英政府、タリバンと市民の出国について協議 避難民には永住権付与へ

Taliban soldiers at Kabul airport

画像提供, Reuters

画像説明, カブール空港に入ったタリバン戦闘員

イギリスの首相官邸は8月31日、アフガニスタンを掌握した武装勢力タリバンと、同国に取り残されたイギリス人やアフガニスタン人の安全な避難路について協議していると発表した。

首相官邸の報道官は、タリバン「高官」との協議は、カタールの首都ドーハで行われていると説明した。

国防相は下院で、イギリスへの移住が認められているアフガニスタン人150~250人とその家族が、なおアフガニスタンに取り残されていると明らかにした。

タリバンは、こうした人々の出国を認める方針を示している。

こうした中で英内務省は、イギリス駐留軍や政府に協力していたアフガニスタン人について、イギリスへの永住を認めると発表した。

イギリスは8月13日以降、「アフガニスタン人移住・支援政策(ARAP)」に基づき、8000人以上を同国から避難させてきた。ARAPは、現地採用されていたアフガニスタン人とその家族のうち、タリバンから深刻な脅威を受けている人々が対象となる。

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首相官邸の報道官は英・タリバン協議について、「アフガニスタンの政権移行に関する首相特別代理人を務めるサイモン・ガス氏が、ドーハでタリバン代表と会談し、イギリス人および過去20年間イギリスと協力してきたアフガニスタン人の安全な避難路の重要性を強調した」と述べた。

また、ドミニク・ラーブ外相によると、イギリス軍はこれまでにイギリス人5000人を含む1万7000人を同国から出国させた。

2010~2012年にアフガニスタン大使を務めていたサー・ウィリアム・ペイティーは、タリバンとの協議で難民危機やアフガニスタンがテロ組織の温床になることをを回避できると指摘した。

BBC2の「ニューズナイト」に出演したサー・ウィリアムは、「(タリバンは)支援なしに国を運営できないと知っている」、「タリバンが思惑通りに政府を運営し権力を握るには、交渉が必須なので、我々にも手札がある」と述べた。

8月31日にアメリカの駐留部隊がアフガニスタンから完全撤退すると、タリバンは勝利宣言した。

一方で、移住許可が下りている人々の出国を認めると発表。アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官は、「タリバンにこの責務を守らせる」と約束した。

しかし、イギリスのデイム・バーバラ・ウッドウォード国連大使は、タリバンを「言葉ではなく行動をもとに判断する」と強調している。

英協力のアフガン人に永住権と生活支援

英内務省はこの日、英駐留軍や英政府に協力したアフガニスタン人に、イギリスの永住権を与えると発表した。

こうした人々にはこれまで5年間の滞在許可が付与されていたが、「オペレーション・ウォーム・ウェルカム(温かな歓迎作戦)」と名付けられた今回の政策では、対象者は永住権を手にすることができる。

また、すでにイギリスに移住し一時的な滞在許可を与えられていた人々についても、移民ステータスを格上げし、就労制限を撤廃するという。

「オペレーション・ウォーム・ウェルカム」ではこのほか、移住してきた子供たちの就学支援、国民保健サービス(NHS)へのアクセス支援、自治体を通じた住宅支援などに合わせて2000万ポンド(約30億4000万円)を投じる。

さらに、アフガニスタン人の大学生と大学院生の最大300人に、イギリスの高等教育機関への奨学金を与える。成人にも、英語訓練を無料で提供するという。

イギリスはこれとは別に、「アフガニスタン市民再定住スキーム」を計画しており、向こう数年で難民2万人を受け入れる予定。特に女性や未成年など少数派の人々への支援に注力する。

「大きな借りがある」

ボリス・ジョンソン首相は、イギリスはアフガニスタンで駐留軍のために働いてくれた人々に大きな借りがあると述べた。

「彼らとその家族に、イギリスでの生活を再建するのに必要なものを支援する決心がある」

「非常に先行きの見えない不安な状況だが、イギリス市民による支援や優しさを受け取ってもらえればと思う」

一方、下院内務委員長を務める最大野党・労働党のイヴェット・クーパー議員は、アフガニスタンに取り残され危険にさらされている人々はもっと多いと指摘した。

「我々はこうした人々への責任があるが、避難計画が終わり、再定住スキームが始まっていない中、膠着(こうちゃく)状態に陥っている人がたくさんいる。内務省には、イギリスがまだこうした人々や家族を助けようとしていると請け合ってほしい」