イスラエル、地上作戦をガザ中部に拡大 住民にあらためて退避命じる

イスラエル南部からガザ地区に向けて砲撃するイスラエル軍の戦車(27日)

画像提供, Reuters

画像説明, イスラエル南部からガザ地区に向けて砲撃するイスラエル軍の戦車(27日)。イスラエル軍トップはハマスとの戦闘はまだ「何カ月も」続くとしている

イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区での地上攻撃を、中部の難民キャンプへと広げている。現地メディアが27日、報じた。イスラエルは、イスラム組織ハマスとの戦争について、まだ何カ月も続くとしている

イスラエル軍はここ数日、ガザ中部のブレイジ、ヌセイラット、マガジの各難民キャンプに激しい砲撃を実施し、数十人を殺害したと報じられている。国連は深刻な懸念を表明している。

パレスチナのメディアは現地当局者や目撃者の話として、イスラエルがガザ全域で夜通し空爆を実施し、民間人数十人が殺害されたと伝えた。

パレスチナ自治政府の通信社WAFAは27日、ヌセイラット難民キャンプでイスラエル軍機が民家を攻撃し、多数の死傷者を出したと報じた。

ハマス系の通信社SAFAも、マガジ難民キャンプで女子校が攻撃され、5人が殺されたと伝えた。

ロイター通信は住民らの話として、ブレイジ難民キャンプの東部と北部や、近くのジュフル・アル・ディーク村で激しい戦闘があったとした。

南部でも多数殺傷される

激しい戦闘や砲撃は27日、ガザ南部でも続いた。

ハマスが運営するガザ保健当局は同日午後、南部ハンユニスで避難者らが身を寄せていた住宅が空爆され、20人が殺害されたと発表した。この住宅はアル・アマル病院の近くにあった。

同病院を運営するパレスチナ赤新月社は、空爆が数十人を死傷させたとし、救急隊員や付近の人々が路上で数人の遺体を収容している生々しい場面の動画を投稿した。

イスラエル軍はこれらの攻撃について、すぐにはコメントしていない。

同軍のダニエル・ハガリ報道官は26日夜、同軍が「『中部キャンプ』と呼ばれる地域に戦闘を拡大した」と記者団に話した。

同軍は先に、ガザ中部に戦車数台が展開している様子や、ブレイジ難民キャンプで発見したとするトンネルの縦穴やハマスの訓練施設の動画や写真を公開していた。

中部住民に退避を指示

イスラエル軍はまた、ガザ中部の十数地域の住民にあらためて退避を命じた。ブレイジ、ヌセイラット両難民キャンプも対象になっている。

国連によると、対象地域には戦闘前で9万人近くが住んでいた。現在は六つの避難所ができており、そこで北部からの避難者ら約6万1000人が生活している。

住民らは、近隣の町デイル・アル・バラの避難所にすぐに移動するよう指示されている。同町にはすでに数十万人の避難者が押し寄せている。

国連人権高等弁務官事務所は26日、ガザ中部と人々が密集しているキャンプへの砲撃が続いていることに深刻な懸念を抱いているとする声明を発表した。その中で、国際NGO国境なき医師団の報告書を引用。イスラエルが24日にマガジとブレイジの両難民キャンプを攻撃し、デイル・アル・バラのアル・アクサ病院が131人の遺体を収容したとした。

また、三つの難民キャンプを結ぶすべての道路が破壊され、まだ機能している避難所や病院は危機的な過密状態と人手不足に陥っていると指摘。「すでに壊滅的な人道状況が深まっている」と警鐘を鳴らした。

ガザ中部の難民キャンプから避難する人々(26日)

画像提供, EPA

画像説明, ガザ中部の難民キャンプから避難する人々。国連は退避が命じられた地域には計15万人以上が生活しているとしている(26日)

<関連記事>

ガザ保健当局は、過去24時間で少なくとも195人が殺害されたと発表した。

同省によると、ガザでは戦闘開始からの11週間で2万1100人以上が殺されている。そのほとんどが子どもと女性だという。

この戦争は、ハマスの武装集団が10月7日にイスラエル南部を襲撃したことで始まった。ハマスはイスラエルで民間人を中心に少なくとも1200人を殺害し、約240人を人質に取った。

人質のうち、イスラエル人の女性や子どもら105人が11月下旬に解放された。現在、まだ100人以上がガザで生存しているとみられている。

一方で、多くの遺体も発見されている。イスラエル当局は、ハマスに拘束された20人以上について死亡を確認している。

イスラエル軍トップのヘルジ・ハレヴィ参謀総長は26日、ガザでの戦闘について、「複雑な地域」で起きているとし、「何カ月も」続くだろうと述べた

ジェノサイドを超えている」とアッバス議長

こうしたなか、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長が27日、ガザでの戦闘が始まってから初めて、メディアのインタビューに応じた。同政府は、イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区を拠点とし、ハマスとは政治的なライバル関係にある。

アッバス氏はエジプトのONテレビに、「パレスチナ自治区で起きていることは、大惨事をはるかに超え、ジェノサイド(集団虐殺)をはるかに超えている。パレスチナ人はこんなことを見たことがなかった」と述べた。

また、ヨルダン川西岸の住民らの不満がいつ爆発してもおかしくないと警告した。

パレスチナ自治政府の保健省によると、ヨルダン川西岸の町トゥルカルム近郊で27日、イスラエル軍が難民キャンプに突入。ドローン(無人機)による空からの攻撃で、17歳の少年ら6人のパレスチナ人が殺害された。

イスラエル軍は、指名手配者を拘束する作戦を遂行中、「武装テロリスト」6人が部隊に爆発物を投げつけたため、空からの攻撃で殺害したとした。