習主席、「愛される」中国外交を指示 友好国増やすため

Chinese President Xi Jinping applauds at the closing session of the Chinese People"s Political Consultative Conference (CPPCC) at the Great Hall of the People in Beijing, China March 10, 2021.

画像提供, Reuters

画像説明, 習主席は、中国は「オープンで自信を持ち」つつ、「謙虚で控えめ」でいることも大事だと述べた

中国の習近平国家主席は5月31日、「信頼され、愛され、尊敬される」中国のイメージを作り、友好国の輪を拡大したいと中国共産党幹部に伝えたという。国営新華社通信が伝えた。

報道によると、習主席は党幹部との会合で、中国が国際社会に対して自らを前向きな形で語るのが大事だと強調。「友人を作り、大勢をまとめ、大多数の支持を獲得し、国際世論については常に友人の輪を広げていく必要がある」と話したという。

習主席はさらに、国際社会とやりとりをする際には中国は「オープンで自信をもつと同時に、謙虚で控えめ」な姿勢を示すべきだと述べたという。

主席は加えて、党の広報機関は中国政府が目指しているのはただひたすら「中国人民の幸せと幸運だけ」だと、明確に伝える必要があると指示したという。

党傘下の英字紙「チャイナデイリー」はこれを受けて、自分たちは「中国と世界の橋渡しとしてより良い意思疎通を実現するという責務を今後も忠実に果たす」ことになると書いた。

習主席の発言は、中国が外交姿勢を変えるきっかけになるかもしれないと受け止められている。多くの専門家は中国の外交姿勢がこのところますます、高圧的で敵対的なものになっていると指摘していた。

中国と諸外国の関係は近年、悪化を続けている。新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族に対する人権侵害や、香港の民主活動家への厳しい取り締まりなどへの批判は、欧米を中心に諸外国で高まっている。

最近では、パンデミックを起こした新型コロナウイルスが中国・武漢の研究所から流出したものかあらためて調査するとアメリカ政府が発表したことに、強く反発。アメリカは政治的な責任転嫁で批判の矛先をそらそうとしていると非難した。

「異例」との受け止め

専門家の多くは、習主席のこの発言は、中国の国際的孤立を認める、異例の内容だと受け止めている。

習氏は2012年に国家主席に就任。中国はそれまで以上に対外的に自己主張を強くし、権威主義的な側面を強めてきた。

中国の外交官たちは近年、強い調子で表立って発言することが増え、中国の公式見解に異論を唱える人に皮肉や罵倒を浴びせることも珍しくなくなっている。

この好戦的な外交スタイルは「戦狼(せんろう)外交」と呼ばれている。この呼び名は、愛国的な大ヒット映画にちなんだもので、その映画は中国のエリート特殊部隊がアメリカの傭兵集団と戦う内容だった。

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<解説> スティーヴン・マクドネル中国特派員

Analysis box by Stephen McDonell, China correspondent

ツイッターで中国の外交官をフォローしていれば、書き込みの調子や内容が近年どれだけ外交的とは程遠くなったか、承知しているはずだ。

なぜかというと中国の外交官は、「戦狼外交」を推進するよう、奨励されているからだ。そのため好戦的で時に中傷的な発言を繰り広げ、時には外国政府を直接非難もする。

それだけに、もしも習主席が本当に「愛される」中国政府を目指すのなら、これはいきなり180度の方針転換を指示したことになる。

フィリピンからオーストラリア、そして欧州に至るまで、中国政府に対する世間の好感度は急落し続けている。中国政府が世間に向けて続ける高圧的な発言が、その理由の一端だと言われている。

中国共産党に忠実な人たちの間にも、このような「戦狼外交」はむしろ中国にとって逆効果だと言い続けてきた声は以前からあった。習主席がそうした意見に今や説得された可能性はある。

党の中央政治局に対する主席発言で最も大事なのは、対外的なメッセージのトーンを党幹部が「なんとかする」必要があると言った部分だ。これはつまり、最近はそのトーンが手に負えない、たがが外れたものになっていたという意味だろうか? 「その通り」と大勢が言うだろう。

もちろん、これまでの高圧的な外交姿勢は中国の国際的評価をあまりに傷つけてきたので、ただ単に物言い変えれば修復できるはずもない。評価を挽回するには、行動そのものを変える必要があるだろう。

あるいは、習主席の発言を大勢が読み違えているだけという可能性もある。

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