「黒幕はプーチン大統領」 ベラルーシ国境の移民危機でポーランドが非難

画像提供, Shwan Kurd
ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は9日、隣国ベラルーシから移民が国境に押し寄せている問題で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が移民危機の背後にいると非難した。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領がこの危機を画策しているが、「その黒幕はモスクワにいる」と述べた。ルカシェンコ氏とロシアのプーチン大統領は盟友関係にある。
ルカシェンコ氏は、欧州連合(EU)による制裁への報復として移民を押し出しているという主張を否定している。
凍えるような寒さの中、ベラルーシとポーランドの国境では少なくとも2000人の移民が足止めされている。
ソーシャルメディアに投稿された動画では、有刺鉄線の張られた国境の柵に多数が押し寄せているのがわかる。中にはボルトカッターや木の幹などを使って柵を突破しようとする人もいる。ポーランドの国境警備隊は催涙スプレーのようなものでこうした人々を追い払っている。
こうした移民の多くは若い男性だが、女性や子供も含まれる。その大半は中東やアジアから逃れてきた人たちで、ベラルーシ側にテントを張ってとどまっている。
国境沿いでは夜間の気温が氷点下にまで冷え込んでおり、ここ数週間ですでに複数の死者が出ている。
「黒幕はプーチン大統領」
モラウィエツキ首相は9日に国境警備隊を視察した後、「ルカシェンコが行っているこの攻撃の黒幕はモスクワにいる。その黒幕はプーチン大統領だ」と述べた。
そして、ロシアとベラルーシの指導者が、移民をベラルーシ経由でEUに流入させることで、EUを不安定にしようとしていると非難した。ロシアとベラルーシはいずれもEU非加盟国。
現状については、「市民が人間の盾として利用される新しいタイプの戦争」だとし、ポーランドはEUに混乱をもたらそうとする「舞台劇」に対処していると述べた。
モラウィエツキ氏はまた、ポーランドの国境警備がこれほどまでに「容赦なく攻撃された」のは30年ぶりだと付け加えた。
ポーランドは国境に部隊を追加配備している。同国は、ベラルーシ側が紛争を誘発しようとし、「武力」衝突にエスカレートする可能性があると警告した。
EU加盟国のポーランド、リトアニア、ラトヴィアではここ数カ月、ベラルーシから違法に入国しようとする移民が増えている。リトアニアは8日、ベラルーシ国境での非常事態を宣言した。
ポーランドでは、クズニツァにある主要な国境検問所周辺に、最も多くの移民が押し寄せている。


ポーランドの状況
ポーランドは亡命に関する国際的ルールに反して、移民を国境の外へ押し戻していると非難されている。ジャーナリストや援助団体は同地域への立ち入りを禁止されている。
イラク出身のシュワン・クルドさん(33)はBBCのビデオ取材で、「誰も私たちを入国させてくれない。ベラルーシにも、ポーランドにも」と語った。
そして、11月初旬にバグダッドからベラルーシの首都ミンスクに到着し、現在はポーランド国境の有刺鉄線の張られた柵から数メートルの場所にある仮設キャンプにいると説明した。
「逃げるすべもない」とクルドさんは述べた。「ポーランドは私たちを入国させてくれない。毎晩ヘリコプターが飛んできて、眠らせてくれない。すごくおなかがすいている。ここには水も食べ物もない。幼い子供や高齢の男性、女性、家族連れがいるのに」。

画像提供, Shwan Kurd
EU、北大西洋条約機構(NATO)、アメリカは、移民の急増にはベラルーシが関わっていると非難。欧州委員会は、ルカシェンコ氏がEUに容易に入国できるといううその約束で移民を誘惑しているとしている。
昨年のベラルーシ大統領選で再選を果たしたルカシェンコ氏は、大規模な抗議活動を起こした市民を弾圧し、広く信用を失うこととなった。EUは同氏に制裁を科している。
欧州委員会は、ルカシェンコ氏が制裁への報復として、移民を押し出しているとしている。
活動家たちは、移民がベラルーシとEU近隣諸国との間の政治ゲームの駒として使われていると主張している。
リトアニアの状況
リトアニアはベラルーシとの国境に部隊を配備し、移民の流入に備えている。同国政府は非常事態の宣言は予防的措置だとしている。
リトアニアの副内相はBBCの取材に対し、同国に違法に入国したとして拘束された20数人について、テロ組織と関係している疑いがあると述べた。
拘束者のほとんどが偽の身分証を提示していたとし、現在身元を調べているという。どのテロ組織との関係が疑われるのかや、拘束した時期についてはコメントしなかった。
「大勢が国境を越える場合、常に一定のリスクが伴う」と副内相は述べた。
「すべてのEU加盟国は、テロの脅威をある程度抱えている。そのような活動を防ぐために、我々の情報機関は最善を尽くしている」
ベラルーシの主張
ルカシェンコ氏はベラルーシ国営の通信社のインタビューで、ロシアを紛争に巻き込むことにつながるような、国境での軍事的な事態悪化は避けたいと述べた。
また、自分は「狂人ではなく」、何が危機にひんしているのかは分かっているとした。ただ、「自分たちがひざまずくことはない」と、抵抗する姿勢は崩さなかった。
ベラルーシ国防省は、ポーランドが国境に数千人の部隊を派遣し、協定に違反したとして非難した。
ベラルーシは、移民は合法的にやってきているとし、同国は単に移民を「温かくもてなす国として」行動していると主張している。
ロシアは同盟国の国境問題への「責任ある」対応を称賛し、状況を注視しているとしている。

画像提供, Polish Defence Ministry








