故フィリップ殿下の遺言、90年間封印へ 英女王の「尊厳と地位」守るためと

Prince Philip in 2015

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画像説明, エリザベス女王の夫、故エディンバラ公フィリップ殿下は今年4月、99歳で亡くなった

イギリスの高等法院は16日、エリザベス女王の夫、故エディンバラ公フィリップ殿下の遺言を、女王の「尊厳と地位」を守るために90年間、封印すると発表した。

英王室ではここ100年以上、主要メンバーの死に際し、遺言をすぐに開示しないよう裁判所に求めるのが慣例となっている。

遺言はその多くが検認を必要とするが、今回の決定により、フィリップ殿下の遺言は公的な調査を受けない。また、90年後に遺言を開封するかどうかを決める手続きも、内部で行われるという。

遺言の封印をめぐる審理は今年7月、高等法院家事部のトップ、サー・アンドリュー・マクファーレイン判事によって非公開で進められた。審理には、フィリップ殿下の資産の代理人を務める弁護人と、政府の司法顧問である法務長官が出席した。

サー・アンドリューは現在、王室メンバーの遺書が封印された封筒を30通以上、保管している。

サー・アンドリューは今回、フィリップ殿下の遺言に関する発表と併せて、過去100年以上で初めて、これらの遺書の開封手続きを進めることを明らかにしている。

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サー・アンドリューは王室メンバーの遺言について、「君主の憲法上の立場から、特別な手続きが必要だと信じている」との見解を示した。

「君主とその家族の尊厳を維持するため、この限定された個人のグループの生活における本当に私的な面について、保護を強化する必要がある」

審理は非公開

サー・アンドリューは、フィリップ殿下の遺言を見ていないと説明。内容も、執行日と執行者の身元以外は伝えられていないと述べた。

また、審理を非公開で行ったことについて、「要請の意図を壊しかねない」ほどの「大規模な注目と憶測」を招くことになるためと説明した。

「私は、王室メンバーが遺言に残したかもしれない私的な条件について公衆の好奇心が集まるかもしれない一方で、公衆がこの全面的にプライベートな情報を知ることに真の公共の利益はないという意見を受け入れた」

公共の利益は法務長官が代表したため、報道機関が審理の場にいる法的根拠はなかったとしている。

フィリップ殿下の資産の弁護士は、遺言の封印申請と審理がニュースになれば、女王と王室にとって「非常に厄介な」、「全く根拠のない憶測が生まれた可能性がある」と指摘した。

伝統は1910年から

サー・アンドリューは、王室メンバーの遺言が裁判所によって封印されるようになったのは1910年、エリザベス女王の祖母に当たるメアリー王妃の弟、フランシス王子からだと説明した。

王室と法律に関する専門家のマイケル・L・ナッシュ氏によると、フランシス王子が、メアリー王妃から贈られた高価なエメラルドを愛人のキルモリー伯爵夫人に遺したことが、この慣例の始まりだという。

フランシス王子の遺言は現在、サー・アンドリューが保有する金庫で保管されている。この金庫にある一番新しい遺言は、2002年に亡くなったエリザベス女王の母、エリザベス王太后と、女王の妹のマーガレット王女のもの。

これらの遺言は永久に封印されるとされていたが、サー・アンドリューはこの命令を修正。遺言の執行日から90年後に開封が許可された場合、非公開で検認できるとした。

この「検認の許可」によって、遺言に基づいて遺産を分配することが可能となるほか、通常では遺言が公的文書になる。

The Queen Mother and Princess Margaret in 1981

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画像説明, エリザベス女王の母、エリザベス王太后(左)と、女王の妹のマーガレット王女(右)の遺言も、サー・アンドリューが保管している

これについて、女王の弁護士と法務長官は当初、封印期間を125年間とするよう求めていた。しかし、サー・アンドリューは90年が「妥当かつ十分」で、遺言の公開が王室メンバーの私生活を妨害するリスクが大きく減る期間だと判断したという。

また、90年後に遺言を開封して検認する人物として、その時の君主の私的弁護士、王室文書館の管理人、法務長官、そして、存命であれば遺言者の個人的な代理人を指定した。

開封された遺言については、上記の人々が公開するかを決定する。しかしサー・アンドリューは、公開されない王族の遺言も出てくるだろうと述べている。

文書と封印を適切に保全するため、開封は専門家が行うことになっている。そのほかの手続きの詳細は、この命令に基づいて最初に開封される遺言が決まってから、裁判所が決定する。

故ダイアナ元妃の遺言は公開済み

サー・アンドリューは、金庫に保管されている遺言30通について、遺言者の名前を公表するつもりだと述べた。ただし、自身の判断に対する控訴が適切に行われるまでは、公表しないと付け加えた。

一方、故ダイアナ元妃の遺言は、これらには含まれない。他の王室メンバーとは異なり、ダイアナ元妃の遺言は1997年の死後に公開され、息子たちが25歳になるまで資産の大半を委託するという内容も公になった。