イスラエル国防相、戦後のガザ地区統治計画を発表 戦闘続く

病院の遺体安置所で夫の死を嘆く女性(ハンユニス、4日)

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イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は4日、イスラム組織ハマスとの戦争が終わった後のパレスチナ自治区ガザ地区の統治計画案を発表した。

ガラント国防相は、パレスチナ人による支配を制限することになると説明。ハマスは今後ガザを支配せず、イスラエルがガザ地区全体の安全保障をコントロールするとしている。

ガラント国防相の計画では、イスラエルはガザ地区の安全保障を全面的に担う。イスラエルの爆撃によって広範囲が破壊された同地区の再建には、多国籍軍が関わることになる。隣国エジプトも関与するとされているが、その役割は明示されていない。

国防相の計画は、ガザ地区の運営責任はパレスチナ人が負うことになるとしている。

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ガザ地区では現在も戦闘が続いてる。ハマスが運営するガザ地区の保健省は、過去24時間で十数人が殺されたと発表した。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は5日、トルコ・イスタンブールに到着。10日までの間にヨルダン、カタール、サウジアラビア、エジプト、イスラエルなど中東各地を再訪する予定という。イスラエル高官に加え、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人当局者とも会談するとみられている。

イスタンブールに到着したブリンケン米国務長官(5日)

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隣国ヨルダンでは2日、イスラム組織ハマスの副政治局長サレフ・アル・アロウリ氏が暗殺され、地域の緊張が高まっている。アル・アロウリ氏暗殺はイスラエルによるものとみられている。イスラエルは関与を否定も肯定もしていない

ガザの今後は……イスラエルで不和

ガラント氏は、「ガザの住民はパレスチナ人なので、イスラエル国家への敵対行為や脅威がないという条件の下、パレスチナ人組織が責任を負う」と説明した。

この計画は閣議では詳しく議論されておらず、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこれについて公にはコメントしていない。閣議では、ハマスによる10月7日の攻撃をめぐる調査に名乗りを上げることに反対する閣僚もおり、険悪な雰囲気で解散したと伝えられている。

ガザ地区の「今後」をめぐる協議は、イスラエル国内で深い不和を招いている。

ネタニヤフ政権の一部の右派メンバーは、パレスチナ人をガザ地区から亡命のために離れさせ、ユダヤ人入植地を再建するべきだと主張している。だがこの提案は「過激派」で「機能しない」として、周辺国やイスラエルの同盟国などから否定されている。

ガラント国防相の計画は、一部の閣僚による案に比べれば実用的とみられている。しかし、戦後のガザ地区はガザの住民が全面統治すべきだとするパレスチナ側の指導者からは、拒否される可能性が高い。

ネタニヤフ首相は、ガザ地区がどのように統治されるべきか、自らの考えを公にしていない。

一方で、ガザでの戦争はまだ数カ月続く可能性があり、ハマスの完全な破壊が目標だと公言している。

ガラント氏の計画では、イスラエル防衛軍(IDF)の今後の動きも語られている。

同氏によると、IDFはガザ地区北部ではより標的を絞ったアプローチをとる。これには襲撃やトンネルの破壊、空と地上からの爆撃が含まれている。

ガザ地区南部では引き続きハマス指導者の追跡を行い、イスラエル人の人質を救出するという。

ガザ地区南部ハンユニスであがる空爆の煙(5日)

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画像説明, イスラエル国防軍は5日、北部ガザ市や南部ハンユニスなどで攻撃を行ったと発表した

ガザ地区北部や南部で攻撃続く

IDFは5日、北部ガザ市や南部ハンユニスなどで攻撃を行ったと発表した。

IDFは、「テロリストのインフラ」に対する攻撃を行い、戦闘員だとする複数人を殺したと説明。この戦闘員らは、イスラエル兵の隣で爆発物に点火しようとしたのだと述べた。

また、「パレスチナ・イスラム聖戦」高官のマムドゥ・ロロ氏を空爆で殺害したと発表した。

ハマスが運営する保健省は、4日から5日にかけて24時間で125人が殺害されたと発表。うち、9人の子供を含む14人は、ハンユニス西郊のアル・マワシに対する空爆で殺されたという。

IDFはアル・マワシを、避難民となったパレスチナ人の「安全な場所」としていた。IDFはハマスのこの主張についてコメントしていない。

攻撃を目撃したジャマル・ハマド・サラフさんはロイター通信に対し、「真夜中に寝ていると、キャンプのテントに砲撃が当たった。人々が寝ていたテントだ。大半は子供だった」と話した。「40メートル先に吹き飛ばされた遺体もあった」。

また、ガザ地区中部の住民はBBCニュースに、「安全な場所はない」と語った。

「子供が街中で泣いている。母親が泣いている子供を抱えている。食べ物はないし、水もない。状況は毎日、悪化している」と、この住民は話した。「この戦争にはもう1秒も耐えられない(中略)これ以上続くなら、ゆっくりと死んでくだけだ」

ハマスが運営する保健省によると、イスラエルの報復攻撃が始まってから今年1月4日までのガザ地区での死者数は2万2400人に上っている。これは、同地区の人口230万人の約1%に当たる。

イスラエルは昨年10月7日、ハマスがイスラエルを吸収し、約1200人を殺害、240人を人質にとった事件の後に攻撃を開始した。犠牲者の大半は民間人だった。