米中が両国関係の安定化を約束 ブリンケン長官、習主席と会談

アンソニー・ザーカー、スティーヴン・マクドネル(北京)、ギャレス・エヴァンス(ロンドン)

US Secretary of State Antony Blinken (L) shakes hands with China's President Xi Jinping at the Great Hall of the People in Beijing on June 19, 2023.

画像提供, Getty Images

画像説明, 米中関係はここ数年、急激に悪化している。画像は握手を交わすブリンケン米国務長官と中国の習主席(19日、中国・北京の人民大会堂)

アントニー・ブリンケン米国務長官は19日、2日間にわたる訪中を終えた。アメリカと中国は、緊張状態にある両国関係を安定させることを約束した。

ブリンケン氏は訪中2日目の19日、北京の人民大会堂で習近平国家主席と35分間会談。ライバル関係にある超大国間のハイレベルなコミュニケーションを再開した。

習氏は「進展があった」と述べた。ブリンケン氏は、双方がさらなる協議に前向きであることを示唆した。

ただ、両国間には依然として大きな相違があると、ブリンケン氏は明確に述べた。

「高官レベルでの持続的なコミュニケーションが、責任をもって違いに取り組み、競争が対立へと向かわないようにする最善策であることを強調した」と、ブリンケン氏は会談後、記者団に説明。次のように付け加えた。

「中国側の協議担当者も同じことを言っていた」

「米中関係を安定させる必要性について、我々双方とも同意している」

ただ、「我々には深く、さらには激しく意見が合わない多くの問題」があるとした。

米中関係は、ドナルド・トランプ政権時代の貿易戦争や、台湾問題、今年に入って中国の偵察気球とされるものが米上空で撃墜されたことなどをめぐり、急速に悪化した。

習氏と予定外の会談

ブリンケン氏は18日から2日間の日程で中国を訪れた。アメリカの外交トップによる訪中は約5年ぶりだった。

米国務省によると、ブリンケン氏と習氏は、ロシアのウクライナ侵攻や、アメリカでまん延する合成オピオイドのフェンタニル、台湾や北朝鮮の問題、中国の人権をめぐる行為などを議論した。

明確な突破口はなかったものの、習氏は両国関係が前向きな方向に向かう可能性を示唆した。

米国務省が公開した発言記録によると、習氏は「双方はいくつかの特定の問題について進展し、合意に達した」、「これは非常に良いことだ」と述べたという。

習氏との会談は当初、ブリンケン氏の訪中スケジュールには組み込まれていなかった。2人の会談の実施は、数時間前に発表された。

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アメリカは、中国外交トップの王毅氏や秦剛外相との会談も行われた今回の訪中を、数カ月にわたって冷え込んでいた米中関係の修復に向けた取り組みの成功例と位置付けることができるだろう。

アメリカのジョー・バイデン大統領や政府関係者は、中国を敵対者ではなくライバルや競争相手として見ていると述べている。ただ、軍事的にも経済的にも競争が激化する中、その境界線は微妙になっている。

習氏は今回の会談を通じて、中国政府が米政府に働きかけているというメッセージを自国民に送ったかたちだ。

最大の対立点は台湾問題で、緊張がエスカレートする可能性が最も高い問題でもある。

中国は台湾を、いずれは再び中央政府の支配下に置かれる、自国から分離した省とみなしている。一方で台湾は、独自の憲法と民主的に選出された指導陣を持つ独立国家を自認している。

習氏は、自身の任期中に台湾を中央政府の支配下に置く意向を示している。

一方、バイデン氏は昨年、台湾が中国から攻撃を受けた場合には、アメリカが台湾を防衛するだろうと発言。中国政府から非難を浴びた。

大きな進展は見られず

ブリンケン氏は19日、米政府は台湾の独立を支持していないと再び強調。また、アメリカが中国を「経済的に封じ込めようとしている」という考えを、中国が払拭できるよう努めてきたと付け加えた。

ブリンケン氏によると、中国からはいくつかの確約が得られたという。中国側はウクライナで使用するための殺傷力のある援助をロシアには提供しないと、再度強調したが、ブリンケン氏は中国の民間企業がロシア軍を援助していることへの懸念を伝えたという。

一方で中国は、会談の主要な目的だった、両国の軍同士のコミュニケーション・チャンネルを再開するという、アメリカ側の提案をはねつけた。

会談では、当初の予想通り大きな進展は見られなかったが、ブリンケン氏は今後のコミュニケーションの改善の兆しがあったと期待したいと述べ、記者会見を締めくくった。

「進展させるのは難しいことだ。時間もかかる。1回の訪問や1回の渡航、1回の会話で得られるものではない」