ベラルーシ、EUへのガス供給停止を示唆 国境の移民問題めぐり

画像提供, Reuters
東欧ベラルーシのアレクサンデル・ルカシェンコ大統領は11日、西部国境で起きている移民危機をめぐり、西側諸国が制裁を科した場合には天然ガス供給を停止すると述べた。
ベラルーシでは現在、イラクやシリア、イエメンなどから欧州連合(EU)へ向かう大勢の移民が、寒さの中、ポーランドとの国境で足止めされている。
EUは、ベラルーシが危機を引き起こしてEUの安全保障を脅かしていると批判。制裁の準備を進めていると報じられている。一方、ベラルーシはEUの見方を否定している。
天然ガス不足と価格高騰に懸念
ベラルーシで27年間政権を維持しているルカシェンコ大統領は、「もし欧州がさらに制裁を追加するなら(中略)我々も対応する必要がある」と述べた。
「ベラルーシは欧州を暖めているのに、欧州は我々を脅している。天然ガス供給を止めたらどうなる? ポーランド首脳やリトアニア国民、そのほかの能無したちには、ものごとを考えてから発言するべきだと忠告したい」
欧州各国が冬の暖房用などにロシアから購入した天然ガスは、ベラルーシを経由するパイプラインで供給されている。
すでに天然ガス不足と価格高騰に悩んでいる欧州にとって、ルカシェンコ大統領の発言は新たな懸念材料となった。


欧州委員会のパオロ・ジェンティローニ経済担当委員は、加盟各国に「怯んではいけない」と呼びかけている。
リトアニアに亡命しているベラルーシの野党指導者スヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏は、ルカシェンコ大統領は「虚勢を張っている」と批判した。
しかし英オックスフォード大学エネルギー研究所のカトヤ・ヤフィマヴァ博士は、ルカシェンコ大統領の発言を真剣にとらえるべきだと指摘した。
ヤフィマヴァ博士は「EUがベラルーシに厳しすぎる対応を取れば、ベラルーシは脅しを実行するかもしれない」と述べた上で、イギリスを含む欧州全体の天然ガス価格の高騰につながるかもしれないと話した。
EUは早ければ15日にも制裁を科す見通し。移民を運ぶ国際線の、首都ミンスクへの到着を阻止することなどが含まれるもようだ。
また、ロシア航空アエロフロートに対しても、移民をベラルーシ運んでいるとして制裁が検討されているという。アエロフロートはこの疑惑を否定している。
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「非人道的な、マフィアのような手法」
EUは、ベラルーシが数千人の移民にポーランド国境を越えるよう促すことで「複合型の攻撃」を仕掛けてきていると批判。
また、ベラルーシ当局がEUに簡単に入れるという虚偽の約束をして移民を誘導しているとし、「非人道的な、マフィアのような手法」だと非難している。
ルカシェンコ大統領は、EUの制裁に対する報復措置として移民を国境地帯へ押しやっているという指摘を繰り返し否定している。

こうした中、有刺鉄線の柵が張りめぐらされたポーランド国境では、移民らが石を投げたり、柵を破って国境を越えようとしたりしている。
ポーランドも、国際的な難民受け入れルールに反して移民をベラルーシ側に押し返しており、批判を浴びている。
11月初めにベラルーシに到着したというシュワン・クルドさん(33)はBBCの取材に応じ、「どこにも逃げられない」と語った。
「ポーランドは私たちを受け入れてくれない。おなかが空いている。ここには水も食べ物もない。小さな子供や高齢者もいるのに」
移民の大半は若い男性だが、女性や子供も交じっている。移民たちはベラルーシ側のわずかな地帯で、ベラルーシとポーランドの国境警備隊に挟まれながらキャンプを張っている。
ポーランド側の国境ではここ数カ月で、少なくとも移民7人が低体温症で命を落としている。









