ロシア版マクドナルド、営業開始 新店名は「おいしい、それだけ」
スティーヴ・ローゼンバーグ、ロシア編集長(モスクワ)

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アメリカの象徴がロシア版に様変わりした。
ハンバーガーチェーン大手の米マクドナルドは5月に、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に抗議して、ロシア市場から撤退した。ロシア国内800以上の店舗は、ロシアの実業家アレクサンドル・ゴヴォル氏が買い取った。
そして12日に、ブランドを一新した店舗がモスクワで営業を開始した。
新しい名称は、「フクースナ・イ・トーチカ」。「おいしい、それだけ」という意味だ。
金色のM型のアーチはなくなり、円と2本線に様式化された「M」が新しいロゴになった。2本線はフライドポテト2本。円はもしかしてハンバーガーなのかもしれない。
ビッグマックやマックフルーリーはもうない。
しかし、利用客はそれほどの違いに気づかないだろうと、新しい経営陣は期待している。経営陣はモスクワのプーシキン広場で開業した旗艦店で記者会見し、そう話した。ここは32年前、ソヴィエト連邦時代の1号店が開かれた場所だ。
「品質や雰囲気が変わったと、お客さんたちが気付かないようにする。それが目標だ」と、「フクースナ・イ・トーチカ」のオレグ・パロイエフCEOは話した。
「ビッグマックを戻せ!」
店には「名前は変わっても愛情は残る」というスローガンが掲げられていた。
しかし、開店記念イベントに乱入した男性は、「ビッグマックを戻せ!」と抗議した。
「フクースナ・イ・トーチカ」は、ハンバーガーのレシピは以前と同じで、マクドナルド時代の機材はそのままだと説明する。
1990年1月、私は長大な行列に並んでいた。店内にたどり着くまで3時間かかった。誰もが興奮していたのを覚えている。マクドナルドがモスクワにやってきたのは、ソ連が西側の考えや西側の文化、西側の食べ物を受け入れたことの象徴だった。
同じ場所での今日の出来事も、象徴的だ。いかにロシアと西側が互いに離れていっているかという。集まった人たちは、1990年に比べてはるかに少なかった。

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(編集部注: ローゼンバーグ編集長はツイッターで、1990年の1号店開店時に3時間行列した際にもらった記念のピンバッジと、ロシア企業による経営に変わり新名称になった1号店の開店時にもらったピンバッジを、並べてみせた)

これはハンバーガーの話にとどまらない。すでに多くの世界的ブランドや多国籍企業がロシア国内の事業を停止したり売却したり、完全撤退したりしている。いずれも、ロシアのウクライナ侵攻に抗議してのことだ。
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シベリアの石油精製所運営会社なども持つ実業家のゴヴォル氏は、国内850カ所にあったマクドナルド店舗の約25%を今月末までに新ブランドにして再開したいとしている。
米マクドナルド社は5月、戦争による「人道危機」と「予想できない運営環境」を理由に、ロシアからの完全撤退を発表した。
昨年のマクドナルドの世界売上高のうち、ロシアとウクライナでの売り上げは約9%を占めていた。
2月24日のウクライナ侵攻開始以来、スターバックス、コカ・コーラ、リーヴァイズ、アップルなどの世界的ブランドがすでにロシアから撤退もしくは営業を中止している。
ロシアは厳しい国際制裁を受けており、国内の供給網に混乱が生じているほか、失業者も増えている。











