オミクロン株、再感染リスク約2倍 一部の免疫回避する恐れも=南ア研究チーム
ジェイムズ・ギャラガー、保健・科学担当編集委員

画像提供, Getty Images
南アフリカの科学者チームは2日、同国で初めて検出された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が一部の免疫を回避する可能性があることが、データで示されたと公表した。
科学者は、新型ウイルスに複数回感染する人が急増していることを確認している。
今回公表された結果は迅速分析によるもので、決定的なものでない。ただ、複数の変異がみられるオミクロン株については感染力の増大などが懸念されており、今回の結果はそれと一致する。
この結果が、ワクチン接種で獲得した防御効果にどう影響するのかは分かっていない。
この変異株が「オミクロン」と命名されてから1週間、世界は依然として必死に、オミクロン株による脅威を理解しようとしている。そこへ来てようやく、巨大で複雑なパズルの解明が始まった。
この変異株に多数の変異がみられることはすでに分かっている。南アフリカ当局はこの変異株が原因で感染者が急増していると警告している。

すでに新型ウイルスに感染したことがある人がオミクロン株に感染する可能性はどれくらいなのか。これを理解することが、パズルの手がかりになる。
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オミクロン株は今や、30カ国以上で検出されている。
科学者たちは南アフリカで再感染が疑われる約3万6000人を分析し、このパンデミックを通じて、再感染率(2回以上感染する確率)に変化が起きているかどうかを調べた。
その結果、ベータ株とデルタ株それぞれによる感染の波が起きた際、再感染リスクは上昇していなかったと分かった。実験室での研究では、これらの変異株が一部の免疫を回避する可能性が示唆されていた。
しかし現在は、科学者たちは再感染の急増を検知している。感染者をひとりひとり検査してオミクロン株への感染を証明したわけではないが、タイミングとしてはオミクロン株が要因だとみているという。
この研究は、ほかの科学者による正式な査読は受けていないが、オミクロン株が再感染を引き起こす可能性はこれまでの変異株の約2倍だと推定している。

研究者チームのメンバーで南アフリカ・ステレンボッシュ大学教授のジュリエット・プリアム氏は、「これらの発見は、オミクロン株の選択的優位性が少なくとも部分的に、過去に新型ウイルスに感染した人を感染させる能力の向上によってもたらされていることを示唆している」と述べた。
しかし、これはパズルのたった1ピースに過ぎない。
免疫力がどれくらい低下するのかも、疑問点のひとつだ。あらゆる変異株が今後、どの程度伝播(でんぱ)するのかも同様だ。
また、今回の研究は迅速分析によるものに過ぎない。時間がたてばさらに多くのデータが得られるはずだ。加えて、南アフリカでは免疫システムを抑制するHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染率が高いことから、今回の結果を世界の他の地域にあてはめて解釈するのは難しい。
抗体がどの程度新型ウイルスを攻撃できるかを示す実験室での研究結果は、来週中にも分かる見通し。
どれくらい免疫を回避できるのか
南アフリカで新型ウイルスワクチン接種を完了した人は人口の約24%にとどまっている。研究者たちは今回の発見について、高い自然免疫を持つ同様の国々にとって「重要な意味を持つ」ものだとしている。
しかし、ステレンボッシュ大学のプリアム教授は、「オミクロン株がワクチン由来の免疫を回避するかどうかについては、データがないため評価できない」と強調した。
そのため、イギリスのように大勢がワクチンを接種しているだけでなく、免疫力をさらに高めるために迅速にブースター(追加免疫)接種を行っている国で、オミクロン株がどのような影響をもたらすのかは、ますます見通しが難しい。
免疫を高めることで、オミクロン株の免疫回避能力の一部を相殺できるはずだとされている。
英イーストアングリア大学のポール・ハンター教授は、「オミクロン株は自然免疫や、おそらくワクチン接種で誘発された免疫を、かなりの度合いで切り抜けられる。それが、この研究結果のあらましだ」と述べた。
「ただ、その度合いについてはまだはっきりしていない。オミクロン株が完全に免疫を回避できるとは思えないが」
ほとんどの科学者の本能的直観では、たとえ新型ウイルスへの感染を防ぐというワクチンの効果が低下しても、重症化や死亡を防ぐという本来の目的は持ちこたえられると考えられている。
ただ、たとえそうであっても、オミクロン株が問題を引き起こす可能性は残っている。この変異株が原因で突然、新たに大規模な感染の波が起きれば、病院が再び圧迫される恐れがある。
新型ウイルスに感染してから病院での治療が必要になるまでに1~2週間ほどかかるため、オミクロン株による影響について確証を得るには時期尚早だ。しかも南アフリカの人口は比較的若いため、高齢化が進む国よりも軽い症状で済むとみられる。
ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドン(UCL)のフランソワ・バロー教授は、「オミクロン株の再感染能力がこれまでより高いはずだと推測されているのは、特に意外ではない。オミクロン株が持つスパイクたんぱく質に多数の変異があり、それによってオミクロン株が宿主(感染者)の免疫を回避する能力が高まることを考慮すると、大方予想できたことだ」と述べた。









