ロシアの「作戦縮小」表明、ウクライナや西側は懐疑的

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ウクライナが29日にロシアとの停戦協議で提示した「中立化」などの案が明らかになった。提案を受けてロシアは、首都キーウ(キエフ)周辺など2カ所で軍事作戦を「大幅に縮小する」としたが、ウクライナや西側には懐疑的な見方が出ている。
ウクライナ代表団は、トルコ・イスタンブールで開かれた対面形式の停戦協議で、安全の保証と引き換えに中立国家となることを提案した。
ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止を主な目的として同国に侵攻したロシアは、協議が実務的な段階に進んだと評価。キーウと北部チェルニヒウでの軍事作戦を縮小するとした。双方による停戦協議が始まって以降で初めて、実体のある進展の兆しが見られた。
チェルニヒウは現在、ロシア軍が包囲している。ウクライナ当局は、同市でこれまでに約400人が死亡し、現在13万人近くが暖房や電気、水がない状態で生活しているとしている。
ウクライナの提案
ウクライナがロシアに示した案は、以下の内容を含んでいる。
- ウクライナは「非同盟、非核」国になり、領土内に外国軍の基地や部隊を置かない
- イギリス、中国、アメリカ、トルコ、フランス、カナダ、イタリア、ポーランド、イスラエルなどの国々は、中立国としてのウクライナが攻撃された場合に同国を守ることに合意するとともに、厳格で法的拘束力のある保証をする
- ウクライナは軍事・政治同盟には加わらず、外国との演習には保証国の同意を必要とする
- ロシアに2014年に奪われたクリミアの将来の地位は、15年間の協議で決定される
- ロシアが支援する分離派が支配している東部の将来は、両大統領によって協議される
この提案について、ウクライナ代表団のダヴィド・アラハミヤ氏は、クリミアと東部地域の問題の解決を待たず、停戦合意が可能な枠組みだと述べた。
提案は、ウクライナの欧州連合(EU)加盟を可能にするが、NATO加盟は禁止する内容となっている。
ロシア代表団長のウラジーミル・メディンスキー大統領補佐官は、ウクライナの提案をウラジーミル・プーチン大統領に伝えると述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談の可能性も示唆した。ただ、首脳会談の実現には条約案を作成し、代表団が承認した上で両外相が署名する必要があるとした。
ウクライナの提案は、プーチン氏がこれまで要求してきた「非武装化」と「非ナチ化」(政権の刷新)には言及していない。
ロシアの表明に懐疑的な見方
ロシアが表明した軍事作戦の縮小がどれほどの規模になるかは不明で、ウクライナや西側には懐疑的な見方が根強い。
ロシア軍はすでに作戦を立て直しており、ウクライナ東部に注力している。キーウの北西では後退が続いているほか、南部沿岸地域からロシア国境にかけての地域の掌握も目指している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜のビデオ演説で、ロシア代表団の言葉すべてを信じるわけにはいかないと述べた。
「シグナルは(中略)前向きだが、そのシグナルで爆発やロシアの砲撃がかき消されるわけではない」

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「言葉ではなく行動で判断」
アメリカの政府当局者は、ロシア軍がキーウから後退しているのをすでに確認しているが、キーウでは空爆が続いているとした。ロシアの縮小表明については、意味のある変化につながると期待できるものではないとした。
アントニー・ブリンケン国務長官は、ロシアには和平協議に対する「本当に真剣な兆候」が見られないとし、ウクライナ国民に対する残虐行為は続いていると指摘した。
一方、イギリスのボリス・ジョンソン首相の報道官は、「言葉ではなく行動でプーチン政権を判断しなくてはならない」と述べた。
イスタンブールで取材しているトム・ベイトマン記者は、ロシアの縮小表明は撤退の約束なのか、それともキーウとチェルニヒウでの軍事行動の失敗を認めて、東部に全軍を投入すると言っているだけなのか、多くの人が真意を測りかねていると伝えた。









