ウクライナ首都と第2の都市に砲撃、死傷者が増加 侵攻6日目

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ロシアによるウクライナ侵攻6日目の1日、ロシア軍は首都キーウ(キエフ)に向けて進軍し、市内では朝から警戒サイレンが鳴り響いた。第2の都市でも砲撃があり、民間人らの死傷者が増え続けている。
ウクライナ当局は2日午前、2月24日に始まったロシアによる侵攻で、2000人以上の民間人が死亡したと発表した。
ウクライナ国家緊急サービスによると、救急隊員10人もロシアの攻撃で殺害された。ロシアが国内各地で繰り広げる爆撃による火災を、救急消防隊は400カ所以上で消火したほか、416発の爆発物を未然に処理したという。
「7日間の戦争で、ロシアは何百もの交通要所、住宅、病院、保育園を破壊した」と、同サービスは述べた。
首都のテレビ塔砲撃、ホロコースト慰霊施設破壊
ロシアは1日、キーウのテレビ塔を砲撃。ウクライナ当局は5人が死亡したとした。ロシアがキーウ市内の標的への攻撃を準備していると警告し、まもなくして砲撃があった。

ロシア国防省は攻撃に先立ち、キーウ市内の「ウクライナ保安庁の技術センターと、第72情報心理戦センター」に対して「精密爆撃」を実施する予定だと発表し、周辺住民に避難を呼びかけていた。
報道によると、テレビ塔はミサイル弾2発で攻撃された。市長は完全復旧に向けて専門家らが作業していると話した。
テレビ塔近くのホロコースト追悼施設も、ミサイル1発を被弾した。欧州最大規模の集団墓地に建設された施設で、ナチス・ドイツは1941年に同地で3万3000人以上のユダヤ人を殺害した。


「私たちの歴史を抹消せよと」
2日午前に演説したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がホロコースト慰霊施設を攻撃したことについて「人道にもとる」と非難した。
大統領はさらに、「このようなミサイル攻撃は、私たちのキーウについていかにロシアの大勢の人が何も知らないか示している。この国の首都について、この国の歴史について、ロシアの大勢の人は何も知らない。それなのに、私たちの歴史を抹消するべく命令を受けている。この国を抹消せよと。私たち全員を抹消せよと」と述べた。
衛星写真からは、長さ65キロにわたるロシア軍の装甲車両の列が、キーウ近くにいることが明らかになっている。
ハルキウの恐怖
第2の都市ハルキウ(ハリコフ)でも、政府庁舎がミサイル攻撃を受け、少なくとも10人が死亡した。
これを受け、ゼレンスキー大統領は、ロシアが戦争犯罪を犯していると非難した。攻撃された場所の付近には、軍事標的はないとしている。
住民らは市外へと避難した。若い息子と共に逃げた美容師のアレクサンドラさんは、「自分の国と街に、これほどの愛を感じたことはなかった」と述べ、自宅に戻れるよう願っているとBBCのジョエル・ガンター記者に話した。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、ウクライナ人の群衆がロシアの車両に素手で襲いかかる様子が映っている。群衆はウクライナ国旗を振り、車に物を投げるなどした。車はスピードを上げて走り去った。

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飛行禁止区域は望み薄
イギリスのボリス・ジョンソン首相の1日の記者会見では、ウクライナの女性が、「ウクライナの人々は空を守るよう西側にお願いしている。私たちは飛行禁止区域を要請している」と、熱のこもった質問をした。
ロシアの攻撃は住宅地にも及び、民間人の死者が増え続けている。だが、西側が飛行禁止区域を設定する可能性はほぼない。
設定すれば、北大西洋条約機構(NATO)軍が警戒に当たり、ロシア軍との交戦へとエスカレートする恐れがあることが大きな理由だ。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は先月28日、「私たちにはウクライナに入る意図はない。地上でも空でもだ」と米NBCに話している。


ロシア軍は物資不足か
米国防総省は、ロシア軍の進軍が予定より遅れており、補給物資の不足が生じているとの見方を示した。
同省によると、ロシア軍は侵攻開始から6日目になっても制空権を手に入れていない。ハルキウ、南部マリウポリなどの主な軍事目標も掌握できていない。
同省関係者の1人はAFP通信に、「多くの場合で現在見られるのは、車列が文字通りガス欠になっている状況だ」、「部隊への食料も不足し始めている」と述べた。
この関係者は、ロシア軍の士気に問題が生じていることを示すサインも見られるとした。ロシア軍には徴集兵が多いとされる。
アメリカとウクライナの大統領が協議
アメリカのジョー・バイデン大統領と、ウクライナのゼレンスキー大統領が1日、電話で協議した。
ゼレンスキー大統領のツイートによると、両者はロシアに対する制裁と、ウクライナへの軍事支援について話し合ったという。
バイデン大統領もツイッターで、「私たちはロシアの責任を問う。制裁はすでに大きな衝撃を与えている」とした。
一方、イギリス政府は1日、ベラルーシに対する制裁を発動すると発表した。リズ・トラス外相によると、対象は個人と組織。ウクライナ侵攻でベラルーシがロシアを助けていることが理由。
中国とウクライナの外相が協議
中国の王毅外相とウクライナのドミトロ・クレバ外相が1日、電話で協議した。
中国国営メディアを引用したAFP通信の報道によると、王外相は衝突が発生したことを「心から残念に思う」とし、「民間人の被害を非常に気にかけている」と述べた。
また、当事者双方が「交渉で解決する道を見いだす」よう求めたという。
ロイター通信によると、クレバ外相は中国に対し、ロシアとの関係を生かして侵攻停止を働きかけるよう要望した。王外相は、暴力を外交によって終わらせるよう全力を尽くすと話したという。
中国は先週の国連安保理事会で、ウクライナ侵攻を非難する決議案の採決で棄権した。ロシアと歩調を合わせて反対するとアナリストらはみていたが、それに反する行動をみせた。
ロシア富豪が制裁を批判
ロシアの大富豪の1人で、ウクライナ生まれの銀行家ミハイル・フリードマンさんは、ロシアの財閥に対する制裁について、ロシアによるウクライナ侵攻の決定に何ら影響を与えなかっただろうと述べた。
フリードマンさんはロンドンで記者会見に臨んだ。戦争は両当事者にとって悲劇だと話した。
ただ、直接的な批判は避けた。個人的な意見を示すのは、自身とスタッフ、同僚らにとってリスクになりうると述べた。
ロシアの反戦デモで多数逮捕
ロシア西部サンクトペテルブルクでは1日、中心部のショッピングセンターで反戦デモがあった。BBCロシア語によると、参加者90人以上が逮捕された。
現地報道によると、警官隊は30分ほどで、ジャーナリスト少なくとも1人を含む人々を逮捕した。
前日には反戦デモ参加者900人近くが、同市で警察に逮捕されている。











