ウクライナ大統領、ロシアが「戦争犯罪」と非難 攻撃受けた場所に「軍事目標ない」

A destroyed school close to the centre of Ukraine's second-largest city Kharkiv

画像提供, Getty Images

画像説明, ウクライナ第二都市ハルキウ(ハリコフ)中心部からほど近い場所にある学校も破壊された

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日、第二都市ハルキウ(ハリコフ)の中心部を巡航ミサイルで攻撃したロシア軍について、戦争犯罪を犯していると非難した。

ロシア軍は1日午前8時ごろ、ウクライナ北東部ハルキウの自由広場周辺を攻撃し、地方政府の行政庁舎やオペラハウスなどが破壊された。少なくとも10人が死亡し、35人が負傷した。

ゼレンスキー大統領は欧州議会の緊急会合でビデオ形式で演説し、欧州連合(EU)がウクライナと共にあることを証明してほしいと訴えた。

1日午後には首都キーウ(キエフ)のテレビ塔が砲撃を受け、複数の放送が中断された。この攻撃で5人の死者が確認された。

ソーシャルメディアには、煙が立ち上るテレビ塔の映像が投稿された。テレビ塔は倒れずに残っている。

テレビ塔への攻撃で、近くにあるホロコースト追悼施設も破壊された。ここは、バビ・ヤール渓谷で第2次大戦中にナチス・ドイツに銃殺された7万~10万人(大半がユダヤ人)が眠る欧州最大のホロコースト集団墓地。

ゼレンスキー氏は、「歴史が繰り返される」とツイートした。

「バビ・ヤールという同じ地に爆弾が落ちても世界が黙っているのなら、この80年間、『二度と繰り返さない』と言い続けてきたことに何の意味があるというのか」

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キーウへの総攻撃が懸念される中、最新の衛星写真では、数日前からキーウ郊外で装甲車などの車列が確認されている。米衛星会社マクサー・テクノロジーズによると、装甲車や戦車のほか、ミサイル発射装置や兵站(へいたん)車両などが車列をなし、すでにキーウから約30キロの地点に迫っている。

しかし、米国防総省の高官は1日、この車列に「目立った動きはない」とした。

また、ロシア軍全体の士気が低下している兆候が見られるといい、時には戦わずに降伏する部隊もあると、同高官は付け加えた。

こうした中、ロシア国防省はキーウ市内の軍事的に影響を受けやすい地域の住民に対し、自宅を離れるよう促した。

同省は、ロシア軍はウクライナの都市ではなく軍事インフラのみを標的にしており、市民への脅威はないと発表したと、ロシア国営タス通信は伝えている。

「ウクライナに対するテロ行為」

欧州議会では、演説したゼレンスキー氏にスタンディングオベーションが起こった。

ゼレンスキー氏はEUからの軍事支援に感謝を伝えた。

「あなた方がいなければ、ウクライナは孤立してしまうでしょう」と、ゼレンスキー氏は述べた。「私たちは自分たちの強さを証明している」。

「あなた方が私たち(ウクライナ)と共にあることを、そして私たちを手放したりしないと、証明してほしい」

Map showing where the Kharkiv blast was
画像説明, 第2の都市ハルキウの自由広場(Freedom Square)や地方政府の行政庁舎(Regional government HQ)などが攻撃を受けた
Presentational white space

ゼレンスキー氏はロシア軍によるハルキウへの攻撃を非難した。

「これは自由の代償だ」、「ウクライナに対するテロ行為だ。広場には軍事的目標物はなかった。ロケット砲を受けたハルキウの住宅地にもそんなものはなかった」と、ゼレンスキー氏は付け加えた。

ウクライナ国家緊急事態サービスが公表した監視カメラ映像では、ミサイルが地方行政庁舎を直撃し、巨大な火の玉が上がり、周囲の建物の窓が吹き飛ぶ様子が見える。自由広場は欧州で2番目に広い、都心にある広場で、ハルキウのランドマークとなっている。

動画説明, ロシア軍、ウクライナ第二都市の中心広場をミサイル攻撃

欧州議会はその後、ウクライナによるEU加盟申請を検討するとした。

「地獄」のような生活

ハルキウの住民たちはBBCに対し、市民が攻撃を受けており、「地獄」のような生活を送っていると語った。

3児の母であるユリアさんは、ロシア軍が軍事インフラのない地域を標的にしていると訴えた。

「彼ら(ロシア軍)は、誰かの母親や子供たちが暮らす、何万人もの人が生活する住宅地を爆撃している」とユリアさんは述べた。「大勢がけがをしている。(中略)これは地獄です」。

別の住民は、次にどこが爆撃されるか分からないので、夫や子供と一緒に防空壕で生活していると、BBC番組「ニューズアワー」に語った。

Map showing whole country. Updated 1 March (take 2)
画像説明, ロシアが制圧したウクライナの地域(赤色)。クリミアは2014年にロシアが一方的に併合した 出典:米戦争研究所 グリニッジ標準時(GMT)2月28日午後8時時点
Presentational white space

ゼレンスキー政権は、ロシアがハルキウやキーウをはじめとする都市を包囲しようとしていると非難している。

侵攻6日目となった1日も、複数の前線で攻撃が続いた。ただ、ウクライナ側の抵抗により、ロシアの進軍速度は減速していると伝えられている。

南部ヘルソンは包囲されたとされる。港湾都市マリウポリでは激しい砲撃により停電が発生している。

戦争犯罪の捜査

ロシアが戦争犯罪を犯しているとの声が広がり、ウクライナでの攻撃について調べるよう国際的な要求が高まっている。

ロシアはこれまで、住宅地を標的にはしていないと主張してきたが、戦争犯罪を検証する国際刑事裁判所(ICC)は捜査を検討している。捜査を始めるにはICC裁判官の承認が必要だが、ICCのカリム・カーン主任検察官は当面の間、民間人への攻撃といった虐待行為の証拠収集を始めるようチームに要請している。

国連によると、侵攻により60万人以上が家を追われ、子供13人を含む民間人130人以上が死亡している。