WHO幹部、欧州での感染再拡大を警告 交流の増加などが要因と

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世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は1日、欧州での新型コロナウイルスの感染状況について、約2カ月にわたり減少傾向にあったがこの1週間で感染者数が約10%増加したとし、新たな感染拡大のリスクが高まっていると警告した。
クルーゲ氏は新型ウイルスのワクチン展開が停滞していることや、新たな変異株、社会的交流の増加などにより、新たな感染拡大のリスクが高まっていると指摘した。
また、サッカー2020年欧州選手権(ユーロ2020)が「スーパー・スプレッダー」になり得る危険性もあるとした。ユーロ2020をめぐっては英スコットランドで先月、試合観戦やイベント参加を1回以上した人のうち1991人の感染が確認された。ロンドンやロシア・サンクトペテルブルクから帰国した数百人がウイルス検査で陽性となった。
WHOで緊急対応を担当するキャサリン・スモールウッド氏は、試合の開催都市に対し、ファンの移動を監視するためのさらなる対策を求めた。
スモールウッド氏は「我々が注意しなければならないのはスタジアム周辺だ」とし、「試合後に何が起きているのか。観客が混雑したバーやパブに行っているのかどうか」を注視するために、試合前後の移動の監視が重要だと言及した。
デルタ株の感染者が増加
インドで最初に確認された新型ウイルスの変異株「デルタ」は、欧州の多くの国で感染拡大の最大の脅威だと捉えられている。欧州連合(EU)の疾病管理機関、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、デルタ株が8月末までに感染の90%を占める可能性があると予測している。
ロシアではこの3日間で記録的な死者数が確認されている。1日だけで672人が死亡し、2万3543人が感染した。首都モスクワでの新規感染者のほとんどはデルタ株に感染しており、保健当局は欧州で新たに特定された変異株「デルタ・プラス」も確認されているとしている。

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ユーロ2020の開催地であるサンクトペテルブルクでは、準々決勝(スイス対スペイン)前夜の1日、過去24時間に死亡した人の数が115人となった。
フィンランド保健当局は6月21日にサンクトペテルブルクから帰国したファンのうち約400人の感染が確認されたことを受け、ロシアへの渡航を控えるよう呼びかけた。
「無責任な」UEFA
欧州サッカー連盟(UEFA)はドイツのホルスト・ゼーホーファー内相に「無責任」との烙印(らくいん)を押された。ゼーホーファー氏は、サポーター同士がハグをするなどしたことがウイルスの拡散につながったのは明らかだと指摘。特に、準決勝と決勝でブダペストとロンドンのスタジアムに約6万人のサポーターを入れたことを批判した。
「なぜUEFAが分別のある対応をしないのか、私には説明できない。(中略)私は、商業主義のせいではないかと思っている」と、ゼーホーファー氏は記者団に述べた。UEFA側は、スタジアムへのファンの動員数を決めるのは「管轄している地元当局の責任」だと主張している。

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スコットランド公衆衛生庁(PHS)は6月30日、同18日に開催されたスコットランド対イングランド戦のため、ロンドンに移動した人のうち1294人が感染していたと発表した。また、そのうちの397人は試合が行われたロンドンのウェンブリー・スタジアムの中で、試合を観戦していた。
イギリス全体では1日、1月以降で最多となる2万7989人の感染が確認された。同国では成人の62.7%が2回のワクチン接種を完了している。
ポルトガルでは新規感染者の増加幅が2月以降で最大となり、2日からリスボン、ポルトなどで夜間外出禁止令が出されている。
20代の発症率が急増しているスペインでは、人口10万人あたり最大366人が感染している。
ドイツでは今月、デルタ株が感染の70%以上を占めると予想されている。すでにデルタ株が拡大しているイギリスやポルトガルからの渡航者に対する隔離措置を緩和する可能性がある。
ワクチン接種の状況は
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月30日、国民に対し、ワクチンを接種するよう呼びかけたが、これまでに1回の接種を受けた人は16%にとどまっている。
モスクワの診療所ではブースター(追加免疫)接種を開始したが、地元メディアの報道によると、少なくとも1種類のワクチンの在庫がなくなってしまったという。
WHOのクルーゲ欧州地域事務局長によると、中央アジアを含むWHO欧州地域事務局の管轄地域では、予防接種を受けた人は24%にとどまっており、高齢者の半数と医療従事者の40%が感染に対して無防備な状態にあるという。











