駐アフガニスタン英国大使、イギリスに帰国 英軍のアフガニスタン撤収完了と共に 

Sir Laurie Bristow

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画像説明, カブール空港でイギリス人やアフガニスタン人の退避を支援していたサー・ローリー・ブリストウ大使

駐アフガニスタン英国大使のサー・ローリー・ブリストウは29日午前、イギリス人を乗せてアフガニスタンを離れる最後の便のひとつで帰国した。イギリス政府は28日、アフガニスタンからの退避支援作戦を終え、英軍をはじめ全ての英政府関係者もアフガニスタンから出国した。英首相官邸が明らかにした。

ブリストウ大使は、英オックスフォードシャーのブライズ・ノートン英空軍基地に到着した。大使たちを乗せた輸送機はアラブ首長国連邦(UAE)を経由して、イギリスに戻った。さらに、軍人や文民を乗せた輸送機も続いた。武装勢力タリバンが首都カブールを掌握して以降、大使はアフガニスタンから避難しようとする人たちの出国手続きをカブール空港で続けていた。

最後の英空軍機の出国によって、20年間にわたる英軍のアフガニスタンでの作戦行動が終わった。英政府は今月14日以降、1万5000人以上をアフガニスタンから退避させた。

イギリスの退避作戦を指揮したサー・ベン・キー海軍中将は、同盟諸国の市民や協力者全員が出国できるまでは、退避作戦が成功したとは「なかなか言いがたい」と述べた。

ブライズ・ノートン空軍基地であいさつした中将は、「各国が協力した見事な国際的作業」だったものの、「お祝いするようなことではまったくない」と述べ、アフガニスタンに残してきた人たちを思うと「悲しみ」がこみあげると話した。

中将はさらに、過去2週間の退避作戦でイギリス軍は多くのことを達成したものの、「必死に退避しようとしていたのに、我々がどれほど力を尽くしても避難させられず、本当に悲しいことになってしまった人たちがいる」と認め、タリバンが定めた8月31日の撤収期限のせいで「過去20年の間に実に見事に、そして勇敢に我々を助けてくれた人たち」をもっと退避させられなかったと話した。

ボリス・ジョンソン英首相は、イギリスの撤収完了について、「今まで生きてきてこれほどの任務がこのように完結するのを見るのは初めて」だと評価した。

動画説明, カブール空港攻撃 子供8人の父親も犠牲に

大使館はカタールへ

中将はさらに、カブールから帰還した英軍兵たちの写真から、いかに「困難で必死な状況で」、「この2週間、全力を尽くし」たか、いかに「疲れ切っている」かが分かると指摘。兵士たちは「厳しい環境で宿営し、携行食を食べながら」任務にあたり、「彼らを駆り立てるのはただひとつ、退避資格のあるアフガニスタン人とイギリス人をできるだけ多く退避させようという動機だけだった」と述べた。

ブリストウ大使は、イギリスのアフガニスタン大使館は「当面」はカタールに設置されて活動するものの、できるだけ早く業務を再開すると説明。「私たちは引き続きアフガニスタンの人たちを支援し続ける」と大使は述べた。

ツイッターに投稿した動画で大使は、「依然として私たちの支援を必要とする」アフガニスタン人やイギリス人を「安全に出国させるよう」、イギリス政府はタリバンに圧力をかけ続けると話した。

空軍基地で取材したBBCのジェイムズ・レノルズ記者は、ブリストウ大使の帰国を記念する式典は特になく、フィリップ・バートン外務次官に出迎えられると、同僚の外交官たちとターミナル・ビルに入っていったと伝えた。

イギリスの駐アフガニスタン大使がイギリス国内の空軍基地に降り立つその姿こそ、カブールにおけるイギリスの任務終了を明確に物語るものだったと、記者は述べている。

Members of the British armed forces 16 Air Assault Brigade exit the plane

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画像説明, 大使と同じ便でアフガニスタンから帰国した英軍兵士たち

英首相官邸によると、イギリス政府が退避させた1万5000人超のうち、約2200人は子供で、生後1日の赤ちゃんもいた。空路で退避したイギリス人とその家族は約5000人、イギリス政府職員だったアフガニスタン人とその家族や、タリバンから迫害される危険のある人たちは、計8000人超だったという。

ジョンソン首相は29日に動画をツイッターに投稿し、「容赦のない締め切りに向かって、悲惨な状況下で」退避作戦にかかわった当事者の「とてつもない奮闘」をたたえた。さらに、イギリスとしてはアフガニスタンを「このような形で撤収することは望んでいなかった」ものの、過去20年にわたり兵士たちが経験した辛苦は「無駄ではなかった」と述べた。

2006年から2009年にかけて英軍参謀総長だったダナット卿はBBCの朝の情報番組に対して、「軍事的な章がひとつ終わる、大きな出来事だ。我々が望む形では、この一幕は終わらなかった」と述べた。

ダナット卿は、アフガニスタンにおける英軍の20年間の作戦行動について「一連の戦略的ミス」を検証する作業が必要だと指摘。今回の退避作戦もミスの一つで、数カ月前から開始し「もっと落ち着いて熟慮した形で」実行できたはずだと話した。

米軍は撤収期限の8月31日まで、退避支援活動を続けている。

イギリスに避難したアフガニスタン人は

イギリス政府は、アフガニスタンを逃れた人たちの再定住計画「温かい歓迎作戦」を、新たに発表した。これは2014年から2020年にかけてシリア内戦を逃れてイギリスへ到着したシリア難民に向けて、英政府が用意した定住計画を模したものになる。

イギリス社会での生活に慣れるための支援、心的外傷への対応、無料の英語教育のほか、医療や教育、住宅や就労などについて、公的な支援を提供する。

イギリス政府は、イギリス政府のために働いたアフガニスタン人のための再定住計画と、アフガニスタンの女性や子供や少数者を対象にした再定住計画を用意している。

イギリスに到着したアフガニスタン人の主な待遇は次の通り――。

  • 公式の避難便で到着した人は、新型コロナウイルス対策のため隔離用ホテルで10日間過ごす
  • 政府や地方自治体が、定住先を探している
  • 適切な住宅不足から、当面は大勢がホテルに滞在する
  • 一部の人は難民認定を受け、イギリスに定住することができる
  • その他の人たちは5年間の在住査証(ビザ)を得て、イギリスで生活・就労できるようになる。さらに5年間の間に定住許可を申請することができる
  • 政府系の避難便ではなく独自にイギリスに到着した人は、通常の亡命申請手続きの対象になる。審査を待つ間は定住も就労もできない。この亡命申請の審査を待つ人は現在7万人。