ゼレンスキー氏、「中立化交渉の用意ある」 ロシアと28日からトルコで対面協議へ

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、27日に報じられたロシア・メディアのインタビューで、ウクライナの中立化をロシアと協議する用意があると述べた。双方の代表団は、28日からトルコで対面協議をするとみられる。一方ロシア当局は、このインタビューを行ったメディアに厳しく対処する方針を示した。
ゼレンスキー氏のインタビューは、ロシアのリベラル系メディア「メドゥーサ」が、同国のテレビ局ドシチ、新聞コメルサントと共同で行ったと発表した。メドゥーサとドシチは共にロシアでは見られなくなっており、ドシチはすべての記者の活動を停止している。
ロイター通信によると、ゼレンスキー氏はテレビ電話形式の取材で、「安全保障の確約と中立、非核国。私たちはそれに向かう準備ができている。これが最も重要な点だ」と発言。ロシアとの和平合意の一環として、ウクライナには中立的立場の採用を協議する用意があるとの姿勢を示した。
ただ、中立化には第三者による保証と国民投票が必要だとした。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)不参加を要求の1つにしており、それを意識した発言とみられる。
ロシア語で応答
インタビューは90分にわたり、ゼレンスキー氏はすべてロシア語で返答した。ロシアの侵攻によって、ロシア語が使われているウクライナ国内の都市も破壊されたと述べた。
またロイター通信によると、ゼレンスキー氏はウクライナとロシアの和平協議では、ロシア語の使用も検討されていると説明したという。一方で、ウクライナの非武装化などその他のロシアの要求については協議を拒否したと述べた。
このインタビューについて、ロシアのメディア規制当局は、同国メディアが報じることを禁止するとともに、責任追及のための調査を開始したと明らかにした。また、インタビューを行ったメディアを、ロシアにおける「外国の代理機関」に認定したとした。
トルコで対面の停戦協議へ
ウクライナとロシアによる対面での停戦協議が、28~30日にトルコで実施される見通しとなった。ウクライナ側の協議参加者ダヴィド・アラカミア氏がフェイスブックで明らかにした。
ウクライナ側はこれまでの停戦協議について、「非常に困難」な状況だと説明している。
双方による協議は、1回目がロシアの同盟国のベラルーシで開催された。その後、トルコが終戦に向けた外交努力に力を入れており、今月になってロシア、ウクライナ、トルコの外相がトルコ・アンタルヤで会談した。
ロシア軍はベラルーシに後退か


ウクライナ軍幹部は、同国北部に展開していたロシア軍部隊が人員と物資の補給のためにベラルーシへと後退したと、フェイスブックに書き込んだ。
多くのロシア軍部隊は多大な損失を払っており、食料、燃料、弾薬の深刻な不足がみられるとされる。
ベラルーシには、ロシア軍の負傷兵も運び込まれているという。ベラルーシは、激しい戦闘が続いているウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺に比較的近い。
朝鮮半島のシナリオ
こうした中、ウクライナ国防省情報総局トップのキリロ・ブダノフ氏は、首都陥落も政権転覆もできないでいるロシアが、「朝鮮半島シナリオ」をウクライナに当てはめようとしているとの見方を示した。
ブダノフ氏は、侵攻が難航する中で、ウクライナ東部と南部の掌握がプーチン氏の優先事項になっていると分析。それぞれの占領地域をつなげることができれば、それらの地域とそれ以外のウクライナとを分ける、朝鮮戦争で示されたような境界線を押し付けるだろうとの予測を述べた。
ただ、ウクライナの東部と南部クリミアの間には「鉄壁の」マリウポリがあるため、ロシアは両地域をつなぐことができずにいると説明。住民らの抵抗も激しいことから、ロシアが南東部を自治区とするのは不可能だろうとした。
マリウポリ市民を強制移動か
ウクライナ政府は、ロシア軍が包囲している南部港湾都市マリウポリで、同軍による住民の強制移動が進められていると非難した。
ロシアは推定5000人を、マリウポリの東約90キロにある収容所に収容している。この施設は衛星画像で確認されている。
ロシアのメディアは、同収容所の状況や、ロシア南部タガンログへの難民の移送について報じている。タガンログから列車でさらに1000キロ以上北へと移動した人もいるとしている。
ウクライナのイリーナ・ウェレシチュク副首相は、住民約4万人がウクライナ側との調整がないまま、ロシア占領地域に移動させられたと話した。

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マリウポリの赤十字ボランティアも、同市住民がロシア軍によって強制的に移動させられているとBBCに話した。
このボランティアによると、マリウポリ東部の住民はすべて、ロシアが占領しているウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」に連行されているという。ロシアは2月の侵攻前、「ドネツク人民共和国」の独立を一方的に承認した。
ドネツクに到着したマリウポリ市民らは、そのまま同地に残るか、ロシアに渡るかの選択を迫られているという。
マリウポリはロシア軍の激しい攻撃を受けており、水や電気が途絶え、これまでに何千人もの住民が市外に避難している。
避難民のうち、どれほどの人が進んでロシア軍と共に移動したのかは不明。多くのウクライナ人はロシアに親類がいる。BBCは避難した人数について、独立した確認が取れていない。
ロシアは、国際人道法違反となり得る強制移動を否定している。
バイデン氏発言の火消し
アメリカのジョー・バイデン大統領は27日、ロシアの体制転換を望んでいるのかと記者団に問われ、「ノー」と答えた。バイデン氏はこの前日、ロシアの体制転換を望んでいると取れる発言をしていた。
アントニー・ブリンケン国務長官も、アメリカには体制転換の計画はないと述べた。
バイデン氏は26日、ポーランド・ワルシャワでの演説でプーチン氏について、「この男が権力の座にとどまってはいけない」と発言。ロシアの反発を招くとともに、戦争終結への努力を妨げるとの批判が上がった。










