北朝鮮、偵察衛星ロケットの発射に失敗と発表

画像提供, Reuters
北朝鮮は31日、初の軍事偵察衛星の打ち上げ時に事故が発生し、海上に墜落したと発表した。
日本と韓国の当局などによると、北朝鮮はこの日早朝、「衛星ロケット」と称する飛翔(ひしょう)体を発射した。
これを受け日本政府は、沖縄県の住民らに、全国瞬時警報システム(Jアラート)で警戒を呼びかけた。その後、この飛翔体が日本の領土に落下する危険はないと発表した。
北朝鮮は前日、アメリカの軍事活動を監視するためとして、「衛星ロケット」を6月11日までに打ち上げる予定だと明らかにしていた。
この日の打ち上げ後には、速やかに2回目を試みるとした。
NHKによると、岸田文雄首相は午前7時半ごろに官邸で、「北朝鮮から弾道ミサイルと思われるものが発射された。現在、被害状況は報告されていない」と記者団に話した。
NHKはまた、韓国軍の合同参謀本部が午前6時29分ごろ、北朝鮮が「宇宙発射体」と呼ぶものが北朝鮮北西部のトンチャンリ(東倉里)付近から南方向に打ち上げられたと発表したと報じた。
韓国の聯合ニュースによると、韓国軍は発射された物体について、飛行中にレーダーから消え、空中で分解したか落下した可能性があるとした。韓国軍はその後、物体の残骸とみられるものを発見し、画像を公開した。
日本は、領土を脅かすものはすべて撃墜する用意があるとしていた。

画像提供, Reuters
ソウルでは警報響く
韓国の首都ソウルにはこの日朝、空襲警報のサイレンと避難の準備を指示する音声が響いた。その約20分後、当局は誤報だったとして取り消した。
朝鮮半島では70年余り、緊張状態が続いている。そうした中で起きた警報システムの誤報は、市民の信頼を著しく損なう恐れもある。この先、警報が出された際に、市民はそれを真剣に受け止めるかもしれないし、今回のようにまたミスが起きたと思うかもしれない。
ソウル在住のキムさん(33)は、緊急警報を受けて「とても怖かった」とし、避難のために荷物をまとめ始めていたと、BBCに語った。
「戦争が起こるとは思ってもいなかった。でも、ウクライナでの戦争が起きて、北朝鮮や中国が(韓国を)侵略するかもしれないと思うようになった」
北朝鮮政府が「正気を失って」侵略を開始したと思ったと、キムさんは付け加えた。
ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長は記者会見で、緊急メールは「過剰反応だったかもしれない」と認めつつ、「安全確保に妥協はありえない」と述べた。
また、混乱を回避するために警報システムの改善を行うと述べたと、AFP通信は伝えた。
安保理決議に違反と非難
北朝鮮の李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長は前日の30日、「衛星ロケット」の発射計画を発表していた。アメリカと韓国による「危険な軍事行為」への対応だとしていた。
李氏はまた、米韓両国について、「侵略のための無謀な野心を公然と示している」と非難していた。
この日の発射を受け、アメリカ、韓国、日本は北朝鮮を非難。米国家安全保障会議(NSC)のアダム・ホッジ報道官は、「外交の扉が閉じたわけではないが、北朝鮮政府は直ちに挑発的な行動を止め、(外交的)関与を選択しなければならない」と述べた。
さらに、アメリカは自国と同盟国を守るために「必要なあらゆる措置」を講じるだろうと付け加えた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、弾道ミサイル技術を用いた発射実験は、関連する安全保障理事会決議に「反する」ものだと非難した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、軍事偵察衛星の開発を国防の重要な要素だとしている。
ソウルの梨花女子大学のレイフ=エリック・イーズリー教授は、北朝鮮が「自らを宇宙開発競争のただ中にあると考えている可能性が高い」と分析。今回の衛星計画の成否にかかわらず、「自国の宇宙能力に関して政治的なプロパガンダを展開するとみられる」と述べた。







