ジョンソン元首相と共に辞職発表の元文化相、議員辞職を延期 上院議員への道閉ざされたと批判

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ボリス・ジョンソン元英首相と共に下院議員の辞職を発表したナディーン・ドリス元文化相が、辞職を先延ばしすると発言した。ジョンソン氏の首相辞任叙勲リストに自分が含まれなかったことについて、説明を求めるためとしている。
ジョンソン氏は9日、英下院への虚偽答弁を問題視され下院議員を辞職。ジョンソン政権時代に文化相を務めていたドリス氏も、「即刻」議員を辞職すると発表した。
しかしドリス氏は14日、リシ・スーナク首相が自分を叙勲リストから外し、終身職の上院(貴族院)議員になる道を閉ざしたと批判。リストから削除された過程を、すべて開示するよう求めたと発表した。
イギリスの首相は伝統的に、辞任の際に叙勲の推薦者リストを提示する。スーナク首相は先に、上院任命委員会(HOLAC)の助言に従ってジョンソン氏のリストを承認した。しかし、新たに上院議員となる人物の中にドリス氏は含まれていなかった。HOLACはジョンソン氏のリストから8人を除外したとしているが、推薦された人物も、除外した人物も明かしていない。
スーナク首相の報道官は、「首相官邸には、リストを修正したり編集した者はいない」と、ドリス氏の主張を否定している。一方で、HOLACはジョンソン氏による下院議員の上院議員推薦を支持しなかったと述べた。
スーナク氏は5日、上院議員就任の推薦をめぐるHOLACの審査助言を「覆す」よう、ジョンソン氏に求められたと明らかにした。ジョンソン氏はこれに対し、スーナク氏が「くだらないことを言っている」と非難している。
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ドリス氏は今回、HOLACと内閣官房長、内閣府に対し、「個人情報の開示請求(SAR)」を提出した。
SARでは、政府機関が保持する自身の個人情報を全て受け取ることができる。
しかし、情報公開法に詳しいマーティン・ローゼンバウム氏は、2018年データ保護法にもとづく個人情報へのアクセス権は、叙勲システムで使われたデータには適用されないと指摘している。
ドリス氏はツイッターへの連続投稿で、自身の上院議員への推薦過程に関連するワッツアップのメッセージ、テキストメッセージ、電子メール、会議の議事録などの開示を要求したと述べた。
また、情報を受け取った後には、「その情報をきちんと考える時間を取りたい」と述べた。
その上で、「辞職は私の意向に他ならない」が、「残念だがこの手続きが必要だ」と述べ、「自分の事務所は通常通り機能するし、もちろん選挙区に奉仕し続ける」とした。
首相報道官はドリス氏の発表以前、、ドリス氏の地元ミッド・ベッドフォードシャー選挙区には「確実性」が必要だと指摘。「下院議員が即刻辞職すると言いながら、それが実現しないのは明らかに異例だ」と述べた。
補欠選挙はどうなるか
ジョンソン氏は2020年から翌年にかけて、新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸でパーティーがたびたび開かれていた通称「パーティーゲート」問題について、感染対策のルールとガイドラインは「常に守られていた」などと首相当時、下院で答弁した。この答弁がミスリードだったのではないかとして、議会特別委員会が調査を行っていた。
英下院では通常、審議中に閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードしたりしたと発覚した場合、それは辞職・解任理由になる。議会をミスリードするとは、虚偽と知りながら議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ議会を導くことを意味する。
特別委が今月9日に報告書をジョンソン氏に提示したところ、ジョンソン氏は議員辞職を発表した。その際、特別委の対応は「魔女狩り」で、報告書は「偏見」に満ちて「間違いだらけ」だと非難した。
ドリス議員は、ジョンソン氏が辞職を発表する少し前に辞職を発表。続いて10日には、ジョンソン政権下で無任所大臣だったナイジェル・アダムズ議員が、辞職を発表した。
一連の辞職により、与党・保守党は3件の補欠選挙を抱えることになった。選挙期間は14日から始まり、7月3日または7月20日が投票日となる予定だ。
保守党は、全国的な世論調査で最大野党・労働党を引き離しているが、議会の夏休み前に迅速に選挙戦を終え、補欠選挙による政治的な損害を最低限にしたいと考えている。
だがドリス氏が党を待たせれば、例えば秋の党大会の直前などに、党内分裂につながりかねない補欠選挙実施となる可能性もある。









