ノルウェー海岸の遺体、英仏海峡で沈没した難民船のイラン男児と判明

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ノルウェーの警察は7日、今年1月に同国の海岸で発見された遺体について、英仏海峡で行方不明となっていた1歳3カ月の男の子と確認したと発表した。
遺体の人物として特定されたのは、昨年10月に英仏海峡で乗っていたボートが沈没し、家族4人とともに死亡したとされたアーティンくん。
クルド系イラン人のアーティンくんと両親、きょうだいら一家は、フランスからイギリスに向かっていた。
アーティンくんの遺体は今後イランに移送され、埋葬される予定。
ノルウェーに流れ着く
ノルウェーの警察は7日、今年1月1日に同国カルモイ近くの海岸で警官2人が遺体を発見したと説明した。
「ノルウェーで赤ちゃんが行方不明になったという報告はなく、警察への問い合わせもなかった」と、現地警察の捜査責任者カミラ・テェレ・ワーゲ氏はBBCに述べた。
「青色のオーバーオールがノルウェーのブランドではなかったので、赤ちゃんがノルウェーの出身ではないことがわかった」

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その後DNAを採取し、遺体がアーティンくんのものであると確認。親族に通知した。
警察は声明で、オスロ大学病院の法科学部門の熟練の専門家がDNAを分析したと説明した。
小型船の沈没
一家を乗せたボートは昨年10月27日、英仏海峡で沈没し、ラスール・イラン=ネジャドさん(35)、シヴァ・モハマド・パナヒさん(35)、アニタちゃん(9)、アーミンくん(6)の4人が死亡した。
一家はイラクとの国境に近いイラン西部サルダシュト出身。
同乗していたほかの移民15人は病院へ搬送され、仏ダンケルクで仏検察が沈没事故の調査を開始した。

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親族の反応
ノルウェー警察は最初にアーティンくんのおば、ニハヤットさんに連絡を取った。ニハヤットさんは7日、身元判明の知らせを受け、「うれしいような悲しいような気持ち」だとBBCに語った。「アーティンの遺体が最終的に見つかったのはうれしいけど、私たちのもとから永遠にいなくなってしまって悲しい」。
スイス在住のアーティンくんのおば、シャヴィンさんは、アーティンくんに「残りの家族と再会」させてあげたいと述べた。また、アーティンくんの遺体をサルダシュトへ戻すため、必要な書類を作成するつもりだと説明した。
「ほかに選択肢ない」
ボートの沈没から間もなく、BBCはモハマド・パナヒさんが送ったとみられる一連のメールを確認した。その中には、ボートで海峡を横断する危険性を認識しつつ、「私たちにはほかに選択肢がない」と締めくくったものもあった。
2通目のメッセージには、「トラックで移動しようとすればもっとお金が必要になるかもしれない。私たちにそんなお金はない」と書かれていた。
別のメッセージには、「私は心の中にたくさんの悲しみを抱えている。イランを離れた今、私は過去を忘れたい」とあった。
「幸せな赤ちゃんだった」
難民のビラル・ガフさんによると、一家は出発するまでの3~4日間、ダンケルクの難民キャンプでガフさんのテントの近くで生活していた。キャンプでアーティンくんは「有名」だったという。
「すごく幸せな赤ちゃんだった」と、アーティンくんと一緒に撮影した写真を見せながらガフさんは語った。
「みんな悲しんでいるけど、私たちに何ができるだろうか。何もできない。泣くことしかできない」


毎年、何千人ものイランのクルド人難民が、家族の命を密入国業者に預け、ヨーロッパを目指している。
イランのクルド人が暮らす地域は、政治的な迫害や、大きな経済格差に直面している。
トルコ、イラク、シリア、イラン、アルメニアの国境にまたがる山岳地帯には、2500万人から3500万人のクルド人が暮らしている。
クルド人は中東地域で4番目に人口が大きい民族だが、恒久的な国民国家を樹立したことがない。





