について厳しい秘密主義を取っている。妻の李雪主(リ・ソルジュ)の存在でさえ、結婚からしばらくたつまで隠されていた。

追加取材:イ・ホス(ソウル)