イギリスのEU交渉役、後任にトラス外相 離脱後の交渉引き継ぐ

Liz Truss

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画像説明, リズ・トラス外相

イギリスのデイヴィッド・フロスト欧州連合(EU)担当国務相が辞任したことを受け、EUとの交渉役の後任に19日、リズ・トラス外相が決定した。外相を続けながら、ブレグジット(イギリスのEU離脱)関連の交渉に当たる。

首相官邸によると、EU担当国務相はクリス・ヒートン=ハリス議員が後任となる。

フロスト卿は18日、ボリス・ジョンソン首相宛ての書簡で、政府の「現在の方向性を懸念している」と述べ、辞任した

また、新型コロナウイルス対策にも懸念を表明し、「強制的な規制」を避けるよう訴えていた。

トラス外相とは

トラス氏は2010年にサウス・ウェスト・ノーフォーク選挙区で初当選。わずか2年後には教育・子育て担当政務次官に任命されるなど、官庁街ホワイトホールで急速に力をつけてきた。

その後、環境担当国務相や大法官兼司法相、財務首席政務次官を経て、2019年に国際貿易相に就任。ブレグジット後の通商をめぐり、日本やオーストラリア、ニュージーランドと交渉を重ねた。

今年9月の内閣改造では、ドミニク・ラーブ氏の後任の外相に就任し、保守党政権では初の、イギリスでは2人目の女性外相となった。

このほか、政府の女性・平等担当相も務めている。

トラス外相は、2016年のEU離脱を決めた国民投票では残留を支持。EUに残ることが「イギリスの経済のためになる」と述べていた。

その後は、2度目の国民投票を行うなら、ブレグジットを支持するとしている。

Lord Frost

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画像説明, 18日にEU担当相を辞任したフロスト卿

最大野党・労働党のジェニー・チャップマン上院議員は、トラス氏の任命を歓迎した一方で、ジョンソン政権は「不必要な見せかけをやめて、協定締結に向けて動くべきだ」と指摘した。

EU側の交渉を担っている欧州委員会のマロス・セフコヴィッチ副委員長は、「今後も同じ建設的精神を持ちながら、北アイルランド議定書を含むすべての重要なタスクについて、イギリスと協力していく」と述べた。

北アイルランド議定書では、北アイルランドとEU間の通商に支障が出ないよう税関など国境管理措置を設けないと定められている。しかしこれにより、北アイルランドと残りのイギリスとの間に税関が必要になっていた。イギリスはこれを不服として議定書の改定を模索している。

フロスト卿は17日に発表した声明で、棚上げになっていた問題に進展が見られたものの、「我々が望むほど大きな、あるいは早い進展ではない」と不満を示していた。

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イギリス議会は先に、新型ウイルスの新たな変異株「オミクロン」の流行を受け、イングランドでの新型コロナウイルス対策案を可決した。

しかし、ワクチン接種証明に関する投票では、与党・保守党から99人が反対票を投じ、ジョンソン政権下では最大の造反となった。ただし、最大野党・労働党から支持を得たため、政府案は可決された。

保守党は16日にも、下院の補選で200年近く維持してきた議席を野党・自由民主党に奪われている。党内からは、フロスト卿の辞任も、こうしたジョンソン政権への反発の一環だとする声も出ている。

一方で、EUとのブレグジット後の交渉を「リセットする」チャンスだという指摘もある。

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<解説>ジェシカ・パーカー、ブリュッセル特派員

リズ・トラス外相の職務は多い。

外相であり、女性・平等担当相であり、そして今回、北アイルランド議定書についてのEUとの首席交渉官に選ばれた。

とてつもない仕事量と言っていいだろう。

特筆しておきたいのは、実際のEU担当相、つまりトラス氏の片腕となるクリス・ヒートン=ハリス議員の存在だ。

2016年の国民投票では離脱派で、離脱前にはEU議会議員を務めていた同氏の存在は、フロスト卿の辞任に不満を持つ保守党議員への譲歩になるだろう。

だが、トラス氏はフロスト卿と同じアプローチを取るのだろうか?

同氏の仕事は始まったばかりだが、私の耳にはすでに、劇的な方針転換はないだろうという憶測が入ってきている。

イギリスはこのところ、EUとの交渉で、特定の領域では態度を和らげていた。外相に近い関係者は、「トラス外相とフロスト卿は友人関係で、同じ方向を向いているものの、トラス氏は自分の持ち味を出して、自分なりの方法で交渉を進めるだろう」と話している。

だが、どんなにトラス外相が自信にあふれていたとしても、受け継いだ仕事は難しく、政治的にセンシティブなものであることに変わりはない。

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