ウクライナとロシアの交渉、ベラルーシ国境で開始

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ロシアによるウクライナ侵攻の開始から5日目の28日午後、ウクライナとロシアの両代表団がベラルーシ国境で対面し、交渉を始めた。交渉開始前の動画演説で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナに侵攻するロシア兵に武器を置くよう呼びかけた。さらに、欧州連合(EU)には即時加盟を認めるよう求めた。
ウクライナの北に国境を接するベラルーシの国境沿いに位置するゴメリで、両国の交渉が始まった。ウクライナはオレスキー・レズニコウ国防相、ロシアはウラジーミル・メディンスキー大統領補佐官がそれぞれ、代表団の団長を務めている。
ウクライナ大統領府は、即時停戦とロシア軍の撤退を会談で求めると述べた。
一方でロシアのメディンスキー大統領補佐官によると、ロシアとしては双方の利益にかなう合意成立を目指すと記者団に話した。
会談の冒頭では、ベラルーシのウラジーミル・マケイ外相があいさつをした。
ベラルーシはロシアの盟友で、侵攻開始前にはロシア軍が多く駐留。その中の多くの部隊がベラルーシを拠点に、ウクライナ攻撃に臨んだ。

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ロシアは制裁を「乗り切る」と報道官
ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は28日、電話会議で記者団に対応し、ルーブル急落につながった西側の制裁を、ロシアは「乗り切る」つもりだと話した。
「ロシアに対する西側の制裁は厳しいものだが、その打撃を埋め合わせるだけの能力がこの国にはある」とペスコフ氏は述べ、プーチン大統領が同日中に金融相や中央銀行総裁など、主要な経済・金融関係者と「経済の問題に取り組む」予定だとした。
欧州連合(EU)とアメリカ、および同盟諸国は26日(日本時間27日朝)、ロシアの複数銀行を国際決済システム「SWIFT」から切り離すことで合意した。これは、ウクライナ侵攻に対する対応としては最も厳しい措置で、ロシア中央銀行の資産が凍結されるほか、同国の外貨準備へのアクセスも制限された。
欧州委員会、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの首脳が共同声明に署名。「ロシアを国際金融システムからさらに孤立させる」ことが狙いだとしている。ロシアは同国経済を支える原油やガスの輸出でSWIFTシステムに大きく依存している。
こうした措置を受け、ロシアの通貨ルーブルは28日、米ドルに対して最大40%下落。過去最安値に落ち込んだ。こうした事態に、ロシア中央銀行は政策金利を2倍以上の年20%に引き上げた。

一方で、モスクワで取材するBBCのジェニー・ヒル記者によると、市内各地ですでにATM前で行列ができているほか、取り付け騒ぎが起きるのではないかと予想する人が増えているという。

ウクライナ大統領、EU加盟のスピード承認求める
ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、EUに対して、ウクライナの加盟を「直ちに」認めるよう呼びかけた。
「すべての欧州人と一緒になることが私たちの目的で、何より大事なのは対等な立場になることだ。これは公平で可能なことだと確信している」と大統領はビデオ演説で述べた。
ゼレンスキー氏はさらに、ロシア兵に武器を置くよう呼びかけた。「装備を手放す方がいい。ここから出ていくといい。司令官を信じるな。でたらめを言う連中を信じるな。ともかく自分の命を大事にしよう」と述べた。
大統領は加えて、政府は近く、戦闘経験のある受刑者を刑務所から釈放し、国防に協力してもらうつもりだと話した。「道徳的見地からは簡単な判断ではなかったが、国防にとっては有益な決定をした」と説明した。
核抑止部隊に特別警戒命令

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ロシアのプーチン大統領は27日、同国軍の核抑止部隊に「特別警戒」を命令した。西側諸国がロシアに「非友好的な行動」をとったことを理由にしている。
プーチン大統領は、西側がロシアに「非友好的な行動」をとり、「不当な制裁」を科したとして、セルゲイ・ショイグ国防相を含む軍幹部に対して、核抑止部隊の「特別警戒」を命令した。ロシアの核部隊にとって、「特別警戒」は最高レベルの警戒態勢。
この発表は、ロシアがただちに核兵器を使うつもりだという意味にはならない。
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米政府や北大西洋条約機構(NATO)などはただちに、「容認できないエスカレーション」だと、プーチン氏の発言を非難した。
プーチン氏は24日にも、ウクライナにおいてロシアを「妨害しようとする者は誰だろうと」、「歴史上見たこともないような結果を見ることになる」と述べていた。これは、ウクライナ侵攻を阻止しようとする西側に対する、核兵器使用の警告だったと受け止められている。
核抑止命令は英外相の発言がきっかけ?
ロシアのペスコフ大統領報道官は28日、プーチン氏が核抑止に関するこの命令をしたのは、イギリスのリズ・トラス外相の発言が原因だったと話した。ロシアのインタファクス通信が伝えた。
「さまざまなレベルのさまざまな代表から、考えられる紛争事態、NATOとロシア連邦の衝突についてさえ、複数の発言があった。我々はこのような発言をまったく容認できないと考えている。誰の発言か名前は挙げないが、それはイギリスの外務大臣だった」と、ペスコフ報道官は話したという。
トラス英外相のどの発言をロシア政府が問題視したのかは不明だが、トラス外相は27日、イギリス国民が義勇兵としてウクライナの外国人部隊に参加し、ロシアと戦うことを支持すると発言していた。
ドイツ、国防費を増大

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ドイツのオラフ・ショルツ首相は27日、独連邦議会で演説し、国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上へと大幅に引き上げると方針を表明した。2022年予算から1000億ユーロ(約13兆円)を連邦軍の装備強化などに使う。戦後ドイツ国防政策の一大転換になるこの発表に、議員はざわめき、一部は拍手したものの、ブーイングの声も出た。
ウクライナを侵攻したロシアのプーチン大統領について、ショルツ首相は「ロシア帝国を作ろうとしている」と非難。ドイツがウクライナに直接、武器を供与する方針も示した。これもドイツにとって大きな国防政策の転換になる。
これまでNATO加盟国は長年、ドイツの国防費引き上げを求め続てきたがドイツはそれに応じなかった。NATO加盟国のこの長年の目標を、プーチン大統領は数日で実現したことになる。
EUとイギリス、ロシア機の上空飛行を禁止

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は27日、「我々はロシア所有の、あるいはロシア登録の、もしくはロシアが動かす飛行機に対して、EUの領空を閉鎖する」と述べた。ロシアの財閥が所有する自家用機も含め、こうしたロシア機はEU領内への乗り入れも、EUからの離陸も、EU加盟国上空の飛行も認められなくなる。
イギリス政府はすでにロシア機の乗り入れを禁止している。
フォン・デア・ライエン委員長はさらに、ロシア政府の広報機関となっているロシア国営メディア「RT」や「スプートニク」をEUから排除すると発表。「(両社による)害の大きい悪質な偽情報の拡散を欧州で禁止するため、必要な道具を開発中だ」とした。
一方、EU加盟国の多くが、EU初の一時的保護指令の発令を支持していることが、BBCの取材でわかった。同指令では、大規模にEUに流入するとみられるウクライナからの避難民を最大3年間、難民申請なしで受け入れる。3月3日に開かれるEUの会合で協議する見通し。
(英語記事 Ukraine live page )









