暗殺されたハマス高官の葬儀に数千人が参列 レバノンのヒズボラはどう対応するのか
ヒューゴ・バチェガ、中東特派員(ベイルート)

画像提供, EPA
レバノンの首都ベイルートで4日、イスラム組織ハマスの副政治局長サレフ・アル・アロウリ氏の葬儀が行われ、数千人が参列した。アル・アロウリ氏はベイルートで2日、イスラエルによるものとみられる攻撃で暗殺された。
葬儀では、アル・アロウリ氏の写真や、パレスチナやハマスの旗を掲げた人々が列を作った。音楽や祈りの声が響く中、激しい銃声も聞こえた。ハマス高官らは、復讐を誓っている。
アル・アロウリ氏は、イスラエルとハマスが昨年10月に戦争を開始してから殺されたハマス高官の中で最も高位。ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏の側近で、ハマスとヒズボラの仲介役として、レバノンで活動していた。
イスラエルの報道官は2日、アル・アロウリ氏が「ハマス指導部に対する局地的な攻撃」で死亡したと説明。イスラエルが暗殺を実行したとは認めなかった。また、攻撃はレバノンに対するものではないと強調した。
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスにとって、軍事部門カッサム旅団の重要人物だったアル・アロウリ氏の死は大きな打撃であり、地域紛争の拡大につながるとの懸念もある。
また、イランの支援を受けているレバノンの武装組織ヒズボラにとっても打撃となった。2日の攻撃は、ヒズボラの強固な地盤として知られているベイルート南郊ダヒヤで行われた。
レバノンでは再び、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の決定に注目が集まっている。
ナスララ師は、アル・アロウリ氏殺害から24時間以内に、ヒズボラのメンバーに対して演説を行なった。この演説は当初、2020年にアメリカに殺害されたイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官の死後4年にあたる追悼のために予定されていたが、自分の庭で起きた事件に言及せざるを得なかった。
ナスララ氏は、アル・アロウリ氏暗殺は「明確なイスラエルの侵略」だと述べ、必ず罰せられるだろうと発言。「敵がレバノンとの戦争を考えているなら、我々の戦いは境界もルールもないもになる」と述べた。
だがこの演説で決定的に重要だったのは、アル・アロウリ氏殺害への関与を肯定も否定もしていないイスラエルについて、攻撃するという公然の脅しがなかったこと、そしてヒズボラがどのように行動するかについての示唆がなかったことだ。
ヒズボラの目的の一つとしてイスラエルの破壊を掲げている。イスラエルも、ハマスよりもヒズボラを宿敵と見なしている。ヒズボラは、イスラエルの奥深くまで攻撃できる精密誘導ミサイルを含む膨大な武器の備蓄と、よく訓練され、戦闘慣れした数万人規模の戦闘員を有している。。
10月にイスラエルとハマスの戦争が始まって以来、ヒズボラはハマスへの支援だとして、ほぼ毎日イスラエル北部の陣地を攻撃している。イスラエル軍は報復しているが、これまでのところ、暴力はレバノンとイスラエルの国境沿いの地域にほぼ収まっている。

画像提供, Reuters
ヒズボラはイスラエルとの全面戦争を避けるために活動を計算しており、その戦略が変わりそうな兆候はない。レバノンの多くの人々が、2006年にイスラエルとヒズボラの間で起きた1カ月に及ぶ紛争による破壊を覚えている。また、同国は大きな経済危機に見舞われているため、軍事的対決を支持する国民はほとんどいない。
イスラエル当局も、ヒズボラに紛争をエスカレーションさせないよう警告している。ヨアフ・ガラント国防相は過去に、イスラエルはガザ地区に対して行っていることをベイルートにもできるのだと発言している。
ガラント国防相は4日、テルアヴィヴでアモス・ホッホシュタイン米大使と会談し、イスラエル北部の治安状況を改善し、絶え間ない攻撃のために避難している住民の帰還を可能にするとの決意を再確認した。しかし、「我々は外交的な理解を得たいが、そのための時間は短い」と語った。
しかしイスラエルには、ヒズボラがもたらす脅威を排除するために、さらなる行動を支持する政府高官もいる。
ナスララ師は5日にも支持者を前に演説する予定だ。一連の演説は、どんな理由であれ、同氏がイスラエルとの大きな衝突の引き金を引くことを避けたいことの表れかもしれない。一方で、ベイルートでの攻撃に対処していると示す必要もある。だがどのような形であれ、イスラエルからの強力な報復や、レバノンにとって再び壊滅的な紛争が起こる可能性を避けるように調整される可能性が高い。









