英女王、フィリップ殿下の追悼式典に参列 主要行事出席は今年初

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英ロンドンのウェストミンスター寺院で29日、昨年4月に99歳で亡くなったエリザベス女王の夫フィリップ殿下の追悼式典が行われ、女王をはじめ多くの王族が参列した。
今回の式典は、1年前の葬儀が新型コロナウイルス対策のため30人しか参列できなかったことを受け、開催が決まった。フィリップ殿下が関わった慈善団体の代表など、約1800人が参加した。
式典の中でフィリップ殿下は、「地に足の着いた」活動に尽力した「素晴らしい人物」だったと称された。
エリザベス女王の参列は、式典の数時間前にようやく決定された。女王は息子のヨーク公アンドリュー王子と共に、ウィンザー城からウェストミンスター寺院へと到着した。
女王が主要行事に姿を見せるのは、今年に入って初めて。
女王は今月初め、移動が困難だという理由から、やはりウェストミンスター寺院で開催されたイギリス連邦の式典には参加しなかった。また、2月には新型コロナウイルスの検査で陽性が判明し、公務を控えていた。
今回の追悼式典は女王の体調に合わせて調整され、時間は45分間に設定されたという。

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昨年4月にウィンザーで執り行われた葬儀では、エリザベス女王が一人で座っている姿が痛々しかったが、今回は周囲のあらゆる席に家族が座っていた。
女王とフィリップ殿下の長男長女であるチャールズ皇太子とアン王女は、女王と同じ列に座った。
孫のウィリアム王子とキャサリン妃は、ひ孫のジョージ王子とシャーロット王女とともに、真後ろの列に腰を下ろした。
女王の他の2人の息子、アンドリュー王子とエドワード王子も、通路を挟んで最前列に座った。
エリザベス女王、チャールズ皇太子の妻のカミラ夫人(コーンウォール公爵夫人)、アン王女は、フィリップ殿下のの公式カラーである「エディンバラ・グリーン」に似た深緑を身にまとい、式典に参列した。
一方、警備の提供をめぐって法的な争いが続いているハリー王子は、現在住んでいる米カリフォルニアから来なかった。

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また、ボリス・ジョンソン首相や最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首といった政治家や、フィリップ殿下の出身国であるギリシャを含む欧州各国の王室の代表者も招待された。
式典にはフィリップ殿下の個性が色濃く反映され、ウィンザーの聖ジョージ礼拝堂で行われた葬儀でもともと計画されていた要素が数多く盛り込まれた。
例えばウェストミンスター寺院の入場では、フィリップ殿下が主催していたエディンバラ公爵賞の金賞受賞者が、列をなして弔問客を迎えるというものだった。
エディンバラ公爵賞は若者を対象に、スポーツや慈善活動、技能研修、探索などのプログラムを提供し、参加期間別に表彰している。金賞受賞には、さらに家を離れて働く活動が含まれる。

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金賞受賞者の一人、ドイン・ソニベアさん(27)は式典でのスピーチで、当初は「このアイデアには賛成できない」と思ったと話した。キャンプをしたことがなく、急な山道を登るのが怖かったからだという。
ロンドン東部出身のソニベアさんは、「私はずっと、つまづいて山を転げ落ちるだろう、これが『ドインにとってのおしまいだ』と思っていた。幸いなことに、そんなことにはならなかった」と語った。
「もし私がこの探検を完了することができれば、私は何でもすることができると思ったことを覚えている」
式典には、このほか、フィリップ殿下が支援した700の慈善団体の代表者が出席した。
フィリップ殿下の慈善団体の多くは、若者にインスピレーションを与え、より広い機会を与えることに重点を置いている。また、自然保護や環境保全にも注力していた。
また、葬儀で使われる予定だった讃美歌「われらを導く(Guide Me, O Thou Great Redeemer)」が歌われ、ベートーヴェンやヨハン・セバスティアン・バッハ、ワーグナー、ヴォーガン・ウィリアムス、ウィリアム・バードなどの作品も演奏された。
この式典の計画には、女王も深く関わっていたと報じられている。
フィリップ殿下の長年の友人であり、ウィンザー司教として葬儀も執り行ったデイヴィッド・コナー氏は、フィリップ殿下の人生には「犠牲と奉仕の印がある」と会衆に語りかけた。
「殿下は確かに、大きな同情と優しさを示せる人だった。そして間違いなく、愉快な魅力と、しばしば自虐的にもなるユーモアのセンスの持ち主だった」
「殿下が思索と常識の両方を兼ね備えていたことは明らかだ。さらに、女王とその家族に対する忠誠心と深い献身を疑う者もいないだろう」

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コナー司教はまた、フィリップ殿下は「現実的」であり、「その驚異的な知的・物理的エネルギーと素晴らしい努力の能力を、多くの地に足の着いた事業にささげた」と話した。
「明日の課題に立ち向かう若者の育成、自然の摂理に対する敬意と配慮の奨励、世界のさまざまな信仰の代表者間の対話を促進する先駆的な仕事などがあった」
一方で、フィリップ殿下には「ぶっきらぼう」なところがあり、時には「どれほど自分が威圧的になれるかを忘れてしまう」ことがあったと指摘した。その上で、「しかし彼自身が不当に批判されたり、誤解されたりして傷つくこともあったことを忘れてはならない」と話した。
エリザベス女王とフィリップ殿下は73年間の結婚生活を送った。昨年のクリスマスメッセージの中で女王は、「最愛の」フィリップを失ったことについて、珍しく個人的な言葉で語った。
追悼式典で飾られた花には、2人の結婚式で女王のブーケに使われていたランの花が使われた。女王とフィリップ殿下は、1947年にウェストミンスター寺院で結婚式を挙げた。
フィリップ殿下の海への愛や軍隊とのつながりは、イギリス海兵隊バンドの音楽にも表れており、式典は「The Seafarers」という曲で締めくくられた。

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<解説>長寿を全うする ――ショーン・コクラン王室担当編集委員
この日の感謝の式典では、73年間連れ添った妻、家族、慈善事業、軍とのつながり、公共の義務感など、フィリップ殿下の人生のさまざまな要素が集約されたものだった。
しかし、ウィンザー司教のデイヴィッド・コナー氏は説教の中で、フィリップ殿下は「石膏(せっこう)の聖人」として記憶されることを嫌っただろうと述べた。
コナー司教は、フィリップ殿下は現実的な人物で、エネルギーとアイデアに満ちあふれていた一方、尊大さやお世辞を我慢できない人だったと語った。
式典では、最初の讃美歌が始まると同時に席まで歩いてきたエリザベス女王の弱々しさにも注目が集まった。
女王は、フィリップ王子と結婚した時と同じ教会に座った。そばにつえを置き、家族4世代と、何十年にもわたる思い出と共に。
未成年への性的虐待疑惑をめぐり公務から退いているアンドリュー王子が、公の場に再び姿を現し、彼女をウェストミンスター寺院の中へと案内した。
歴史的な場に歴史的な舞台が用意され、そこには「長寿を全うする」ことへの祈りが込められていた。
寺院の鐘が鳴り、聖歌隊が歌い、外の通りには群衆が集まった。昨年新型ウイルスによって阻まれた葬儀よりも、大きな式典となった。

追加取材:アダム・ダービン








