ロシア、攻撃をやめず チェルニヒウで「作戦縮小」表明後も

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ウクライナを侵攻しているロシアは、軍事作戦の縮小を表明した翌日の30日も、北部の都市などで攻撃を続けた。現地当局がその様子を語った。
ロシアは29日の停戦協議で、「信頼醸成」のために首都キーウ(キエフ)と北部チェルニヒウの周辺で作戦を縮小すると表明した。
だがウクライナ当局は30日、ロシア軍の大規模撤退はみられていないとした。
ウクライナ軍のオレクサンドル・モトゥジャニク報道官は、キーウとチェルニヒウから部隊の一部移動がみられたが、ロシア軍は両都市の制圧や、少なくとも包囲は、完全には断念していないと述べた。
チェルニヒウで攻撃継続か
チェルニヒウ州のヴィアチェスラフ・チャウス知事は30日、ロシア軍の攻撃が前夜から続いたとBBCに説明した。
「ニジンやチェルニヒウが攻撃された。またも、民間施設の一部が破壊された」
「チェルニヒウは電気も水も暖房もない。これらのインフラ復旧は簡単にはいかない。昨晩は軍事施設を1つも標的にしていなかった。民間インフラばかり攻撃対象にしていた」
BBCは知事の主張の内容を確認できていない。ただ、チェルニヒウの住民も、攻撃は継続していると話した。
住民の1人は、「市中心部から離れた地下鉄駅で一晩中、攻撃音が聞こえた。砲撃の音がした。ただ今夜は軍用機は来なかった」とBBCに語った。別の住民も、砲撃は30日も続いたとした。ただ、夜通しというほどではなかったと述べた。
チェルニヒウのウラジスラフ・アトロシェンコ市長は、同市のこれまでの民間人死者は350人に上っており、毎日25~40人の犠牲者が病院に運び込まれていると、BBCウクライナ語に話した。
同市長によると、死体を安置所に収容し切れないため、冷蔵施設を探している。棺を作る職人も足りず、墓地への移動が危険なため別の埋葬場所を探しているという。
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キーウ周辺でも戦闘音か
キーウでは、ロシア軍の「作戦縮小」表明のわずか数時間後に、防空サイレンが鳴り響いた。
同市のミコラ・ポヴォロズニク副市長は、29日夜から30日にかけては砲撃がなかったものの、周辺地域で戦闘の銃撃音が聞こえたと述べた。
アメリカとロシアの当局者は、ロシア軍がキーウに展開していた部隊の再配置を進めているとみている。東部地域に重点を置き直す可能性が高いという。
キーウ近郊のイルピンの市長は、ウクライナ軍が28日に同市を奪還したとした。それまでに民間人200~300人が死亡したと話した。
ウクライナ軍はここ数日、ロシア軍に制圧されていたいくつかの街を取り戻している。

こうした中、アメリカの国防当局者は30日、ロシア軍部隊がチョルノービリ(チェルノブイリ)地域から撤退していると述べた。同地域では1986年に世界最悪規模の原発事故が起きている。
この米当局者は、「ロシア軍は一部の部隊の再配置を始めている。撤退しており、現地施設からベラルーシに歩いて入っている」と説明。「完全にいなくなったとまでは言えない」と話した。
閉鎖された原発は、ロシアが侵攻を開始した2月下旬以降、同国が管理下に置いている。国際社会はこれを非難している。原発職員の健康も懸念されている。
「戦争犯罪の可能性」と国連
一方、国連のミッチェル・バチェレ人権高等弁務官は29日、ロシア軍がウクライナの人口密集地域を無差別に攻撃しているとされることについて、「戦争犯罪に当たりうる」と述べた。
バチェレ氏はスイス・ジュネーヴの人権理事会で、ロシア軍が人口の多い地域をクラスター爆弾で攻撃していることを示す、信頼できる証言があると説明した。
クラスター爆弾は国際条約で多くの国が使用を禁止されている。ただ、ロシアもウクライナもこの条約には調印していない。
バチェレ氏はまた、医療施設が損壊した事案を77件確認していると述べた。この中には病院50カ所の被害が含まれているとした。







