イギリス、オミクロン変異株感染者の死亡を初確認

ベッキー・モートン、ダグ・フォークナー、BBCニュース

Woman gets her booster jab

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画像説明, ブースター接種を受ける女性

イギリスのボリス・ジョンソン首相は13日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に感染した人の死亡が国内で初めて、少なくとも1人確認されたと明らかにした。

ジョンソン氏は、オミクロン株に感染して入院した人もいると説明。「最善策」はブースター(追加)接種だと述べた。

サジド・ジャヴィド保健相は議会で、イングランドでは感染者の20%がオミクロン株によるものだと話した。

ジョンソン氏はイングランドの全成人に対して、ブースター接種の機会を今月末までに提供するとの新たな目標を設定している。

動画説明, ジョンソン英首相、イギリスでオミクロン株の感染者1人死亡と明らかに

ジョンソン氏はこの日、「(オミクロン株が)人口の間で広がる急激なペース」を皆が認識し、オミクロン株に感染しても軽症で済むという考えは横に置くべきだと訴えた。

また、13日時点で50万人以上がブースター接種の予約をしており、「素晴らしい早業」だとツイートした

1日20万人が感染と推定

イギリスでは13日、新規感染者が5万4661人報告された。ウイルス検査で陽性判定後28日以内に死亡した人は38人だった。

イギリスでオミクロン変異株への感染が確認された人は、これまでに4713人となっている。だがジャヴィド保健相は、現在の1日当たりの感染者は約20万人に上ると、英健康安全庁(UKHSA)が推定していると述べた。

ジャヴィド氏によると、オミクロン株はロンドンにおける感染の44%以上を占めるほどに増えている。2日後には大半を占めるようになると見込まれているという。

BBCのファーガス・ウォルシュ医療担当編集長はオミクロン株について、2~3日ごとに感染者が倍増しており、短時間で感染が急拡大する恐れがあると説明した。

議会では14日、政府のオミクロン株対策案への投票が行われる。与党・保守党からも反対者が出るとみられているが、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、政府案への支持は同党にとっての「愛国的義務」だと述べた。

スターマー氏はテレビ演説で、全成人が今月末までにブースター接種を受けられるようにするとの政府目標を、労働党として支持すると表明。国民に向けて、追加の接種を強く呼びかけた。

UKHSAは13日、オミクロン株による入院患者が、イングランドで10人になったと明らかにした。18~85歳で、大半はワクチンを2回接種していたという。

最高度の緊急対応レベル

入院や死亡は感染の約2週間後となることから、ジャヴィド保健相は、「今後数日から数週間の内に、その人数は急増すると思われる」と述べた。

イングランドのブースター接種は、オミクロン株対策として拡大実施されている。13日には、30代以上の人々のブースター接種のオンライン予約が始まった。18~29歳は15日からオンライン予約が可能になる。

ジャヴィド氏はイギリスの現状を、「新型ウイルスとワクチンの競争のさ中」にあると表現。地域の診療所が急診やワクチン追加接種に専念するようになるなど、「苦しいトレードオフ」があると強調した。

首相報道官は、がん治療には影響が及ばないよう、人員を再配置するとしている。

ジャヴィド氏は、ブースター接種の目標を設定したことで、国民保健サービス(NHS)のスタッフに「多くをお願いする」ことになると説明。また、月末までに成人全員が接種を受けられることを保証したわけではないと述べた。

ジャヴィド氏によると、NHSは緊急対応の準備レベルを再び最高度に引き上げている。オミクロン株への対応は、各病院ではなく全国的に調整することになる。

NHSが発行するワクチンパスは、外国に渡航する12~15歳にも発行される予定だという。

こうした中、NHSのウェブサイトが13日に利用不能になった。大勢がブースター接種の予約をしようとしてアクセスが集中したことが関係しているとみられ、接種センターには長い列ができた。

Queue outside the vaccination centre at St Thomas' Hospital in London

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画像説明, ワクチン接種センターには長い列ができた所もあった(ロンドン)

政府のウェブサイトで受け付けていた、安価で迅速な「ラテラルフロー」検査キットの注文も、人数が多いために一時的に停止された。その直前には、ワクチン接種を完了している人で、感染者との接触者と認定された人は、14日から毎日の検査が奨励されると、政府が発表していた。

ジャヴィド氏は、検査の注文を制限したのは送付能力のためであり、検査キットそのものが不足しているわけではないと説明。ネット通販大手アマゾンなどの業者と新たに調整したと述べた。

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イングランドでは、ブースター接種の拡大に加え、「プランB」と呼ばれる対策が提案されている。オミクロン株の感染拡大のスピードを抑えるのが目的で、在宅勤務の奨励、多くの屋内施設や公共の場におけるマスク着用の義務化、ナイトクラブなどの大規模会場に入場する際のワクチン接種などの証明書提示の義務付け、などの対策がある。

この案については、14日の議会で賛否の投票がある。与党・保守党の議員約70人が、反対する可能性を示唆している。特に抵抗が大きいのが、証明書提示の義務化だ。

だが、労働党が支持を表明しており、政府の対策案が可決されることはほぼ間違いない。

ジャヴィド氏は、全成人に対してブースター接種の「妥当な機会」が提供された後には、ナイトクラブや大規模施設の入場に使うNHSの証明書の発行において、ワクチン接種完了とみなされるためには3回の接種が必要となるように、ルールを変えることになるだろうとの考えを示した。

ジャヴィド氏はまた、イギリス入国者を対象とした規制も変更される可能性があるとした。オミクロン株がすでに国内各地で「急速に広がって」おり、規則の目的が弱まったためだとした。

Boris Johnson visiting a vaccination centre in London

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画像説明, ジョンソン首相は13日、ロンドン西部のワクチン接種会場を訪れた

ジョンソン首相は繰り返し、クリスマス前の規制強化もあり得るとの考えを示している。

ウェールズの首席医療官フランク・アサートン博士は、オミクロン株対策として、社交活動の制限が必要になるかもしれないと警告している。

これまでのデータから、オミクロン株は過去の変異株より感染力が強いことが示されている。イギリスでは2~3日ごとに感染者が倍増している。

イギリスの新型ウイルス関連の警戒レベルは現在、レベル4に引き上げられている。感染レベルが高い、あるいは高まっていることを意味する。レベル4への引き上げは5月以来。

初期段階の分析では、ワクチンの2回接種はオミクロン株への感染防止に十分ではない。しかしUKHSAは、3回の接種によって、感染して症状が出るのを70~75%の確率で防げるとしている。

ブースター接種に関する政府目標を達成するには、1日当たり100万人に接種する必要がある。

ブースター接種を受けた人は、11日には50万人を超えたが、12日は39万7532人に減った。

イングランドとスコットランドでのブースター接種を支援するため、英軍の約750人が出動の準備を整えている。

イングランドの副主任医務官ジョナサン・ヴァン=タム教授は、過去のワクチン接種に関わったボランティアに向けて、ブースター接種でも手助けをするよう依頼する文書を送っている。

スコットランドとウェールズも、18歳以上の住民全員を対象に、年末までにブースター接種の予約を可能にしたいとしている。北アイルランドではすでに、30歳以上がブースター接種の対象となっている。

動画説明, オミクロン株の重症度は? 追加接種の効果は? 視聴者の疑問に専門家が回答