ウクライナ軍、複数の街を奪還か ロシアは雇い兵投入の可能性

School building damaged in shelling in Chernihiv, on 4 March

画像提供, Getty Images

画像説明, ロシア軍の砲撃で破壊されたウクライナ北部チェルニヒウの学校

ロシアが侵攻したウクライナで、ロシア軍が制圧していた複数の街をウクライナ軍が奪還したとの見方を、現地やアメリカの当局者が28日示した。一方、英当局は、ロシアがウクライナ東部に雇い兵を派遣したとみられるとした。

ウクライナが複数の街を奪還か

アメリカ国防当局幹部によると、ウクライナ軍は東部スーミ近郊の町トロスチャネツをロシア軍から奪還。南部ヘルソンでも、ロシア軍を追い出す動きを見せている。

この幹部はまた、首都キーウ(キエフ)付近ではロシア軍が「何の前進も」していないと記者団に説明。ロシア軍は現在、キーウ中心部から北および北東に15~20キロ、東に55キロの地点にいるとした。

ロシア軍が包囲を続けるウクライナ南東部の港湾都市マリウポリについては、ロシア軍の長距離砲撃によって「たたきのめされている」と述べた。

一方、ロシア軍が現在、東部ドンバス地方での作戦を重視していることについては、理由は不明だと説明。停戦協議で優位に立つ狙いか、ロシアが目標を「再検討」している可能性があるとした。

一方、キーウの北西20キロに位置するイルピンのオレクサンドル・マルクシン市長は、ウクライナ軍が28日に同市を完全に奪還したと述べた。

マルクシン氏はソーシャルメディアに投稿した動画で、「今日はいい知らせがある。イルピンが解放された」と説明。

「私たちの街にはさらなる攻撃があるだろう。しかし私たちは勇敢に街を守り抜く」と付け加えた。

イルピンでは首都の命運をかけた激しい戦いが続いていた。BBCは市長の説明が正しいか確認できていない。前出の米国防当局幹部も、イルピン奪還は未確認だとした。

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マリウポリの死者多数

南東部マリウポリのヴァディム・ボイチェンコ市長によると、ロシアの侵攻が始まって以降、市民の死者は約5000人に上っている。うち210人は子どもだという。

インタファクス・ウクライナ通信がボイチェンコ氏の話として伝えたところでは、27日時点で市内に17万人がとどまっているとされる。

また、複数階の住居は9割が損壊し、4割以上は破壊されているという。病院7カ所が被害を受けており、うち3カ所は完全に破壊されているとされる。学校も57校が損壊し、うち23校は壊滅状態だという。

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ロシアが雇い兵を投入か

イギリス国防省は、ロシアが悪評の多い同国の軍事会社ワグネル・グループの雇い兵を、ウクライナ東部に投入したとの見方を示した。

同省は最新の情勢報告で、同グループから幹部指導者を含む1000人以上が派遣され、ウクライナでの「戦闘作戦を引き受ける」見込みだと分析。

「ロシアは大きな損失を被り、侵攻の大部分が停滞していることから、アフリカやシリアでの作戦を犠牲にして、ワグネルの人員をウクライナに優先的に送り込む方向での見直しをせざるを得なかった可能性が高い」とした。

ワグネル・グループはロシアの秘密組織とされる。公式には存在していないが、過去7年間に最大1万人の戦闘員が、シリア、リビア、中央アフリカなどの戦闘地に行く契約を少なくとも1件、同グループと交わしたとみられている。

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ゼレンスキー氏、制裁強化を求める

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は28日夜のビデオ演説で、西側諸国に対し、原油の禁輸などで対ロシア制裁を強化するよう求めた。

ゼレンスキー氏は、既存の制裁の一部は「受動的」だと厳しく批判。世界はロシアの行動を待ってから行動を取ることはできないとした。

また、世界の強国がもっと早く「強力な予防的制裁」を採用していれば、侵攻は防げたかもしれないと嘆いた。

7分間の演説の間、時折テーブルを手でたたいて主張。「本格的な戦争が始まった」、「ロシアが化学兵器を使ったら、ヨーロッパへのロシア産原油の禁輸などの厳しい制裁が発動されるらしいとあちこちで言われている」と述べた。

そして、「言葉もない。私たち、生きている人間は、待つしかない。ロシア軍がやってきたことはすべて、原油の禁輸の理由にならないのか。白リン弾はどうなのか。化学薬品製造施設や原発が砲撃されたことは理由にならないのか」と訴えた。

バイデン氏は発言を「撤回しない」

アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について「権力の座にとどまってはけない」と演説で述べたことについて、「撤回」するつもりはないと表明した。

バイデン氏は28日、「何も撤回しない」とホワイトハウスで表明。

「私はプーチンのやり方とこの男の行為に対して感じた道義的な怒りを表現した」と述べた。また、問題の演説はウクライナ難民との会合の直後だったと説明した。

バイデン氏はまた、「当時も今も、方針転換のことを言っているわけではない」と述べ、ロシアの体制転換を求めるものではないと主張した。

G7、ルーブルでの支払いを拒否

ドイツのエネルギー相のロベルト・ハーベック氏は、ロシアから輸入するエネルギーをルーブルで支払うようロシアが求めていることについて、主要7カ国(G7)の指導者らが拒絶したと明らかにした。

G7の構成国は、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカ、カナダ。

ハーベック氏は、「既存の契約への明らかな違反だ」、「ルーブルでの支払いは受け入れられず、関係企業にはプーチンの要求に従わないよう強く求める」と記者団に話した。

プーチン大統領は先週、「非友好」国に対し、ロシア産の天然ガスの代金はルーブルしか認めない考えを示した。

エコノミストらは、ルーブルの価値を支える狙いがあるとみている。ルーブルはウクライナ侵攻が始まった2月24日以降、ロシアに対する西側の大規模制裁を受けて暴落している。

ロシア独立紙が活動停止

ノーベル平和賞受賞者のドミトリー・ムラトフ編集長が率いる独立系新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」は28日、オンラインと紙面による活動を一時停止すると発表した。ロシアによる「特別軍事作戦」が終わるまでとしている。

同紙によると、ロシアの通信監督当局からこの日、2回目の警告を受けた。1回目は今月22日で、ムラトフ氏がウクライナ難民支援の資金集めのため、ノーベル賞のメダルを競売にかけると表明した日だった。

当局から警告を2回受けると、ロシアのメディアは免許を剥奪される可能性がある。

ノーヴァヤ・ガゼータは前日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のインタビュー取材に加わったが、記事は出さなかった。

メディア監督当局は、記事にした場合の結果について警告していた。

ウクライナで紛争が始まって以来、ロシアではジャーナリストが、当局からかつてないほどの圧力を受けている。

(英語記事 Live Page