バイデン氏、イスラエル訪問し支持を表明 エジプトは検問所からガザへの物資運搬に同意

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パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市にある病院の爆発で、パレスチナの保健省は18日、死者が471人に上ったと発表した。アメリカのジョー・バイデン大統領は同日、イスラエルを訪問し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談。爆発への関与を否定するイスラエルへの支持を表明した。バイデン氏は、エジプトが支援物資を積んだトラックがラファ検問所を通ってガザ地区に入ることに同意したと明らかにした。
イスラエルには19日、イギリスのリシ・スーナク首相が訪問する予定。ネタニヤフ氏と会談し、ハマスの攻撃での死者が出たことに対し哀悼の意を伝える。ガザ地区に早期に人道支援が届けられることも働きかけるとされる。イスラエルの後、中東の他の国も訪れる見通し。
17日夜に起きたアル・アハリ病院での爆発をめぐっては、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルによる攻撃だと非難しているが、イスラエルは空爆を否定している。
バイデン大統領は18日、イスラエルが爆発に関わっていないことが米国防総省が入手した「データ」によって裏付けられているとし、イスラエル側の主張を支持した。
イスラエルは、爆発の原因は、パレスチナの組織「イスラム聖戦」(PIJ)によるロケット弾の誤射だったとする証拠の動画を公開している。
しかし、アラブ諸国からはイスラエルに責任があるとの非難の声が上がっている。
病院爆発を受け、パレスチナ自治政府やヨルダンなどが、バイデン氏との会談をキャンセルした。
ハマスのイスラエルへの奇襲から始まった今回の軍事衝突では、これまでにイスラエル側で約1400人、パレスチナ側で約3500人の死者が出ている。
ハマス幹部のオサマ・ハムダン氏は18日、レバノンでの記者会見で、「ガザの民間人に対する戦争への全責任を負っている」のはアメリカや、イスラエルを支持する全ての西側諸国だと述べた。
ネタニヤフ氏、バイデン氏の「道徳的明快さ」を称賛
ネタニヤフ氏とバイデン氏の首脳会談では、ネタニヤフ氏が冒頭、バイデン氏のイスラエルへの支持と「道徳的明快さ」に感謝すると述べた。
「あなたは文明の力と野蛮な力との間に、明確な線を正しく引いた」
また、バイデン氏が数日前にハマスの行動は「完全な悪」だとツイートしたことに同意すると述べた。
ネタニヤフ氏は、「文明世界は団結して」、「イスラム国」と戦った時と同じやり方で「ハマスを打ち負かさなければならない」とした。
そして、「我々はハマスに勝利し、我々の生活からこの恐ろしい脅威を取り除く」、これは自国のためだけではなくすべての人のためだと続けた。
ネタニヤフ氏はバイデン氏を「真の友人」と呼び、戦闘の最中にイスラエルを訪問するという「深く感動的な」決断をたたえた。

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バイデン氏、「アメリカの立場示すため」訪問
バイデン氏は、イスラエルとハマスとの紛争におけるアメリカの立場を示すためにイスラエルを訪問したと述べた。
7日のハマスによる攻撃について、アメリカ人31人を含む約1200人を「虐殺」したと表現するのは「大げさではない」とした。
ハマスに連れ去られたイスラエル人についても語った。人質には子供たちも含まれる。
「ハマスから隠れていた子供たちが何を考えていたのか想像しろと? それは私の理解を超える出来事だ」
バイデン氏は、アメリカはイスラエルを支援し続けると表明。そして、イスラエル人の「勇気や献身、勇敢さ」には「目を見張るものがある」、「自分がここにいることを誇りに思う」と付け加えた。

