北朝鮮、「軍事偵察衛星」の打ち上げに成功と発表 沖縄上空通過で一時避難呼びかけ

北朝鮮の2度目の偵察衛星打ち上げを報じるテレビニュース(8月)

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画像説明, 北朝鮮の金正恩総書記は偵察衛星を何としても手に入れようとしている。画像は、8月の2度目の偵察衛星打ち上げを報じるテレビニュース

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は22日、軍事偵察衛星の打ち上げに成功したと報じた。同国は21日午後10時43分ごろ、北西部・東倉里から飛翔(ひしょう)体を発射した。

KCNAは国家航空宇宙技術総局の話として、中国との国境に近い「西海(ソヘ)衛星発射場」から軍事偵察衛星「万里鏡1号」を打ち上げ、正確に軌道に進入させることに成功したと伝えた。

打ち上げには金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が立ち会ったという。

偵察衛星の打ち上げに成功したという北朝鮮側の主張は、まだ検証されていない。

飛翔体は沖縄県の上空を太平洋側へ通過した。

日本政府は一時、全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて沖縄県の住民に屋内への避難を呼びかけた。

岸田文雄首相は21日深夜、「いまのところ被害は確認はされていない」としたうえで、北朝鮮を次のように非難した。

「人工衛星と称したとしても、弾道ミサイル技術を使用した発射は明らかに、関連する国連安保理決議違反だ。我が国の国民にとって、安全に関わる重大な事態だ」

「北朝鮮に対しては、すでに厳重に抗議し、最も強い口調で非難をした。今後も警戒監視、情報収集に努め、日米、日米韓、関係国と連携して対応を続けていく」

米ホワイトハウスも、複数の国連安保理決議に対する「大胆な違反」だとした。

韓国は飛翔体発射を受け、南北軍事境界線沿いの監視活動を再開すると表明した。北朝鮮と韓国は2018年に、境界線を越えた小競り合いや攻撃の回避を目的とした軍事合意を結んでいるが、韓国はこの合意の一部の効力を停止することになる。

北朝鮮が軍事偵察衛星と称するものを打ち上げたのは今回で3度目で、5月8月の打ち上げはいずれも失敗している。同国は、22日午前0時から12月1日午前0時までの間に「人工衛星」を打ち上げると、日本側に21日に通告していた。

しかし実際には、この通告期間よりも前に飛翔体を発射した。

日本の海上保安庁によると、北朝鮮からの落下の予告地点は、北朝鮮の南西側の黄海、東シナ海上の2カ所、フィリピン・ルソン島の東側の太平洋上の1カ所の計3カ所。

通告を受けた日本は、韓国やアメリカと連携するとともに、国連決議に違反する飛翔体の打ち上げを行わないよう、北朝鮮に「強く求める」としていた。

韓国軍合同参謀本部の姜鎬弼(カン・ホピル)作戦本部長は、発射すれば韓国政府が「必要な措置」をとると警告していた。

偵察衛星への強い思い

北朝鮮の最高指導者である金総書記にとって、襲い来る攻撃を監視し、より正確に自分の攻撃を計画できる偵察衛星は、何としても手に入れたいものになっている。

しかし、人工衛星の打ち上げを北朝鮮のミサイル技術実験の口実とみなしている国連安保理は、北朝鮮の人工衛星の打ち上げを禁止している。

韓国は5月に北朝鮮が初めて打ち上げた衛星の破片を回収し、この衛星に「軍事的な有用性はない」としていた。8月に2度目の打ち上げに失敗した後、北朝鮮の宇宙開発局は10月に再び打ち上げを行うとしていた。しかし結局、10月に動きはなかった。

ロシアのウラジーミル・プチン大統領は9月、ロシア極東アムール州のボストチヌイ宇宙基地で金氏と会談した際、北朝鮮の人工衛星開発を支援する意向を示した。実際に何を約束したのか詳細はわかっていない。

韓国は今月初め、月末までに独自の偵察衛星を打ち上げる計画だと発表した。衛星は米宇宙開発企業スペースXのロケットで打ち上げられる予定。

これは、韓国政府が2025年までに打ち上げる予定としている五つの偵察衛星の1基目だと報じられている。

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