侵攻5日目、ウクライナとロシアが協議継続で合意 攻撃激化し「戦争犯罪」の訴えも

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ロシアによるウクライナ侵攻5日目の28日、停戦に向けた両国代表団の直接協議が開かれたが、大きな進展はみられなかった。ただ、協議を継続することで合意した。攻撃や戦闘はこの日も続き、多数の民間人死傷者が出た模様。ロシアが「戦争犯罪」を犯しているとの訴えも出ている。
侵攻開始後で初となる直接協議は、ウクライナの北のベラルーシとの国境沿いに位置するゴメリで開かれた。ベラルーシが仲介した。
戦闘が続いている状況を打開するとの期待はほとんどなかった。しかしウクライナの当局者によると、双方が自国の首都に戻って検討を重ねてから、2回目の協議に臨むことになったという。
ロシア側も、双方が協議継続で合意したとし、「数日内に」再び協議する見通しを示した。
協議では、ウクライナが停戦とロシア軍の撤退を求めた。ロシアは立場を発表はしないとした。ロシア代表団は、双方の利益となる合意を目指す考えを示してきた。
国連が緊急特別会合
国連総会は28日、緊急特別会合を開いた。同会合の開催はまれ。
アントニオ・グテーレス事務総長は、敵対行為の即時停止を求めた。
一方、国連の難民機関は、ウクライナから50万人近くが近隣国に避難したとしている。ウクライナ国内で住む場所を失っている人々は10万人を超えるとした。
BBCのジェレミー・ボウエン記者は、ポーランド国境のある検問所で、同国に避難しようとする人たちの列が約1.6キロにわたって続いていると伝えた。徒歩や車、バスなどで移動しており、子どもも多数いるとした。
BBCのファーガル・キーン記者は、西部リヴィウの鉄道駅で家族たちが必死になって列車に乗り込もうとしていると報告した。ベビーカーを頭上に持ち上げてプラットフォームまで運ぶ人も見られるという。
国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官は、ウクライナで数百万人の民間人が、地下鉄駅などのにわか作りの避難シェルターで身を小さくせざるを得ない状況だとした。
同弁務官は、24日の侵攻開始以降、民間人102人(うち子ども7人)と、300人以上のけが人を確認していると説明。「実際の人数はずっと多いとみられる」と述べた。
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ミサイル弾で数十人死亡
人口140万人のウクライナ第2の都市ハルキウでは28日、ミサイル弾による攻撃で民間人数十人が死亡、数百人がけがを負った。ソーシャルメディアに投稿された動画からは、市内全域が被弾している様子がうかがえた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日夜のテレビ演説で、ハルキウの爆撃について、ロシアが「戦争犯罪」を犯していると非難。「多くの目撃証言から、これが単発の誤射ではなく、人々に対する意図的な破壊行為だとわかる」と述べた。

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首都キーウ(キエフ)では夜間、またも防空サイレンが鳴り響いた。ロシアの攻撃がキーウから30キロほどの地点まで迫っているとの報道が流れる中、市民らは地下鉄駅などの避難場所に駆け込んだ。
マクサー・テクノロジーの衛星写真からは、ロシア軍の全長65キロ近い車列がキーウに向かっている様子がうかがえる。同社はまた、ウクライナ国境から30キロほどのベラルーシ南部に、地上部隊と攻撃ヘリが配置されている状況も見られるとした。
一方、北部チェルニヒウでも、激しい砲撃があったと報じられている。ソーシャルメディア上の動画では、ショッピングセンターで炎が上がり、大きな煙が出ている状況がわかる。同市の教師はBBCに、「ホラー映画のようだ」、「みんな心が折れている。何も理解できない」と現状を語った。
これら3都市はいずれもウクライナが掌握している。
ゼレンスキー大統領は、侵攻開始からの5日間で、ロシアはロケット弾56発、弾道ミサイル113発をウクライナに撃ち込んだと説明。ウクライナの通信社ウクルインフォルムによると、大統領はウクライナ上空をロシアのミサイルや航空機、ヘリコプターの飛行禁止区域にする必要があると話した。しかし、誰がどのようにそれを実施するのかは述べなかったという。

禁止兵器を使用との訴え
ロシアはウクライナをいくつかの地点で攻撃している。ウクライナ側の抵抗にあい、進攻は遅れているとされる。
南部では、ロシア軍がクリミアに近い重要港湾都市マリウポリの制圧を目指している。ヨーロッパ最大級の原発があるザポリッジャをロシアが掌握したとの報道が流れたが、ウクライナはこれを否定した。
ウクライナのデニス・モナスティルシキー内相は、状況は全土で「深刻だが、落ち着いている」とBBCに説明。「敵は連日、どんどん軍を送り込んでくる。しかし私たちの栄光ある軍は基本的に、キーウにやって来るすべてを破壊している。キーウが主要な攻撃場所になっている」と述べた。
また、妨害工作者を探して捕まえるグループを組織しており、キーウで最大100組が活動していると話した。
人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ロシアが人口密集地域で無差別に武器を使用していると非難。戦争犯罪に該当するとしている。
ロシアはこれまで、住宅地を攻撃目標にはしていないと主張している。
一方、ウクライナのオクサナ・マルカロワ駐米大使は28日、ロシアが使用を禁止されている気化爆弾(サーモバリック爆弾)を使ったと米議員らに語った。大使は記者団に、「ロシアは今日、真空爆弾を使用した。ジュネーヴ条約で禁止されているものだ」と述べた。
BBCはこの主張の真偽を確認できていない。サーモバリック爆弾は爆発の威力と衝撃波が極めて強い。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、ロシア・チェチェンで使用されたことがあるという。米CNNは26日、ロシア・ベルゴロド付近でサーモバリック爆弾の発射台が目撃されたと報じていた。
経済制裁の影響
ロシアの通貨ルーブルが28日、対米ドルで過去最安値に落ち込んだ。こうした事態に、ロシア中央銀行は政策金利を2倍以上の年20%に引き上げた。
モスクワ市内では銀行のATMに市民らが長い列を作った。取り付け騒ぎの懸念も出ている。
ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は同日、ルーブル急落につながった西側の制裁を、ロシアは「乗り切る」つもりだと話した。
ウラジーミル・プーチン大統領は、国外へのお金の移動を禁止した。

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