ガザ支援物資の搬入遅れ、国連総長が検問所視察 イスラエルは「全アクセスの遮断」が目標か

Trucks of a humanitarian aid convoy are parked outside border gate between in Rafah, Egypt, 19 October 2023

画像提供, EFE

画像説明, ラファ検問所の再開を待つ人道支援物資を載せたトラック(19日、エジプト)

パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で、ガザ地区の人道状況が悪化する中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は20日、同地区南部とエジプトを結ぶラファ検問所をエジプト側から訪問し、支援トラックをガザ地区に入れるよう嘆願の演説を行った。同検問所からの支援物資の搬入は21日、予定より1日遅れて始まった。

グテーレス事務総長は20日、「このトラックはただのトラックではない。これは生命線だ。ガザ地区の大勢の人々の生死を分けるものだ」と述べた。

「このトラックを動かさなければならない」

ラファ検問所をめぐっては、アメリカのジョー・バイデン大統領が19日、エジプトが支援物資を積んだトラックがラファ検問所を通ってガザ地区に入ることに同意したと明らかにした。

イスラエル首相官邸は声明で、「ガザ地区南部の民間人への食料や水、医薬品に限ってであれば、エジプトからの人道的物資の供給を妨害しない」とした。

バイデン氏は、支援物資の運搬が20日にも始まるとしていたが、21日に予定より1日遅れて搬入が始まった。

国連は先に、「21日以降」にも最初の物資がガザ地区に搬入されるはずだとしていた。

国連の事務次長(人道問題担当)兼緊急援助調整官のマーティン・グリフィス氏は、「我々は、ガザでの援助活動ができるだけ早期に開始されるよう、関係各所と深く高度な交渉を行っている」と述べていた。

グテーレス事務総長
画像説明, ガザ地区南部とエジプトを結ぶラファ検問所を訪問した国連のグテーレス事務総長(20日、エジプト)

こうした中、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、21日にエジプト・カイロで開催される停戦を目指す会議に、各国首脳らとともに出席すると発表した。パレスチナ自治政府は、ハマスと政治的に対立している。

エジプトのエジプトのアブドゥル・ファッターハ・アル・シーシ大統領が主催するこの会議では、「2国家共存」を前提に、イスラエル・パレスチナ紛争の終結を目指すものになるとされている。

国連のグテーレス事務総長のほか、欧州連合(EU)の代表や、アラブ諸国および欧州各国の首脳も参加する予定。

WFP、ガザへの「完全かつ制限のないアクセス」求める

国連世界食糧計画(WFP)は20日、必要不可欠な人道援助が民間人に届くよう、ガザ地区への「完全かつ制限のないアクセス」の確保を求めた。

WFPのシンディ・マケイン事務局長によると、ラファ検問所で物資の滞留が続いているため、WFPが人口密度の高いガザ地区内で確保している食料は「1週間分にも満たない」量しか残っていない。

「私たちがアクセスできなければ、人々が死んでしまう」

マケイン氏はまた、WFPは食料が自分たちの望んでいない人々に渡るのではなく、確実に「届けるべき場所に届く」よう、「あらゆる手だてを尽くしている」と述べた。

「すべてのアクセス断つこと」が長期目標か

イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区への軍事作戦について、同地区へのすべてのアクセスを断つことが長期的な目標だと示唆している。

イスラエルのヨアフ・ガラント国防相は、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスを打倒したあかつきには、イスラエルは「ガザ地区での生活への責任」を終えると述べた。

今回の紛争が起こる前、イスラエルはガザ地区が必要とするエネルギーの大半を供給していたほか、同地区への輸入品を監視していた。

ガラント氏の発言は、イスラエルがガザ地区への空爆と、エジプトとの境界を封鎖している中でのものだ。

イスラエルの空爆は、10月7日にハマスの戦闘員がイスラエルを攻撃し、少なくとも1400人を殺害、203人を人質にとったことへの報復措置だ。イスラエル軍は近々、地上作戦を始めるとしている。

ガラント氏の事務所が発表した声明によると、同氏は20日に議会委員会に対し、作戦の第1段階ではハマスのインフラを破壊するのが目的だと述べた。

また、イスラエル軍はその後、「抵抗勢力」を排除するために「より勢いの弱い作戦」を開始するとという。

さらに第3段階では、「ガザ地区での生活に対するイスラエルの責任を取り除き、イスラエル市民のための新たな安全保障の現実を確立する必要がある」としている。

Smoke rises following an Israeli air strike in northern Gaza, 20 October

画像提供, EPA

画像説明, イスラエル軍の空爆を受けたガザ地区北部(20日)

イスラエルは2005年にガザ地区から撤退したものの、国連はガザ地区を(ヨルダン川西岸地区と東エルサレムと共に)イスラエルの占領地だとみており、住民の生活必需品への責任はイスラエルにあるとしている。

イスラエルはかつて、ガザ市民が労働のために境界を越えることを許可していた。また、ハマスが武器を入手しないよう、ガザ地区への輸入品を監視してきた。

だが10月7日の攻撃以降、イスラエルはガザ地区への電力供給に加え、食料や医薬品の供給も停止した。国連はこの状況を「大惨事以上の事態」だとしている。

アメリカとエジプトは先に、ガザ市民220万人を救済するため、物資の一部供給を許可することで合意した。

人道支援組織からは、支援はもっと必要だとの声が出ている。

Israeli tanks seen on a road near Israel's border with the Gaza Strip, in southern Israel, 20 October

画像提供, Reuters

画像説明, ガザ地区との境界近くで展開するイスラエルの戦車(20日)。イスラエルは同地区への地上攻撃の準備を進めている