【解説】 ロシア軍幹部「第一段階」完了と 侵攻は予定通り進んでいないのか?
ポール・アダムズ、BBCニュース

画像提供, Reuters
ロシア軍は計画の変更を余儀なくされているのか? ウクライナに対する政府の野心そのものを、縮小するとか?
断定するにはおそらく時期尚早だが、ロシア軍の言い分の重点は明らかに変わった。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ軍事侵攻の開始から1カ月たった25日、ロシア軍のセルゲイ・ルドスコイ第1参謀次長はモスクワで記者会見し、作戦の「第一段階」はほぼ完了したと発表した。
ルドスコイ将軍は、ロシア軍は今後「ドンバスの完全解放」に注力していくと述べた。ドンバスとは、ウクライナ東部でロシアが後押しする分離派が実効支配する地域のこと。
ロシア軍は、一方的な独立宣言をロシア政府が承認した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」と、ドンバス地域でもウクライナが支配する地域との境界線を、さらに西へ移動させようとするものとみられる。


ウクライナの他地域でロシア軍は、遅々として進んでいない。首都キーウ(ロシア語でキエフ)周辺では、ウクライナ軍の抵抗に遭い後退させられており、これ以上の被害を防ぐために、あるいは何らかの小休止のため、塹壕(ざんごう)を掘るなどして防衛の足場を固めているという情報もある。
ロシアが首都制圧を諦めたと結論するのは、まだあまりに早すぎるだろう。しかし、ロシア軍は失点に次ぐ失点を重ねていると、西側当局は言う。
西側当局筋は25日、ロシア軍が7人目の将軍を失ったと明らかにした。一部の部隊では、士気はこれ以上下がりようのないところまで下がっているとも話した。
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ルドスコイ将軍の今回の発表は、開戦前にロシアが計画していた野心的な戦略は失敗したと、ロシアが承知していることの表れだ――西側当局者はこう言う。
「複数の軸で同時に作戦展開するのは無理だと、ロシアは認識し始めている」と、西側政府関係者の1人は話した。
最大10の大隊戦術群が新たに編成され、ドンバスへ向かっているという。
2月24日に戦争が始まる前から、ウクライナとロシアの境界線に沿って配備されている合同部隊作戦(JFO)を構成するウクライナ軍の精鋭部隊が、ロシア軍の徹底攻勢によって包囲され制圧されてしまうのではないかと、西側は懸念していた。
後退は野心の穏健化を意味するのか
ロシア軍の新たな展開では、ドネツクとルハンスク両地方の未制圧地域まで入り込もうとするかもしれない。ハルキウやイジウムから南下する部隊との合流を目指す可能性もある。
そしてついにロシアがアゾフ海に面した南東部の港湾都市マリウポリを完全制圧したあかつきには、他の部隊は北上してJFOの包囲を完了する可能性もある。
こうした目的の一部はまだ難しそうに思える。マリウポリの防衛部隊はすさまじい徹底抗戦を繰り広げている、そのため、ドンバスからクリミア半島までの陸路を確保するという開戦前のロシアの目標は実現していない。
しかし、仮にロシア政府が、少なくとも当面は、個々の目的をひとつずつ実現することに集中した方が賢明だと結論したなら、おそらく攻撃力を集約してくるだろう。とりわけ空からの爆撃力を。
ウクライナ軍は目的意識が高く、規律も取れている。しかしそれでも、ロシアの徹底的な空からの攻撃を耐えしのぐには、ありとあらゆる援助を必要とするはずだ。
「まさにそこで、西側からの武器供与がウクライナ軍を大いに助けるはずだと、自分は期待している」と、西側当局者の1人は話した。
もし今後数日の間に、ロシア軍がドンバスに注力し始めたとしても、だからといってロシア政府が大きな野望を諦めたことにはならない。
「侵略作戦全体の再評価をしている様子は見られない」と、米国防幹部は話した。
ウクライナ東部でのロシアの進軍











