【2023年サッカー女子W杯】 開催国オーストラリア、決勝は逃したが国民を魅了

Sam Kerr looks dejected after semi-final loss

画像提供, Getty Images

画像説明, 準決勝で敗れがっかりした様子のサム・カー選手(右)らオーストラリア代表

サッカーの女子ワールドカップ(W杯)で快進撃を続けていた開催国オーストラリアが、決勝進出を逃した。選手たちは残念な思いを抱えているが、その活躍は国民を魅了してきた。

オーストラリアは16日、初のW杯決勝進出をかけて、イングランドとの準決勝を戦った。結果は1-3での敗退だった

だが、オーストラリアのトニー・グスタフソン監督は試合後、これはマチルダ(オーストラリア代表の愛称)にとっての「始まりに過ぎない」と述べた。

「負けるのはすごく嫌なことだ。しかし、この試合は90分間のサッカーより大きな意味がある」

オーストラリアがW杯でベスト4に勝ち進んだのは初めてのことだった。国中が熱狂し、選手たちは記録的な大観衆を前に躍動し続けた。

人口約2600万人の国で、準決勝をテレビで見た人は平均700万人を超えた。少なくとも2001年以降、最も多くの視聴者を引き付けた全国放送となった。

各地のバーやビューイングサイトも、試合を見ようとする人たちであふれた。

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試合内容は期待を裏切らなかった。身もだえするような時間と、歓喜を爆発させる時間の両方をもたらした。後半18分のサム・カー選手の同点ゴールは人々を狂喜させた。

「カーのゴールはとんでもなかった。オーストラリアのサッカー選手の力を世界が思い知った瞬間だった。あの夜、パブでは電気が走ったようにみんな熱狂していた」。シドニー在住のファン、ロシェル・マレットさんはBBCにそう話した。

「オーストラリア人はもう、マチルダたちの名前を覚えている。サム・カーだけじゃない。マッケンジー・アーノルド、ケイトリン・フォード。みんな彼女たちを誇りに思っている。彼女たちがみんなを一つにしてくれた」

だが、多くの人にとって、長年のライバルに敗れた痛みは生々しい。

ラジオ司会者のマット・ベヴァンさんは、「イングリッシュ・マフィンをトースターに入れ、ぼろぼろになるまで何度も何度も焼いているところだ」とオンラインで書いた。

「ハートと情熱を勝ち取った」

オーストラリアの快進撃は、おそらく多くの人の想像以上だった。イングランドが昨年、自国開催の欧州選手権(ユーロ)で初優勝した時と似ていた。

準決勝を前に、国中でオーストラリア代表の活躍が話題になった。新聞各紙は一面と最終面で快挙を伝え続けた。ファンたちは「マチルダ・マニア」になって大いに盛り上がった。

オーストラリアはいま、自国開催の大会で成功を収めたことのメリットを感じている。チームは世界の舞台で活躍できるという自信を得た。若い選手たちは大いに触発された。

「W杯で優勝できると国民に信じてもらえたことがうれしい」とグスタフソン監督は話した。

「自分たちにはかなり前からその信念があった。ランキングはそれほど高くないかもしれないし、有名選手や資源も多くはないかもしれないが、このチームには特別なものがある」

「(W杯優勝を考えるのは)早過ぎるとは思わないが、まだ何かの始まりに過ぎないとも思う」

エースストライカーのカー選手も、結果は「残念」だったが、別の視点から大会での成功をじっくり考えると語った。

「チームがやってきたこと、自分がやってきたこと、今の自分たちがあること、国を鼓舞するということを、すべて考え合わせる必要がある」

「マチルダの立場から言えば、私たちには進歩の資金と、すそ野を広げるための資金が必要だ」

グスタフソン監督は、準決勝の結果は「90分間のサッカーよりも大きな」ものだと主張。オーストラリア代表はこの4週間で、女子サッカーのファンを大きく増やしたと述べた。

「負けたのはとても残念だが、別の何かを勝ち取ったのではないか。(中略)私たちはこの国で、サッカーに対するハートと情熱を勝ち取った」

オーストラリアは19日、銅メダルをかけて、スウェーデンと3位決定戦を戦う。