【解説】 ガザのラファ検問所、エジプトはなぜ再開をためらっているのか
セバスチャン・アシャー、BBCアラブ情勢編集長

画像提供, Getty Images
パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で、同地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所がいつ再開されるのかに注目が集まっている。
エジプトは長年にわたり、イスラエルとパレスチナの紛争だけでなく、パレスチナ内部の主要組織の間の争いでも調停役を果たしてきた。
1978年にはアラブ国家として初めてイスラエルと和平を結んだ。
そして今、エジプトが管理するラファ検問所が注目を集めている。ガザ地区から外に出る二つの陸路のうちの一つだ。
検問所のガザ側では数千人のパレスチナ人が再開を待っている。一方のエジプト側では、緊急に必要とされている支援物資を積んだトラックが何百台も列をつくっている。さらに、多くの支援車両が今も国境に向かっている。
しかし、検問所の再開は合意に至っていない。数日前からは、検問所がイスラエルに何度か空爆されたと報じられている。
エジプトのサメ・シュクリ外相はBBCの番組「ニューズアワー」で、同国から見れば「ラファ検問所のエジプト側は正式に開いている」と主張。ただ、「空爆」のせいで検問所は「アクセスできない」状態になり、支援物資のトラックがガザ地区に入るのは危険だとした。
だが、エジプトは長年、ラファ検問所の通行を厳しく規制してきた。そのため、イスラエルによるガザ封鎖を強化していると、多くのパレスチナ人がエジプトを非難している。ガザ地区の封鎖は、ハマスが同地区で全権を握った2007年から続いている。
エジプトによる規制の大半は、シナイ半島の北シナイにおける安全保障上の懸念に関するものだ。同地ではエジプト当局が長年、武装組織アルカイダとつながりのあるジハード(聖戦)主義者と戦闘を繰り広げている。
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しかし、エジプトが検問所の再開に消極的なのは、ガザ地区から逃れるパレスチナ人が大挙して押し寄せるのを避けるためと思われる。
国連の事務次長(人道問題担当)兼緊急援助調整官のマーティン・グリフィス氏は、エジプトがガザの人々が一気に流れ込んでくるのを恐れているとみている。
イスラエルの思惑
エジプトはまた、何十万人ものパレスチナ人がガザ地区から永続的に移住するといった事態には関わりたくないと考えているとされる。
現在、外国人や二重国籍のパレスチナ人については、ガザ地区から出るのを認める方向で準備を進めているもようだ。ただ、エジプトはそれを、ガザへの人道支援が認められることを条件にしたい考えだ。
障害となっているのは、イスラエルが逆のことを望んでいると思われることだ。すなわち、エジプトが受け入れられるより多くのパレスチナ人がガザ地区から出て、同時にガザ地区へと送り込まれる支援は制限されるという状況だ。
エジプトのシュクリ外相は、「エジプトに責任を転嫁するという問題ではない。ガザの人々が自らの領土で安全と幸福を維持する問題だ」とBBCに話した。
外相はまた、イスラエル政府がまだ検問所の開放を認める立場をとっていないと述べた。
各種支援団体が、ガザの状況が人道上の大惨事に近づいていると警告するなか、行き詰まりを打開しようとする外交努力が強まっている。











