ジョンソン英首相、罰金後に初めて議会で謝罪 官邸パーティー問題

画像提供, UK Parliament
イギリスのボリス・ジョンソン首相は19日、新型コロナウイルス対策のロックダウン法に違反して警察から罰金を科された件について、議会で謝罪した。
ジョンソン首相は2020年6月、自身の誕生日を祝うために首相官邸で開かれた集まりに参加した。当時、屋内での他世帯との集会は法律で禁じられていた。
多くの保守党議員は、ジョンソン首相の謝罪と「当時は法律に違反しているとは思わなかった」という説明を支持し、議席から拍手を送った。
一方、野党側からは辞任を求める声が相次いだ。最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、首相の謝罪は「冗談のようだ」と批判した。
労働党は、首相がこの件について議会をミスリードしたとして、特別委員会による調査を求めている。
イギリスでは、議会で閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードした場合、辞職・解任理由になる。ミスリードとは、議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ導くことを意味する。
特別委は7人の議員で構成され、謝罪や停職、議会からの追放などの制裁を加えることができる。
下院は21日にも、特別委の設置について投票を行う。しかし、過半数議席を占める保守党議員が首相を支持していることから、労働党の提出した設置案は通らないと予想されている。
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ジョンソン政権をめぐっては昨年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。
最初に発覚した2020年12月18日のパーティーについて、ジョンソン首相は2021年12月1日の議会で、「首相官邸ではすべてのガイダンスが順守されている」と答えた。
その後、このパーティーについて官邸職員が冗談を言っている動画が流出。首相は2021年12月8日の議会で「パーティーはなかったし、新型ウイルス対策違反もなかった」と、「繰り返し報告されている」と述べた。また、「そのとき何が行われていたとしても、ルールは守られていた」と語っていた。
しかし2022年1月12日には、自身が2020年5月20日に首相官邸の庭で開かれたパーティーに参加していたことについて謝罪。「仕事のイベントだと信じていた」と説明していた。
一連の問題をめぐっては今年1月、グレイ第二事務次官が2020年5月から2021年4月までを対象とした調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した。
また、グレイ第二事務次官からの情報提供を受け、ロンドン警視庁が16件中12件について捜査を開始しており、これまでにジョンソン首相やリシ・スーナク財務相などがパンデミック対策の法律に違反していたとして罰金を科されている。
ジョンソン氏は違法行為で処罰された同国初の現職首相となった。
首相の謝罪を野党は一蹴
ジョンソン首相はこの日、下院で初めて自分の違反行為について発言する中で、「この困難な時期に、国の優先事項を実現する」仕事に取りかかりたいと述べた。
また、罰金対象となった集まりについては、「COVID-19戦略に関する重要な会議の直前に閣議室に集まることがルール違反になるとは、当時もその後も思いもよらなかった」と説明した。
「これは私のミスであり、心から謝罪する」
「現在も継続中の警察捜査の結果を尊重し、その判断を尊重し、常に適切な措置を講じるとしか言いようがない」
一方、保守党のピーター・ボーン議員から、首相官邸でのパーティーに関する過去の発言で意図的に下院議員をミスリードしたかと直接問われると、「それは違う」と答えた。
ジョンソン首相は、発言の中でロシアのウクライナ侵攻について繰り返し語った。多くの保守党議員は、首相更迭のタイミングではないと、ジョンソン氏を支持している。

これに対し労働党のスターマー党首は、首相の謝罪は「口先だけのもの」だと述べた。
スターマー氏は、ジョンソン氏が罰金について「侮辱的」で「ばかげた」言い訳をしていると非難し、政治家に対する国民の信頼を損ねたと批判した。
また、ジョンソン首相が「不誠実」だったと述べたが、下院議長のサー・リンジー・ホイルから、議員が討論中に互いの不誠実さを非難してはならないという規則を破ったと指摘されたため、この発言は取り消した。
スコットランド民主党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員は、首相は「違反者」であり、「連続犯罪者」だと述べた上で、「もし首相に良識と尊厳があるなら、謝罪するだけでなく、辞任するだろう」と述べた。
また、野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首も、「国民がもはや信用せず、信頼もしていない人物に率いられている」ことは、イギリスにとって「大きな損害」だと述べた。

<解説>イアン・ワトソン政治担当編集委員
ジョンソン首相は17日夜、下院で非公開で議員に話しかけ、2つのことをしようとした。
まず団結を呼びかけるために、選択肢は自分が率いる保守党か、労働党政権の危険性かの2つだと主張した。
そしてもうひとつは、イギリス国内の水準を高め、国民を社会保障から解放して就職させるためには、まだやるべきことがたくさんあると主張した。
ジョンソン首相は、パーティーゲートをめぐり「本当に後悔している」と述べたが、それは演説の主要な部分ではなかった。
保守党のマーク・ハーパー議員のように、公の場でジョンソン氏の辞任を求める人物もいる。しかしジョンソン氏を批判する人々でさえ内輪では、首相が議会を欺いたかどうかを特別委員会に調査させようという労働党の試みも支持しないと言っている。
5月の地方選挙を含め、ジョンソン首相にはさらなる試練が待ち受けている。
しかし、たとえ警察が首相は法を犯したと考えていても、ウェストミンスターではウクライナ侵攻と生活費危機が優先され、現時点では、ジョンソン首相に免罪符が与えられたという感覚は変わっていない。