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病院爆発めぐるイスラエルの主張支持
17日夜のガザ市の病院爆発については、「深い悲しみと憤りを感じている」とした。
バイデン氏は「自分が確認したこと(データ)を踏まえると、あなた方ではなく、別のチームによって行われたように見える。ただ、確信の持てない人が大勢いるため、我々には乗り越えなければならないことが数多くある」と述べた。
バイデン氏はテルアヴィヴ訪問中、複数のジャーナリストから「ガザでの病院爆発の背後にイスラエルがいないと言い切れる根拠」について問われた。
これに対し、「国防総省から見せてもらったデータ」だとバイデン氏は答えた。
イスラエル当局は18日、爆発の原因は、パレスチナの組織「イスラム聖戦」によるロケット弾の誤射だったとし、その証拠だとする動画を公開した。
イスラエルを非難するハマスはバイデン氏について、「無思慮な偏見」があると非難したと、ロイター通信は報じた。
「何もせずに傍観するつもりはない」
バイデン氏は会談後の記者会見で、ハマスの攻撃は「ISIS(イスラム国)による最悪の被害を想起させた」とし、「暴力に言い訳はできない」、「残忍さは世界のどこであっても深い傷を与えるだろう」と述べた。
「10月7日はユダヤ人コミュニティーにとって、ホロコースト(大虐殺)以来の最悪の日となった」、「世界は(ホロコーストの)当時、それを見ていた。世界は何もしなかった」と、バイデン氏は語った。
「我々は、何もせずに傍観するつもりはない。今日も、明日も、そしてその先も」
バイデン氏は、家族らを人質に取られた人たちにも言及。「愛する人の運命を知ろうと、必死に待っている人たちへ。あなた方は1人ではない」、「我々はハマスに拘束されている人々を連れ戻すため、あらゆる手段を追求している」と述べた。

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イスラエル、ガザへの援助は妨害しないと
イスラエル首相官邸は声明で、「ガザ地区南部の民間人への食料や水、医薬品に限ってであれば、エジプトからの人道的物資の供給を妨害しない」とした。
ただ、「人質が返還されない限り、自国領土からガザ地区へのいかなる人道支援も許可しない」と付け加えた。
イスラエル軍は、ガザ地区の北部に住む約110万人に南部へ避難するよう勧告。大勢の人が南部の街に流れ込んでいる。
エジプトがラファ検問所の再開に同意
エジプトのアブドゥル・ファッターハ・アル・シーシ大統領は、ガザ地区との境界にあるラファ検問所を再開し、支援物資を積んだトラックが最大20台までガザに入れるようにすることで同意した。
これは、バイデン氏のイスラエル訪問後に明らかになった。バイデン氏は、支援物資の運搬が20日にも始まるとしている。
ただ、ガザ地区にいる人々がラファ検問所を通ってエジプト側に移動することについては、何の言及もない。その可能性について記者団に問われたバイデン氏は、「私たちは人々を外に出すが、今は詳細を明らかにはしない」と述べた。
ラファ検問所のガザ側では大勢の人々が、エジプト側では支援物資を積んだトラックが、それぞれ列をなして再開を待っている。
ヨルダン川西岸を中心にパレスチナ支持の抗議デモ
ガザ地区の病院での爆発を受け、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸やヨルダン、イラン、チュニジア、レバノン、トルコではパレスチナを支持する抗議デモがあった。
レバノンの首都ベイルートで取材するBBCのヒューゴ・バシェーガ記者は、大勢の人がパレスチナの旗や、イスラエルとハマスの軍事衝突が始まって以降沈黙を守っている、レバノンのシーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の顔をあしらったプラカードを掲げていたと報告した。
同記者によると、抗議には多くの女性や子供も参加していた。群衆は何度か「ナスララ師、私たちはあなたの呼びかけに応えます」と声を上げていた。
掛け声には反米や反イスラエルのスローガンも含まれていた。
在ベイルート米国大使館前では、治安部隊が抗議者に催涙ガスを使った。
この紛争にレバノンが巻き込まれる恐れがある。イランの後ろ盾を受けるヒズボラなどのグループとイスラエル軍は、国境付近で頻繁に銃撃戦を繰り広げており、依然として緊張が高まっている。


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