ロシア、首都のテレビ塔砲撃 ウクライナ第二都市の中心部に巡航ミサイル攻撃

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ウクライナ侵攻を続けるロシア軍は3月1日午後、首都キーウ(キエフ)のテレビ塔を砲撃した。ウクライナの緊急事態当局が確認した。これに先立ちロシア軍は同日朝には、第二都市ハルキウ(ハリコフ)の中心部を巡航ミサイルで攻撃した。地方政府の行政庁舎やオペラハウスなどが破壊されたという。ロシア軍は同日、首都キーウ(キエフ)に向けて長さ60キロ以上の装甲車や戦車の車列を進めている。国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官は、ロシアの侵攻について捜査に着手したい考えを示した。
ウクライナ当局によると、1日午後にロシア軍の爆撃でキーウのテレビ塔が砲撃され、5人の死者が確認されている。テレビ塔は民間運営。この攻撃で複数の放送が中断されたほか、近くにあるホロコースト慰霊地が破壊された。

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これに先立ちロシア国防省は、首都キーウの住民に対して、首都市内にある「ウクライナ保安庁の技術センターと、第72情報心理戦センター」に対して「精密爆撃」を実施する予定だと発表していた。
「ロシアを挑発するようナショナリストに利用されているウクライナ市民と、中継局の近くに住むキエフ住民に、自宅を離れるよう呼びかける」と、ロシア国防省は述べていた。
これに対してウクライナのオレクシイ・レズニコフ国防相は、ロシアによる「心理攻撃」の危険を警告。国防相はフェイスブックで、ロシアがまず通信を妨げた後、「ウクライナの政治・軍事幹部が降伏に合意したなど、フェイクニュースをとてつもなく大量に拡散する」だろうと述べた。
「そのフェイクニュースの裏付けとして、ロシアは署名文書やねつ造ビデオを公表するだろう。これはすべて、うそだ」と、国防相は書いた。
第二都市の中心部をミサイル攻撃

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これに先立ちロシア軍は同日午前8時(日本時間午後3時)ごろ、ウクライナ北東部の主要都市ハルキウの自由広場に撃ち込んだという。市当局によると、子供1人を含む少なくとも20人が負傷した。少なくとも1人が死亡したもようで、当局は事態を確認中という。
ウクライナ国家緊急事態サービスが公表した監視カメラ映像では、ミサイルが地方行政庁舎を直撃し、巨大な火の玉が上がる様子が見える。被弾当時、複数の車両が建物前を通過していた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はハルキウ中心部へのこの攻撃を受けて、ビデオリンクで欧州議会に対して、ロシアのしていることは国家テロに相当すると述べた。ゼレンスキー氏は、「ロケット砲と爆弾と砲弾で武装した悪は、ただちに阻止しなくてはならない。経済的に破壊しなくてはならない。人類は自衛できるのだと示さなくてはならない」と述べた。
またドミトロ・クレバ外相は、自由広場や住宅地への「野蛮な」攻撃について、国際社会はロシアをもっと罰する必要があると指摘。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「怒りにかまけて戦争犯罪を犯し、罪のない市民を殺している」と非難した。
ハルキウへの激しい爆撃は数日続いており、1日のこの攻撃の前からすでに、ルキウ州のオレフ・シネフボウ知事は「ハルキウで起きているのは戦争犯罪だ! ウクライナ人の民族虐殺だ」と非難。「市民はただ、食品や医薬品を買いに外に出ているだけだ。そこへの攻撃は、犯罪だ」と知事は強調した。

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国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官は28日夜、ウクライナで戦争犯罪あるいは人道に対する罪が行われたと考える「合理的根拠」があると判断していると述べ、ロシアの侵攻について捜査に着手したい考えを示した。

ハルキウは2月28日にも人口密集地が標的になった。現地当局によると、子供3人を含む9人の民間人が死亡した。ソーシャルメディアに投稿された動画から、一部の防衛アナリストは、市街地に対する典型的なクラスター爆弾攻撃だと指摘している。
ゼレンスキー大統領は同日夜の演説で、「ハルキウは平和都市で、平和な住宅地があるが、軍事施設はない」として、ハルキウへのロシアの攻撃は「明らかに戦争犯罪だ」と非難した。
「これは偶発的に単発のミサイルが落ちたわけではなく、市民を意図的に攻撃し破壊したのだと、数十人の目撃者証言が証明している。どこに向かって撃っているのか、ロシア側は承知していた」と、ゼレンスキー氏は述べた。
その上で、「この犯罪について絶対に、国際法廷が開かれる。これはあらゆる慣習に違反している。ウクライナの平和的な人たちを殺したお前たちを、世界の誰も許さない」と、大統領は強調した。
ロシアはこれまで、攻撃対象は軍事施設のみで、住宅地は攻撃していないと主張している。
ウクライナ北部のチェルニヒウでは、ショッピングセンターが破壊され、黒煙が上がっている様子が撮影された。
国連によると、ロシアの侵攻のためウクライナから避難した人は28日までに50万人以上に達した。
首都へ長さ64キロの装甲車車列
最新の衛星写真によると、1日には長さ64キロに至るロシア軍の装甲車や戦車の車列が首都キーウに向けて向かっている。米衛星会社マクサー・テクノロジーズによると、装甲車や戦車のほか、ミサイル発射装置や兵站(へいたん)車両などが車列をなし、すでにキーウから約30キロの地点に迫っている。ただし、英国防省によると、この車列は過去24時間でほとんど前進していない。

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ウクライナ南部で人口30万人のヘルソンは、ロシア軍に包囲され、地上部隊による攻撃を受けているという。ヘルソンは、ロシアが2014年に併合したクリミア半島に近い。
南部の港湾都市マリウポリの知事は、夜通し砲撃されたと話した。
ロシア外相、アメリカは欧州から核兵器を撤収せよ
スイス・ジュネーヴで1日に開かれた国連軍縮会議では、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が、ロシアは戦略的安定についてアメリカと協議する用意はあるものの、アメリカは欧州に配備している核兵器をすべて撤収すべき時だと述べた。
ラヴロフ外相は当初、ジュネーヴを直接訪れる予定だったが、西側が外相の渡航を禁止したため、事前録画のメッセージを提出した。外相はさらに、ウクライナの核兵器保有を阻止することが、今の侵攻の目的だと示唆したほか、旧ソヴィエト連邦の地域で、西側が軍事施設を作ってはならないとも述べた。
外相の発言が始まると、ウクライナに始まり、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、欧州連合(EU)などの大使が次々と退席した。











