BBCのシャープ理事長、辞任を表明 利益相反の公表怠ったとする報告書受け

Richard Sharp in a studio during a BBC interview

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画像説明, BBCのリチャード・シャープ理事長

BBCのリチャード・シャープ理事長が28日、辞任を表明した。この日朝に発表された議会の調査報告書で、理事長就任時に利益相反とみられるリスクのある2件について申告しなかったとされた。

調査報告書は、ボリス・ジョンソン氏が首相在任時に受けた融資をめぐって、シャープ氏が手助けをしながら、BBC理事長就任時にそれを適切に公表しなかった疑惑について調べた結果をまとめた。

公表を怠ったとされる2件のうち1件は、BBCの理事長に応募する前に、ジョンソン氏に応募の意向を伝えていた件。もう1件は2020年後半、当時首相だったジョンソン氏の遠縁で、同氏への金銭的支援を申し出ていたサム・ブライス氏と、当時の官僚トップのサイモン・ケイス内閣官房長の会合を設定するつもりだと、ジョンソン氏に伝えたことだった。

報告書によると、シャープ氏は1件目の結論は受け入れていないが、2件目については謝罪した。

シャープ氏はこれまで、ケイス官房長とブライス氏の会合を取り持とうとしたことを認めていた。ケイス官房長とブライス氏の会談は実現しなかった。しかし、2020年12月にシャープ氏がケイス官房長と会った時点で、シャープ氏はすでにBBC理事長に応募していた。

英下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会は2021年1月に、シャープ氏との質疑を経て、BBC理事長への任命を承認した。

報告書では、シャープ氏は公職者任命のルールに違反したのは「不注意によるもので、実質的意味のあるものではない」と述べたとされる。

報告書を受けてシャープ氏は謝罪し、BBCの活動の妨げになりたくないとする声明を出した。後任が決まる6月まで理事長職にとどまる予定。

シャープ氏は投資銀行出身で、保守党の献金者だった。

動画説明, BBC理事長はなぜ辞任……ひとつの結びつきと未申告が決定的な問題に
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申告しなかったのは「ミス」だった

シャープ氏をめぐる疑惑は、英紙サンデー・タイムズで最初に報じられた。それを受け、下院の公職人事コミッショナーが調査を開始した

報告書は、シャープ氏が首相を私的な金銭問題で支援しようとしたため、「理事長職に推薦されたと認識される恐れがある」とした。また、シャープ氏が理事長に応募前に、ジョンソン氏に応募について知らせることで、「元首相が彼を推薦するように影響を与えた」とした。

報告書は、「シャープ氏がこうした方法で元首相に影響を与えることを意図していたのかどうか」は判断していない。

シャープ氏は、報告書によって「元首相への融資の便宜、手配、融資に一切関与していない」ことが示されたとした。

しかし、「今から思えば」ケイス官房長とブライス氏の会合を取り持とうとしたことを、BBC理事長の選出過程で明かすべきだったと説明。そうしなかったのは「ミス」だったとし、謝罪した。

シャープ氏に対しては、政府の移民政策を批判するツイートをしたサッカーの元イングランド代表主将ギャリー・リネカー氏を、BBCのサッカー解説番組から降板させたことで、いっそう厳しい目が向けられた。降板の決定は、BBCの不偏公平原則について論議を呼んだ。

リネカー氏が降板となった一方で、シャープ氏が議会の調査を受けながら理事長職にとどまっていることを批判する声が上がった。

シャープ氏の辞任を受け、BBCのティム・デイヴィー会長は、「BBCの役員を代表して、リチャードのBBCへの貢献と、理事長としてもたらした意欲と知性に感謝したい」、「BBCの全スタッフにとって重要なのは、今もこれからも、視聴者のために成果を出す努力を続けることだ」などとする声明を出した。

リシ・スーナク英首相は、シャープ氏の報告書を見ていないとした上で、後任のBBC理事長が、政治と無関係の人になるとは保証しなかった。

グラスゴーで取材に応じたスーナク氏は、「こうした任命のための任命プロセスがある。それを予断するつもりはない」と語った。

BBC理事長は、BBC理事会のトップ。理事会はBBCの方向性を決定し、その独立性の維持を使命とする。理事長は任期4年で年俸は16万ポンド(約2500万円)。こうした公職ポストの候補者は、利益相反の有無を申告する必要がある。

BBCの理事長(chairman)は、BBC会長(director general)職とは異なる。BBC会長は編集責任者として、世界各地での制作・運営を率いる。