EU、ベラルーシへの制裁拡大 国境での移民問題受け
欧州連合(EU)の外務相会議は15日、東欧ベラルーシがポーランド国境の移民危機を加速させているとして、追加制裁を発表した。外交官は、脆弱(ぜいじゃく)な移民が「激しさを増している」「ハイブリッド(複合型)戦争」で搾取されていると非難した。
EUからベラルーシに対する制裁は、これで5つ目となる。
制裁の詳細は今週中に決まる予定だが、ベラルーシのべラヴィア航空に影響が出るもよう。EUは、同社とのリース契約を打ち切る予定という。
また、中東などから移民をベラルーシの首都ミンスクに運ぶ旅行会社も制裁の対象になるとみられている。
これに対し、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、制裁に報復すると発言。また、当局は移民を強制送還しようとしているが、大勢がこれを拒否していると話した。
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ベラルーシのポーランド側の国境には今年8月以降、数千人規模の移民が押し寄せている。多くはイラクやシリア、イエメンから逃れてきた人々で、厳寒の中、EU加盟国への入国を望んでいる。
EUは、ベラルーシがポーランドなどEU加盟国へ向かうよう移民をそそのかし、域内に人道危機を引き起こしていると批判している。
BBCのスティーヴ・ローゼンバーグ特派員の取材に応じた女性は、自分たちはサッカーの試合のボールのように扱われていると述べた。
この女性によると、ベラルーシ部隊は移民に対し、真夜中に有刺鉄線の柵を切断してポーランドに違法入国させようとしているという。しかしポーランド側の森で発見された移民は、ベラルーシ側に送り返されている。
EU側は、ベラルーシ当局がルカシェンコ大統領の指揮下で、EUに簡単に入れるという虚偽の約束をして移民を誘導していると非難している。
また、6月にEUから科された制裁に対する報復として、ベラルーシはこのような移民危機を起こしているのだと主張している。
EU側のこうした批判を、ルカシェンコ大統領は「ばかばかしい」と一蹴している。

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両国の間で立ち往生
15日には、数百人の移民がベラルーシ側から国境を越えようとしたところを、ポーランドの治安部隊に阻止された。
BBCが国境付近で撮影した映像には、移民が有刺鉄線の柵やポーランド部隊が並ぶ道の前に座り込む様子が映っており、緊迫した膠着(こうちゃく)状態がうかがえる。
両国の国境に設置されたクズニカ検問所のベラルーシ側には、大勢の移民がテントを張り、その場しのぎのキャンプを作っている。
移民らはそのキャンプから国境へと移動し、何とかポーランド側へ入ろうとしている。映像では、1人の少女が「バイバイ!」と笑顔でピースサインをしながら国境へ向かう様子もあった。
しかし、国境付近では移民らがポーランドとベラルーシの治安部隊に挟まれて立ち往生している。ポーランド当局によるとベラルーシ側のキャンプにも帰れなくなっているという。
ある男性は、隊列を組んだ重装備のポーランド部隊に有刺鉄線越しに、「子供がみんなミルクやおむつを求めて泣いている」と訴えた。「私たちは(中略)何も持っていない。助けに来てほしい」。
ポーランド部隊は、国境を無理やり超える事例が出てくると予想しているほか、この地域にベラルーシ部隊が展開していることを「懸念している」と語った。

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首脳たちの駆け引き続く
こうした中、ルカシェンコ大統領は15日、ドイツのアンゲラ・メルケル暫定首相と50分間にわたって会談したと、ベラルーシの国営メディアが報じた。昨年8月の大統領選以来、ルカシェンコ大統領が西側諸国の首脳と会談したのはこれが初めて。両首脳は、国境にいる移民への人道支援について協議したという。
また、ルカシェンコ大統領と近しいロシアのウラジミール・プーチン大統領もこの日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と2時間近くにわたって会談した。マクロン氏の顧問によると、両首脳は今回の危機の発端については意見が合わなかったものの、ベラルーシ・ポーランド国境での緊張緩和が必要だと一致した。
プーチン氏をめぐっては、移民危機の首謀者だとの批判が相次いでいる。










