極右「プラウド・ボーイズ」のリーダーに禁錮22年 米議会襲撃事件で最も重い刑

マイク・ウェンドリング、BBCニュース、米ワシントン

Enrique Tarrio, leader of the US far-right Proud Boys

画像提供, Getty Images

画像説明, ヘンリー・「エンリケ」・タリオ被告

アメリカで2021年1月にあった連邦議会襲撃事件をめぐる裁判で、極右団体「プラウド・ボーイズ」の元リーダーに5日、扇動共謀罪などで禁錮22年が言い渡された。同国の民主主義の中枢を襲ったこの事件の首謀者に対する量刑としては、これまでで最も重い。

ヘンリー・「エンリケ」・タリオ被告(39)は5月、米南北戦争の時代につくられた扇動共謀罪などで有罪評決を受けていた

被告は2020年大統領選の直後、「プラウド・ボーイズ」の他のメンバーらと共に、トランプ氏が大統領でなくなったら暴力や騒乱が起こるなどと、脅迫的なメッセージをオンラインに投稿。

議会襲撃事件の2日前、ワシントン入りしようとしたが警察に阻まれた。

事件発生時には首都ワシントンにはいなかったが、「プラウド・ボーイズ」の関与を助けたとされた。

この事件では、当時のドナルド・トランプ米大統領の支持者たちが、大統領選でのジョー・バイデン氏の勝利を認定しようとしていた議会を襲撃。1100人超が逮捕された。

警察と住民に謝罪

被告はこの日、ワシントンの連邦地裁の法廷で、量刑を言い渡される前に感情をあらわにし、ワシントンの警察や住民らに謝罪を表明した。

「人々に悲しみと苦しみを味わわせたことを深く恥じ、失望している。その恥を一生背負って生きていかなくてはならない」

オレンジ色の被告人服を着たタリオ被告はまた、「私自身が自分にとって最悪の敵だった」、「私の尊大さが、自分は被害者であり、不当に攻撃されているという確信を生んでいた」と述べた。

そして、2020年大統領選ではトランプ氏が敗北したと認めた上で、「私は政治的狂信者ではない。危害を加えることや、選挙結果を変えることは私の目的ではなかった」と主張。

「選挙結果を変えられるなどと考えてはいなかった」と訴えた。

反省を示してこなかったと判事

タリオ被告は「プラウド・ボーイズ」の全国委員長だった。同団体は2016年にニューヨークで設立。男性限定の飲み会クラブだと、メンバーらは説明してきた。

彼らは自らをトランプ氏の歩兵だとし、極左の反ファシスト活動家らと街頭でしばしば衝突してきた。

タリオ被告の弁護士はこの日の法廷で、被告は「くだらないことを話し」がちな「キーボード忍者」であり、政府転覆の意図はないと主張。

「依頼人はテロリストではない。誤った愛国者だ」と述べた。

一方、ティモシー・ケリー判事は、タリオ被告がこれまで何度もその機会があったにもかかわらず、一度も反省を示してこなかったと指摘。

「扇動共謀は重大な犯罪だ」、「タリオ氏はその共謀の究極のリーダーだった」と述べた。

同判事は、トランプ政権時代に連邦地裁判事に指名された。

控訴の方針

タリオ被告は5月、公務執行妨害、共謀、内乱、政府所有物破壊でも有罪とされた。

検察は被告の行為を「計算されたテロ行為」だとし、禁錮33年を求刑した。一方、弁護側は15年以下の刑を主張していた。

判事が量刑を告げる間、被告は黙って立っていた。法廷を去るとき、被告は傍聴席にいた家族に手を振り、ピースサインを見せた。

弁護側は控訴する意向を明らかにした。

US Capitol riot

画像提供, Getty Images

画像説明, 米議会襲撃事件は世界に衝撃を与えた

<関連記事>

Presentational white space

アフリカ系キューバ人だと自称するタリオ被告は、議会襲撃事件の前に、ワシントン市内のアフリカ系アメリカ人の教会から持ち去られた「黒人の命は大事だ(BLM)」運動の旗を燃やした容疑で逮捕された。

また、同市では違法の大容量の弾倉を所持していたとされた。のちに保釈され、ワシントンを離れるよう命じられた。

事件当日、被告はボルチモアにいた。

トランプ氏の支持者らが議会施設を包囲するなか、被告は「ショーを楽しんでいる」とインターネットに投稿した。

さらに、「やらなければならないことをやれ」と書き込み、暴徒たちをたきつけたとされた。

首謀者らへの言い渡しは終了

この日で、議会襲撃事件の首謀者らに対する一連の量刑言い渡しは終わった。

タリオ被告に禁錮22年が言い渡されるまでは、「プラウド・ボーイズ」のメンバーのイーサン・ノーディーン被告に先週言い渡された禁錮18年と、極右団体「オース・キーパーズ」のスチュワート・ローズ創設者に5月に言い渡された同量の刑が最も重いものだった。

他の「プラウド・ボーイズ」の3被告も先週、量刑が告げられた。

元海兵隊員のドミニク・ペゾーラ被告は禁錮10年、ザカリー・レール被告は禁錮15年の刑を受けた。

トランプ氏は、2024年大統領選で再選されれば、暴徒たちのほとんど、あるいは全員に恩赦を与えると約束している。

議会襲撃事件の暴徒らに対する罪状は、立入禁止区域への侵入などの比較的軽微なものから、政府所有物の破壊、暴行、共謀まで多様だ。約200人が重罪での有罪を認めている。

関連の捜査は現在も続いている。連邦捜査局(FBI)は、警官や報道関係者らに暴行を加える様子が映像に残されている暴徒14人の所在を突き止めようとしている。