ハマス副政治局長、ベイルートで殺害される

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イスラエルの報道官は2日、レバノンの首都ベイルートでイスラム組織ハマスの高官サレフ・アル・アロウリ氏(57)が殺害されたと発表した。アル・アロウリ氏は、イスラエルとハマスが昨年10月に戦争を開始してから殺されたハマス高官の中で最も高位。
イスラエルは、アル・アロウリ氏は「ハマス指導部に対する局地的な攻撃」で死亡したと説明。また、攻撃はレバノンに対するものではないと強調した。
これに対しハマスは、ハマス副政治局長のアル・アロウリ氏殺害を「テロ行為」だと非難。イスラエルに「罰」を与えると警告した。また、レバノンの武装組織ヒズボラは、レバノンの主権に対する攻撃だと指摘した。
レバノンのナジーブ・ミーカーティー首相は、イスラエルが「レバノンを対決に引き込もうと」したと非難した。
レバノン・メディアによると、アル・アロウリ氏は、ベイルート南部で行われたドローン攻撃で殺された。他にハマスの軍事司令官2人と、その他のメンバー4人も殺害された。
アル・アロウリ氏はハマス軍事部門カッサム旅団の重要人物で、ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏の側近。ハマスとヒズボラの仲介役として、レバノンで活動していた。
イスラエル政府のマーク・レゲヴ報道官は、イスラエルが暗殺を実行したとは認めなかったが、「誰がやったにせよ、これはレバノン国家への攻撃ではないことをはっきりさせる必要がある」と述べた。
「これはテロ組織ヒズボラへの攻撃ですらない。実行者が誰であれ、この局地的な攻撃はハマス指導部に対するものだ。実行者は誰であれ、ハマスに不満を持つ人間だ。それは非常に明確だ」
イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルは、アル・アロウリ氏がイランとヒズボラに最も近いハマス幹部の一人だったとしている。

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レバノンの国営通信は、イスラエルがベイルート南郊ダヒヤにあるハマスの事務所をドローンで攻撃し、アル・アロウリ氏を殺害したと報じた。
ロイター通信は目撃者の話として、消防隊員や救急隊員が高層ビルに集まっていたと報じた。高層ビルの3階辺りには、大きな穴が開いていたという。
ソーシャルメディアに投稿された動画では、人の多い住宅地の中に、燃え上がる自動車や大きな被害を受けた建物が見える。
ダヒヤは、ヒズボラの強固な地盤として知られている。
ハマス政治部門トップのハニヤ氏は、この攻撃を「卑怯なテロ攻撃で、レバノンの主権を侵害し、(イスラエルの)攻撃の輪を広げるものだ」と非難した。
ヒズボラは、アル・アロウリ氏の死は「レバノンとレバノンの人々、レバノンの安全保障、主権、抵抗、そしてレバノンを象徴する重要な政治的・安全保障的メッセージに対する深刻な攻撃」だと位置づけた。
また、この攻撃は「戦争における危険な展開だ。(中略)我々ヒズボラは、この犯罪に対抗措置と懲罰が行われないことはないと断言する」と述べた。
「ヒズボラの手は引き金にかけられている。ヒズボラは、最高水準の準備態勢にある」
ハマスとヒズボラを支援するイランは、アル・アロウリ氏の殺害を機に「抵抗の動きにさらに火が付き、盛り上がるはずだ」としている。
イスラエルの戦時内閣は3日に戦後のガザ地区をめぐる計画について会議を開く予定だったが、キャンセルされた。
イスラエル報道によると、アル・アロウリ氏はヨルダン川西岸地区でハマス軍事部門の事実上の指導者で、同地区での攻撃を指揮していたとされる。2014年に西岸地区でイスラエル人の10代少年3人が誘拐され殺害事件への、関与も疑われているほか、他の攻撃に関してイスラエルの刑務所に収監されたこともある。
パレスチナ自治区ガザ地区を支配するハマスは10月7日にイスラエルを襲撃し、約1200人を殺害した。ほとんどが民間人だった。また、約240人を人質としてガザ地区に拉致した。
これに対してイスラエルは、ハマス破壊を掲げて軍事作戦を展開。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、これまでに2万2000人のパレスチナ人が殺された。その大半が女性と子供だという。
こうした中でヒズボラもイスラエルにロケット弾を撃ち込むなど、イスラエルと衝突を繰り返している。








