イスラエル軍、ガザ南部ハンユニスに前進続ける 戦闘まだ1カ月は続くとみる専門家も

パレスチナ自治区ガザ地区南部のハンユニスでは、イスラエルの空爆で大きな黒煙が上がった(11日)

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画像説明, パレスチナ自治区ガザ地区南部のハンユニスでは、イスラエルの空爆で大きな黒煙が上がった(11日)

パレスチナ自治区ガザ地区で攻撃を続けるイスラエル軍は11日、このところの戦闘の焦点となっている南部の最大都市ハンユニスに向けて前進を続けた。こうしたなか専門家の間では、戦闘はあと1~2カ月続くとの見方が出ている。

イスラム組織ハマスが運営するガザ保健当局は、10月7日の戦争開始以降、1万8200人以上のパレスチナ人が殺され、約5万人がけがを負わされたとしている。

一方、イスラエル当局は11日朝、同国軍の兵士7人が殺害されたと発表。開戦以降の兵士の死者は104人になったとした。

イスラエル軍の戦車は先週末以降、ゆっくりと東側から迫っている。同軍はハンユニスの住民らに対し、市内西部のアル・マワシ地区へ移動するよう求めるビラをまいている。しかし、同地区は狭く、インフラ設備もない。

ハンユニスはガザ全体で2番目に大きい都市。大型の建物や商店があり、まだ数十万人がいるとされる。

ハンユニスの病院の院長はBBCに、運び込まれる負傷者が多く、スタッフは対応に苦慮していると話した。病院には医薬品がほとんど残っておらず、食料、水、燃料の不足にも苦しんでいるという。

パレスチナ保健当局によると、ガザ北部のガザ市や南部のラファ、ハンユニスでイスラエル軍の空爆が続いており、24時間で計数十人が殺害されたという。

イスラエルに向けてもロケット弾がガザから発射されている。中部ホロンでは1人がけがを負わされた。

イスラエルは10月7日のハマスの襲撃で約1200人が殺害され、約240人が人質に取られたとしている。人質の一部は戦闘休止中に解放されている。

支援物資を増やす動き

ハンユニスでは北部などから避難してきた住民らがテント生活を送っている。飢えや病気が懸念されている(11日)

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画像説明, ハンユニスでは北部などから避難してきた住民らがテント生活を送っている。飢えや病気が懸念されている(11日)

イスラエル当局は、同国とガザ地区の境界にあるケレム・シャローム検問所が12日に開かれ、支援物資の検査を始めると発表した。ガザに運び込まれる「支援物資の量が倍増する」としている。

イスラエルはこれまで、エジプトとガザの境界にあるラファ検問所からガザに入る支援物資を積んだトラックを、検問所から約40キロメートル南にある、エジプトとイスラエルの国境のニツァーナで検査していた。今回、検査地点を増やす方針を示した。

ケレム・シャローム検問所は、トラックの検査だけに使われる見通し。トラックがガザに入るのは、これまでと同じくラファ検問所からとなる。

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国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、「意味ある支援」を確実にガザに届けるには停戦が緊急に必要だと話した。

一方、UNRWAのジュリエット・トゥーマ広報官は、ガザでは支援物資をめぐって「市民社会の秩序がほぼ完全に崩壊している」と説明。

支援物資のトラックをハマスが途中で押さえた場面だとする動画がソーシャルメディアに出回っていることについてBBCが質問すると、「とても悲しいことだが、私たちの倉庫が侵入され、物資が奪われる事案が何度か起きている」と述べた。

また、「ひたすら空腹だった」人々が支援トラックを押さえ、「その場で食料を食べた」ケースも起きていると話した。

あとどれくらい続くのか

イスラエルのメディアなどで、戦闘がいつ終わるのか関心が高まっている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「ハマスの終わりの始まり」を迎えていると10日に発言した。同国軍トップのヘルジ・ハレヴィ参謀総長は、「テロリストらが投降している。(中略)彼らのネットワークが崩壊しているしるしだ」と述べている。

しかし、米シンクタンク「ワシントン近東政策研究所」の軍事アナリストのネリ・ジルバー氏は、ハマスが崩壊目前だとの見方は「あまりに楽観的」だとBBCに話した。

同氏によると、イスラエルは戦闘開始前に推定2万5000〜3万人いたハマス戦闘員のうち約7000人を殺したとしている。ただ、同氏の分析では、ハマスの五つの旅団のうち北部の二つは「極度のダメージ」を被っているが、南部の三つはまだ戦闘を続けているという。さらにハマスは今も「イスラエル南部だけでなく時には中部にもロケット弾を撃ち込み続け」ているだけに、ジルバー氏は、イスラエル軍の地上作戦は少なくともあと1カ月は続くだろうとしている。

一方、イスラエルのメディアに出てくるアナリストらは、イスラエル軍がガザの奥深くに師団数個を展開している現在の戦闘について、戦争の「第2段階」と分析。これを来年1月末までに完了させるのが同国軍の意向だとしている。

ただ、アメリカはこの段階を年内に終わらせるよう、イスラエル側に水面下で要求しているとみられている。

専門家らは、戦争の「第3段階」ではイスラエル軍がガザの緩衝地帯に部隊を暫定配置し、最終「第4段階」でハマスに代わる新政権がガザに誕生するとしている。

イスラエルのメディアは先週末、ガザでの激しい作戦はあと2カ月続くだろうとする当局の見方を報じた。

支援機関は、ガザの人々は爆弾で殺されないとしても、飢えと病気で生き延びられないかもしれないと警告している。